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第57回マカオGPレポート


 第57回マカオGPが、11月18〜21日にマカオ市街地のギアサーキットを舞台に行われた。ユーロF3王者のエドアルド・モルターラ、イギリスF3王者のジャン・エリック・バーニュら世界のトップコンテンダーとともに、全日本F3選手権からも国本雄資、関口雄飛、ラファエル・スズキ、アレキサンドレ・インペラトーリ、山内英輝、そして佐藤公哉の6人のドライバーが参戦、4日間の攻防を展開した。
 木曜のフリー走行1回目、予選1回目はクラッシュや黄旗、赤旗などが相次ぎ、タイム的にはトップのモルターラも2分13秒台と平凡なものに。45分間だった昨年までと比べ、予選セッションが30分間に短縮されたこともあり、あまりニュータイヤを履く陣営はない。
 日本勢は予選1回目をインペラトーリ9番手、関口15番手、山内16番手、国本17番手、佐藤24番手で終える。
 金曜になってもサポートイベントを中心にアクシデントや赤旗が多く、結局予選2回目は土曜午前に順延される前代未聞の状況に。
 迎えた土曜は午前に予選2回目、午後に予選レースというタイトなスケジュールとなるが、予選2回目は気温21℃、路面温度は22℃で午前8時15分からスタート。しかし、ここでも序盤からクラッシュや赤旗が続き、ニュータイヤでコースインした多くのドライバーは、中段のタイミングにさらにニュータイヤに履き替えて積極的なアタックを続けて行く。
 その結果、予選レースのポールポジションを奪ったのは前回覇者モルターラ。2分11秒165で、僅かにバルテリ・ボッタスを抑えてのトップタイム。3番手にはローレンス・バントール、4番手にはダニエル・アプト、5番手にマルコ・ウイットマンが入り、シグネチャー勢が上位を占める。
 日本勢はほぼ全員が一様にクリアに恵まれず、総合予選結果ではインペラトーリの19番手が最上位と苦戦。ラファエル・スズキが21番手、関口が23番手、他車との接触で右リヤサスペンションを傷めアタックの機会を失った山内が26番手。また、セッション序盤に山側のソリチュードSの付近でスピンし、クラッシュを喫した国本は27番手、佐藤は28番手となった。
 午後1時25分にスタートする予定が、またもディレイして午後2時14分にスタートした予選レースは10周。翌日の決勝のグリッドを決める重要なレースとなるが、スタート直後にマンダリン先でアレキサンダー・シムスとジェイムズ・カラードがスピン、クラッシュ。リスボアのタイヤバリアにオリバー・ウェッブが突っ込むなど、波乱の立ち上がり。トップはモルターラで、2番手には好スタートのアプト、3番手にボッタスというオーダーに。日本勢ではインペラトーリ、スズキが15〜16番手にポジションアップする一方、マンダリンでのクラッシュで飛んだタイヤを避け切れなかった佐藤が、フロントウイングを傷めてピットインを余儀なくされ周回遅れとなってしまうなど明暗が分かれる。
 背後のアプト、ボッタス、バントールらの攻防をよそに、モルターラは3周目に2位に浮上したバントールの追い上げを受けるも、マージンを残した走りで逃げ切り優勝。2位にバントール、3位にアプトと、シグネチャー勢が表彰台を独占することとなった。
 日本勢はインペラトーリが果敢なレースを展開し10番手にまで躍進も、8周目にブレーキトラブルに見舞われて惜しくもリタイア。スズキも終盤ミッショントラブルでポジションを下げることとなり、国本の17位が最上位に。スズキ18位、関口20位、山内21位、佐藤は1周遅れの27位に終わった。
 翌日曜はフリー走行もなく、午後3時30分にフォーメイションラップがスタート。4日間を締めくくる決勝レースは15周の戦いとなるが、この日はマカオらしい陽気となり気温24℃、路面温度29℃となった。
 スタート直後、ストールしたマシンがあったことからグリッド上で中段グループの数台がクラッシュ。やむなく加速中に急制動したインペラトーリのリヤに、佐藤が追突するなど、日本勢にもこのアクシデントの影響が及び、インペラトーリはリヤウイングが傾き、リヤサスペンションにもダメージを受けるが、そのまま走行を続行。佐藤はフロントウイングを交換するため、予選レースに続き1周目のピットインを強いられてしまう。
 レースをリードしたのはポールポジションスタートのモルターラだったが、その背後にはアプト、バントールが続くが、グリッド上で数台のマシンがクラッシュしており、セーフティカーが導入される。
 ピットロードを使用したSCランは、早くも2周目にリスタート。ここでモルターラのスリップを奪ったアプトがモルターラをリスボアでパス。さらにバントールにもパスされモルターラは3番手にドロップしてしまうが、直後にアプトは山側でクラッシュ。バントール、モルターラ、ボッタスというトップ3のオーダーとなるが、このクラッシュの処理のため、またもセーフティーカーが入ることに。この段階で日本勢は山内11位、国本15位、スズキ16位、インペラトーリ17位、関口22位、佐藤24位という状況。
 迎えた6周目のリスタート。マンダリンでバントールのスリップを使い、モルターラがリスボアで再び首位を奪還。背後ではウイットマンがボッタスをかわし3番手に浮上を果たす。
 トップに立ったモルターラは、7周目から猛プッシュ。背後ではボッタスがウイットマンを抜き返し3位を取り戻すが、そうした攻防は別世界の出来事のように、モルターラはファステストラップを連発しながらじりじりとバントールを引き離して行く。中段ではインペラトーリと山内がポジションを上げて行く。
 終盤ボッタスがバントールに迫ったものの、攻略には至らずモルターラが史上初の連覇を達成。2位にバントール、3位にボッタスとなった。
 日本勢では健闘したインペラトーリが12位、山内が13位。国本16位、スズキ17位、関口20位、佐藤は24位でのチェッカー。惜しくもトップ10入りは果たせなかった日本勢だが、貴重な経験を持ち帰ることとなった。


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