ララウンド岡山 レポート [Round 3 Report]

第3戦 天候:雨  コース:ウェット  参加16台 出走16台

●今季初の雨中戦、予選5位から逆転で井口が開幕3連勝!

 4月25日、岡山国際サーキットで全日本F3選手権第3戦が行なわれ、雨の決勝で逆転、凱歌を上げたのは予選で総合5番手と出遅れ、連勝が危ぶまれたトムスの井口卓人だった。

 金曜の練習走行はドライコンディションで行なわれたものの、土曜の岡山は雨。午前10時45分からの公式予選は、雨の勢いは弱かったものの完全なウエットコンディション。ハンコックタイヤでの初の本格的なレインタイヤでの走行とあって、各陣営ともにセットアップに悩む状況の中、この予選でポールポジションを奪ったのは1分42秒833をマークしたスリーボンドの安田裕信。しかし、黄旗区間が発生したためにタイムが採用されなかったものの、Nクラスの佐藤公哉が1分42秒462をたたき出すなど、CクラスとNクラスが入り乱れる大混戦の予選となった結果、安田、佐藤がフロントロウに並び、セカンドロウにはCクラス2番手のトムス・国本雄資とNクラス2番手のエイムスポーツ・関口雄飛。3列目にはCクラス3番手のトムス・井口とNクラス3番手のHFDP RACING・山本尚貴という思いがけない上位グリッドのオーダーとなった。

 午後3時05分、第3戦決勝のフォーメイションがスタートすることとなったが、この時点ではやや天候が持ち直し、ウエットながら弱い霧雨というコンディション。全車がレインタイヤでのスタートとなった。

 午後3時08分のスタート。シグナルが消えた瞬間、ポールポジションの安田は「ホイールスピンが嫌だったので低めのエンジン回転でスタートしようとしたが……」と、まさかのストール。一方イン側2番グリッドの佐藤も「ストールを気にしすぎて、動き出しの加速が全然良くなかった」と、フロントロウの2台がともにスタートに失敗。これで国本が1コーナーでトップに立ったかに見えたものの、井口がアウトから国本をパスし1コーナーの立ち上がりで一気に首位に躍り出る。

 井口、国本の背後では、好スタートの山本がNクラストップに立ったかと思われたが、佐藤が山本に接触。たまらず山本はスピンを喫し、その背後にいた千代勝正とともにグラベルへ飛び出してしまい、2台はここで短いレースを終えることに。

 こうした波乱の1周目を終えて、井口、国本のトムス勢に続いたのは小林崇志。佐藤、関口、アレキサンドレ・インペラトーリといったNクラス勢がこれに続き、Cクラス3番手は総合7番手となる安田で、ル・ボーセの嵯峨宏紀、戸田レーシングのケイ・コッツォリーノ、トムスのマーカス・エリクソンがその背後につけるも、予選のみならず決勝でも両クラスが混在するオーダーは続く。

 前車の巻き上げるウォータースクリーンの中、悪い視界の中での攻防が続くが、トップ井口は序盤じりじりと国本にギャップを築く展開。雨が上がり始めてペースアップを果たした関口が佐藤、小林を相次いで攻略し3番手に浮上、同じくハイペースでコッツォリーノも進撃を開始する。

 いったん井口に3秒以上のギャップを開かれた国本も、レース中盤に間隔を詰めたものの、11周目のダブルヘアピンで痛恨のコースオフを喫した後は、関口との攻防に2周ほどを費やすこととなり、井口にとっては後半は15秒もの大差をつけ一層楽な展開に。「中盤以降は路面が乾き始めたので、ストレートでは水のあるところを選ぶなど気を遣ったが、最後まで大きな問題もなく走りきれた」という井口は、結局18周をそのまま逃げ切り、見事今季開幕から3連勝を果たすことに。国本が2位、3位には追い上げたコッツォリーノが、戸田レーシングに伊沢拓也以来、3年ぶりの表彰台をもたらすこととなった。

 一方、Nクラスでは「路面が乾き始めてから、急にペースが良くなった。明日はなんとかCクラスを抑えて、一瞬でも総合トップを走ってみたい」と語ったトップ関口がCクラスに迫る速さを見せて、こちらも開幕3連勝。2位には小林、3位には佐藤が続き、表彰台に立っている。



全日本F3選手権 第3戦 決勝上位ドライバーコメント

◎ Cクラス ◎

■優勝:井口 卓人
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No36/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「今日は両レースとも予選で5位ということで、自分の思うような走りが出来なくてセッティングを含め、ちょっと苦労する部分があったのですが、今日の決勝では本当に集中して良いスタートが切れて、1コーナーをトップでクリア出来たことが優勝に繋がったと思います。中盤まで国本選手が近づいてくる雰囲気があったので、毎ラップ僕もプッシュしました。国本選手が遅れてからは楽になりましたね。ハンコックのレインタイヤでの初レースということもあって、中盤以降水のあるところを選んで走るなど気を遣ったのですが、大きな問題なく最後まで走れたので良かったです。明日も5番手ですし、あまり連勝を意識せず自分の走りをしたいですね」

■2位:国本 雄資
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No37/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「今日は3番手スタートだったのですが、スタートがかなり決まって1コーナーまではトップだったんですが、水しぶきがかなりひどくて後ろが見えず、とりあえずイン側を閉めようとイン側でブレーキングしたら、アウトから井口選手が来て抜かれてしまいました。その後は離されないようにプッシュしていって、僕のペースのほうが良くて徐々に追いついていっていた感じだったのですが、そこでちょっと欲が出てしまったというか、ダブルヘアピンのふたつ目でコースアウトしてしまって。そこで大きく離されてしまって、ちょっと自分を見失って自分の走りが出来なかったのですが、終盤には取り戻せたと思います。明日はPPですし気持ちを切り替えて臨みます」

■3位:ケイ・コッツォリーノ
(TODA RACING/Car.No2/TODA FIGHTEX/無限戸田)
「後方からのスタートで、これがドライならば諦めざるを得ないような状況でしたが、ウエットのテストはやっていましたし、ハンコックのレインタイヤでのセットアップもやって、雨には100%の自信があったのですが、予選ではちょっとトラブルがあって……。決勝ではスタートを決めたあとは、ポジションを気にせずに前のマシンを追い駆けて行く感じでしたが、結構ペースが良いなと気づいた頃には、もう結構前の方の順位まで来ていて。最後は雨が少なく路面が乾いて、フロントタイヤが消耗してそれ以上のタイムアップはできなかったのですが、フルウエットのレースとしては、かなりレベルの高い戦いが出来たんじゃないかと思います」

■4位:安田 裕信
(ThreeBond Racing/Car.No12/ThreeBond/ニッサンスリーボンド)
「ホイールスピンするのが嫌だったので、ちょっとエンジン回転を低めにしてスタートしようとしたのですが、ちょっと回転が低すぎたようでエンジンがストールしてしまって……。ダブルヘアピンのひとつ目でNクラスを抜きにいってミスをしたところで、ケイ・コッツォリーノ選手に抜かれたのですが、レース後半までなかなかグリップが上がってこなくてちょっと苦労しましたね。内圧がちょっと足りなかったのかなとは思いますが、普通にスタートさえしていれば普通に勝てていたと思いますし、悔しいというしかないです」


◎ Nクラス ◎

■優勝:関口 雄飛
(AIM SPORTS/Car.No18/EBBRO AIM F307)
「スタートではポジションを下げてしまい、佐藤公哉選手や山本尚貴選手、千代勝正選手に先に行かれてしまったのですが、1コーナーで接触やスピンがあって、うまくポジションを戻すことが出来ました。序盤はあまり良くなかったので厳しいかなと思っていましたが、雨が減って路面が乾いてきたら、だんだんペースが良くなって来て、トップに立つことができました。明日はドライになると思いますが、一瞬でも良いので総合のトップに立って目立ってみたいですね(笑)

■2位:小林 崇志
(HFDP RACING/Car.No8/HFDP RACING)
「今日は6番手スタートということだったのですが、上位の混乱とスタートがうまくいったということで、トップに立つことができたのですが、最初の数周は後続とのギャップも縮まりませんでしたし、ペースもあまり差がないのかなと感じて、このまま勝てるかもしれないと思ったのですが、関口選手のペースが凄く上がって来て。抜かれた後も、関口選手のペースが速くてあっという間に離されてしまったので、とても悔しいレースになりましたね。開幕戦も似たような状況だったので、今回はなんとか勝ちたかったのですが、また負けてしまって。まだまだ自分に足りない部分があるのかなと思うので、これからもっと精進していきたいと思います」

■3位:佐藤 公哉
(TEAM NOVA/Car.No23/NDDP EBBRO)
「Nクラスのポールポジションからのスタートだったのですが、ホイールスピンにちょっと気を遣いすぎて、逆に動き出しで全然伸びていかなくて。背後の関口選手を気にしすぎていたこともあって、スタート直後はアウトから、インから、ズバズバと山本選手や小林選手、千代選手らに抜かれてしまったのですが、抜かれたことに焦ってしまい、今考えるとそんなところで無理して取り返さなくても良かったとは思いますが、1コーナーで取り返そうとして、山本選手に後ろから接触していくような形で。そこで山本選手と千代選手のレースを台無しにしてしまって申し訳なく思います。自分の中ではその他の点でも反省すべきことが多いレースでした」


 




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