ラウンド鈴鹿 第6戦 レポート [Round 6 Report]

■ 一転ドライの第6戦は国本・山本が初優勝!

 土曜に行われた公式予選はウエット。しかし、第5戦予選に比べて雨量の落ちた第6戦予選では全体的にタイムが上がり、セッション終盤につれて各ドライバーがタイムアップ。その結果、中盤先行していた井口卓人をかわし、自身2度目のポールポジションを奪ったのはPETRONAS TEAM TOM'Sの国本雄資。2番手にはマーカス・エリクソン、3番手には井口が続き、トムス勢が上位グリッドを確保。第5戦予選で総合ポールポジションを奪ったACHIEVEMENT by KCMGのアレキサンドレ・インペラトーリが4番手。これにスリーボンドの安田裕信、ル・ボーセの嵯峨宏紀が続くこととなった。

 ナウ・モータースポーツの岩崎祐貴がこの日も欠場となり、15台での戦いとなった第6戦決勝。朝からどんよりとした曇り空が広がる鈴鹿ながら、なんとか持ち応えてドライコンディションでのスタートかと思われた矢先、スタート進行が始まった途端にぽつりぽつりと雨粒が落ち始める。

 このため、急遽レインタイヤの準備をする陣営もあったが、結果的に雨は強まることはなく、全車スリックのニュータイヤでのスタートとなった。

 レッドシグナルが消えると、まずまずの動き出しをみせたのはポールの国本。これにエリクソン、井口、安田が続き、Nクラスのインペラトーリはストレートの速いCクラス勢にかわされ、じりじりとポジションを下げて行く。

 1周を終えてのオーダーは国本、エリクソン、井口、安田、嵯峨、そしてコッツォリーノとCクラス勢が上位で戦い、その背後でNクラスが競り合い、完全にクラス別に分かれての戦いに。初優勝を目指す国本だったが、独走は許されず、エリクソンと井口のチームメイト2台にプレッシャーを受ける状況。しかし、序盤はトップ3台についていった安田だったが、5周目あたりから徐々にギャップが開き始め背後の嵯峨、コッツォリーノとの攻防を強いられ、結果的にトムス勢による三つ巴の優勝争いという形勢となった。

 1秒と間隔の広がらない拮抗した接戦が続いたこの優勝争いだったが、結局エリクソンも後半は井口との攻防に終始することとなり、国本は17周を逃げ切って見事F3初優勝。エリクソンは再三シケインのブレーキングで仕掛けた井口の攻勢をしのいで2位。井口が3位に入り、トムス勢が第5戦に続いて表彰台を独占。安田、コッツォリーノ、嵯峨が4〜6位となった。

 一方、Nクラスではスタートで関口雄飛が猛然と飛び出し、一気にインペラトーリに次ぐ2番手に浮上、さらに2周目のストレートでシフトミスを喫したインペラトーリをパスしてトップに躍り出るが、これはジャンプスタート。この裁定が出された3周目の1コーナーで関口はコースアウトし、大きくポジションダウンした上、ドライブスルーペナルティーを受けて後退。代わってインペラトーリが首位に返り咲くが、これを千代勝正、山本尚貴が相次いで攻略を果たす。

 しかしトップに立った千代もこの座を守れず、山本が7周目の1コーナーでアウトから千代をパス。首位を奪った山本は2番手以下を引き離し独走で今季初優勝。2位に千代、3位にはインペラトーリとなった。



全日本F3選手権 第6戦 決勝上位ドライバーコメント

◎ Cクラス ◎

■優勝:国本 雄資
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No37/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「ポールからのスタートだったわけですが、スタートも最高に決まり、すごくいいペースで走れて本当に楽しくレースができましたね。雨が降ってきたときは前回の岡山のレース(スリックでポールポジションからスタートもレース中の降雨で表彰台を失った)みたいになるんじゃないかという不安が少しあったんですが、チームを信じて自分のやるべきことに集中しました。最初はエリクソン選手がぴったりくっついてきて、接近戦になるんじゃないかと思ったんですが、後半は僕の方がペースが良かったので、後ろは気になりませんでした。本当はもう少し早く勝ちたかったんですが、開幕前のテストからチームメイトの2台に負けていて、過去2ラウンドで自分のいけないところを今回うまく修正できたことが結果につながったと思います」

■2位:マーカス・エリクソン
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No1/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「かなりタフなレースだったね。僕のイン側グリッドには黒く濡れた箇所があったので、ホイールスピンを避けるために2速でスタートしたんだけれど、それがうまくいってまずまずのスタートができたものの国本の前に出ることはできなかった。序盤はセットアップも合っていて、フィーリングが良かったので国本に迫ることができたけれど、5〜6周過ぎたあたりからグリップ感が落ちてきて、少し状況が悪くなってしまってね。それで井口に詰め寄られてしまったんだ。ただ、ヘアピンやシケインのブレーキングのバランスが良かったので、他の部分で井口に詰められても、なんとか2位を守れた感じだね。今日は勝てなかったけれど、今回はいい週末になったよ」

■3位:井口 卓人
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No36/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「今日は結果として3位に終わったわけですが、スタート直後からの数周、そこでポジションを上げることができなかったことがすべてでしたね。内容としてはトムスの3台で非常にハイレベルな競り合いをすることができたので、3位ということでトムスの3台の中では一番結果が悪いのですが、レースとしては誇りに感じてもいいのかなと思います。エリクソン選手がスプーンのふたつ目が遅かったので、西のストレートでスリップについて、シケインのブレーキングで勝負をかけるチャンスが何度かあったのですが、彼もすごくブレーキングでプッシュしていたので……。結局最後まで抜くことができませんでしたね」

■4位:安田 裕信
(ThreeBond Racing/Car.No12/ThreeBond/ニッサンスリーボンド)
「僕としては精一杯の戦いでしたが、ちょっとトムス勢3台との差がありましたね。前半結構ついていけたので、よし、このままついていけばという気持ちだったのですが、5周目あたりからリヤタイヤがグリップダウンし始めてからはペースも上がらず、結果的に背後のコッツォリーノ選手を抑えておくのがいっぱいいっぱいでした。なんとか4位を獲れましたが、ラップタイム的には56秒くらいが限界で、トムス勢の55秒台は見えませんね……。しかし、あきらめずに次戦も頑張りたいと思います」


◎ Nクラス ◎

■優勝:山本 尚貴
(HFDP RACING/Car.No7/HFDP RACING)
「スタートは失敗というわけではなったんですが、あまり加速が良くなくて、アウト側から関口雄飛選手に先行されたり、Cクラスのコッツォリーノ選手がアレキサンドレ・インペラトーリ選手との間に挟まったりして位置取りがうまく行かず、ペースがつかめなくて千代勝正選手にもパスされてしまって。前半は自分でもまずいなという展開でしたが、ドライの金曜の練習走行では非常に調子が良かったですし、自身を持って落ち着いて周回を重ねれば絶対にパスできると思っていました。うまく千代選手をパスしてトップに立ってからも、最終ラップまで自己ベストを更新するつもりでプッシュし続けました。今年はハード面の差がないNクラスに参戦したことで、自分のドライビングを見つめなおし、努力を怠ってはいけないと改めて感じました。Nクラスに参戦して良かったと思いますね」

■2位:千代 勝正
(TEAM NOVA/Car.No22/NDDP EBBRO)
「3番手からうまくスタートが決まったものの、関口選手にパスされて4番手になってしまいました。ただ、序盤のマシンバランスが良かったので、前の選手についていくことができて1台1台パスしてトップに立つことができたんですが、僕のタイヤマネージメントが悪かったのか、中盤からリヤタイヤが厳しくなってセクター2〜3あたりでリヤがずるずるになってしまって……。結果的にバックミラーを気にしながらのレースになってしまい、残念ながら山本尚貴選手に抜かれたあともついて行くことができませんでした」

■3位:アレキサンドレ・インペラトーリ
(ACHIEVEMENT by KCMG/Car.No20/ACHIEVEMENT by KCMG)
「残念ながら昨日みたいないいレース、というわけにはいかなかったね。ただ、ドライになったら苦しい戦いになるかもしれないということは分かっていたんだ。スタートはまずまずで、Cクラスのマシンたちとの競り合いもできたけれど、なぜかストレートが伸びず、とても苦しい展開になってしまった。しかし、今週末は優勝と3位ということでポイントも稼げたし、全体としては良かったんじゃないかな」




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