ラウンド富士レポート [Round 7 Report]

●Cクラスで国本雄資、Nクラスで山本尚貴がそれぞれ2勝目!

 6月27日、入梅したとはいえ気温27℃、路面温度40℃と初夏を思わせる暑さとなる中、全日本F3選手権第7戦が午後3時58分、スタートを切った。

 その決勝のポールシッターは、これが自身3回目のポールとなるトムスの国本雄資。しかし、この国本の叩きだした1分35秒873と同タイムをマークしたマーカス・エリクソンが2番手、3番手には同じくトムスの井口卓人とトムス勢が得意の富士で上位グリッドを独占。これにスリーボンドの安田裕信、ル・ボーセの嵯峨宏紀、戸田レーシングのケイ・コッツォリーノ、ナウの岩崎祐貴とCクラスマシンが続く。一方、NクラスではACHIEVEMENT by KCMGのアレキサンドレ・インペラトーリが1分38秒284でクラスポールを奪い、チームノバの佐藤公哉、HFDP RACINGの山本尚貴、チームノバの千代勝正、エイムスポーツの関口雄飛らが続くグリッドとなった。

 迎えたスタート。レッドシグナルが消えると、ポールの国本はまずまずの動き出し。一方のエリクソンはエンジン回転が落ちたということでやや加速が鈍く、1コーナーではアウト側から井口が2番手に浮上するかと思われた。ところが、コカコーラコーナーにかけてイン側のラインでポジション争いを展開したエリクソンと井口に対し、トラブルに見舞われて短いレースを終えた安田をかわし4番手に浮上していた嵯峨がアウトからコーナーにアプローチ。競り合いの中で無理なラインでコカコーラコーナーにアプローチしたエリクソンと井口がやや失速したところを突いて、嵯峨が100Rにかけて一気に2番手に躍り出る。

 こうして国本、嵯峨、エリクソン、井口、岩崎、コッツォリーノというオーダーで1周目を終えたCクラスだったが、3周目の1コーナーでエリクソンが嵯峨を攻略。2位に浮上し国本を追う展開。その背後では3周目あたりから嵯峨vs井口の攻防が熾烈を極めることに。幾度となく井口の攻勢を凌いでいた嵯峨だったが、8周目のコカコーラコーナーへの進入でついに井口の先行を許すこととなり、その後嵯峨はストールで出遅れるも挽回してきたコッツォリーノとの争いになるが、追い上げるためにタイヤを消耗していたコッツォリーノには嵯峨を攻略する力は残されておらず、結局オーダーは変わらず。

 トップの国本を追うエリクソンは、じりじりと間合いを詰めていたが、1秒前後で推移していたギャップが、11周目のヘアピンでエリクソンが痛恨のミスを犯し僅かにコースオフしたことで、一気にギャップが2秒以上に拡大。ここでエリクソンは2位キープとなり、勝負が決することとなった。

 右手を上げガッツポーズで15周を走りきった国本は、これで2勝目。2位にエリクソン、3位に井口とまたもトムス勢が表彰台を独占することとなったが、その一角を脅かした嵯峨が4位。コッツォリーノ、岩崎が5〜6位となった。

 一方Nクラスは、スタートではポールのインペラトーリが先行も、1周目のダンロップコーナーの立ち上がりで山本がトップに立つと、序盤にファステストラップを叩きだすなどしてインペラトーリに1秒半のギャップを築く展開。インペラトーリも3位以下を引き離し、山本を追ったが、最後まで山本のテールを捕まえることはできず、山本が2勝目を獲得。インペラトーリが2位。3位には、後半まで千代と関口が激しく3位を争うも、12周目の1コーナーでブレーキをロックさせた関口が千代に追突する結果となり、2台ともに後退。これでポジションを上げた小林崇志が入っている。



全日本F3選手権 第7戦 決勝上位ドライバーコメント

◎ Cクラス ◎
■優勝:国本 雄資
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No37/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「今日はポールポジションだったんですが、そのスタートが決まって、そこから自分の走りに集中できたので、良いレースができました。スタートはそれほど意識していたわけではなかったんですが、普通の動き出しができて。とにかくそこで抜かれなくて良かったなと。レース中盤に後ろでエリクソン選手がミスをして間隔が離れたのをミラーで見て、やはりちょっと気が楽になりましたね。初優勝のときと、今日の2勝目と、うれしさは一緒なんですが、前回は日曜日に勝ってうれしいままで終わったんですが、今回は土曜日に勝ったということで、また明日もレースがあるので気を引き締めなければいけないなというところが、ちょっと違いますね。明日は2番手からのスタートなんですが、スタートをしっかり決めれば絶対に勝てると思うので、スタートに集中して絶対に優勝します!」

■2位:マーカス・エリクソン
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No1/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「基本的にはまずまずの一日だったかな。予選も良かったしね。ただ、決勝のスタートでは、タイヤのグリップが強すぎたのか、動き出しは良かったのに、すぐにエンジンの回転が落ちてしまって、加速が鈍かったんだ。あれがなければひょっとしたら国本の前に出られていたかもしれないね。いったん3番手に落ちたけれど、すぐに2番手に浮上したあとかなりプッシュして国本を追いかけた。少しずつギャップが詰まっていっていたのに、プッシュしすぎていたのかヘアピンでミスをしてグリーンに飛び出してしまって、そこでギャップが広がってしまった。結果的にそれ以降はもう2番手キープのようなレースになってしまった。明日はなんとか優勝したいね」

■3位:井口 卓人
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No36/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「予選からうまく流れが作れず、2戦とも3番手からのスタートになってしまってそのまま決勝を迎えたんですが、そこまでにうまくアジャストできずにスタート直後に4番手に落ちて……。レース自体はエキサイティングで楽しかったんですが、3位という結果が残ったこともうれしく思います。スタート直後の1コーナーではエリクソン選手をアウト側からオーバーテイクしかけたんですが、そのまま2台並走する形でコカコーラコーナーに入ったときに、エリクソン選手が僕の前に出て、2台でイン側を走るような感じになったときに、アウト側に1台いるということを僕たちは確認できていなくて、それが嵯峨選手で……。そのまま嵯峨選手にコカコーラコーナーで抜かれてしまったんです。結果的にもう少し嵯峨選手を早くパスできていれば、また展開も違ったと思いますね」

■4位:嵯峨 宏紀
(DENSO Team Le Beausset/Car.No62/DENSO・ルボーセF308/トヨタハナシマ)
「1コーナーで既に4番手に上がっていたのですが、前で競り合っていたトムス勢がコカコーラコーナーに向けて2台ともイン側に行ったので、僕は普通にアウトからアプローチしたら、案の定前の2台がコーナーに入って失速して。それで100Rにかけて2台ともパスすることができました。その後エリクソン選手のほうがストレートが速かった上に、ミラーを気にしすぎて1コーナーのブレーキングを失敗したために3番手に落ち、井口選手とのバトルになったのですが、これまでは無抵抗で抜かれてしまう展開が多かったものの、今回はいろいろレベルアップしていることもあり、かなり抵抗できたんじゃないかと。その点だけでも十分収穫がありましたね」

■5位:ケイ・コッツォリーノ
(TODA RACING/Car.No2/TODA FIGHTEX/無限戸田)
「スタートでは生まれて始めて完全にストールしてしまいましたね。すぐにエンジンを再スタートして動き出したんですが、Nクラスのマシン数台に先行されてしまって。それで焦ってしまったというか、序盤にタイヤの状態が良いときに無理をしたというか、タイヤを使って追い上げることになってしまったので、逆に後半はリヤがきつくて。セクター1〜2は問題なかったんですが、セクター3と最終コーナーの立ち上がりのトラクションが悪くて、ストレートが伸びずスリップにもつけずに苦労しましたね。しかし、そのあたりで改善すべき部分も見えたので、そのあたりを生かせば明日は5番手スタートですし、いいところに行けるんじゃないかと思います」


◎ Nクラス ◎
■優勝:山本 尚貴
(HFDP RACING/Car.No7/HFDP RACING)
「スタートをうまく決めることができて、欲張らず1台だけでもいいから抜こうと。それがうまく行って2番手に上がったのですが、スタート前からチャンスは1〜2周目の前半しかないと考えていたので、そこを集中して、周囲が引くような気迫のある走りを心がけて、その結果1周目にトップでホームストレートに帰ってくることができました。開幕戦の富士で関口選手が見せたような、Cクラスのマシンに引っ張ってもらうようなイメージの理想的な展開に今回なったので、本当にうまく行ったなと。あとはもう後ろを気にせず、できるだけ後ろを引き離せるよう、集中して走りました。前回の優勝はレース序盤の戦い方に不満があったのですが、今日はそこを改善できたと思います。明日は2番手からのスタートになりますが、また今後の課題を考えながら挑戦したいですね」

■2位:アレキサンドレ・インペラトーリ
(ACHIEVEMENT by KCMG/Car.No20/ACHIEVEMENT by KCMG)
「朝の予選は連続ポール獲得ということで、ベストなものだった。今日の決勝は2位ということで、多くのポイントを獲得できたことは良かったけれど、やはり勝ちたかったので少し残念かな。スタート直後の1〜2周目に僕のほうにミスがあって、その結果山本選手が築いたギャップが最後まで響いてしまった感じだね。レース中のペース自体は悪くなかったので、明日の第8戦を期待したい」

■3位:小林 崇志
(HFDP RACING/Car.No8/HFDP RACING)
「予選が6位ということで、後ろからのスタートだったのですが、動き出し自体はうまく行ったものの1コーナーでのポジショニングがうまく行かなくて、たぶん最後尾近くまで落ちたんじゃないかと思います。さらに2周目くらいのダンロップコーナーでまた押し出されてしまって。そのあたりを考えれば3位が獲れたということは良かったのかなと思います。明日は3番手スタートなので、スタートを決めてポジショニングもうまくやって、しっかりトップ争いできるよう頑張ります」



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