ラウンド富士 第8戦 レポート [Round 8 Report] ●一転して雨となった第8戦。エリクソン&佐藤が凱歌! 決勝のスタート1時間ほど前から雨が降り始め、暑いコンディション下での戦いとなった昨日の第7戦から一転、気温20℃、路面温度26℃という肌寒さの中での雨中の一戦となった第8戦。 最前列にはマーカス・エリクソンと第7戦のウイナーで3連勝を狙う国本雄資。2列目には井口卓人、安田裕信。3列目にはケイ・コッツォリーノ、嵯峨宏紀という顔ぶれがCクラスのトップ6。4列目にはCクラス7番手の岩崎祐貴に続き、Nクラスの連続ポールシッターとなったアレキサンドレ・インペラトーリが並び、以下山本尚貴、小林崇志、佐藤公哉、関口雄飛、黒田吉隆らが続くグリッドとなったが、全車がレインタイヤでスタートすることとなった。 レッドシグナルが消えると、ポールのエリクソンはまずまずのスタート。対する国本はやや出遅れ、井口が2番手に。アウト側のラインから4番手にコッツォリーノが浮上したが、1コーナーへのアプローチで国本のリヤに追突してしまい、国本はたまらずスピンし最後尾にドロップ。コッツォリーノもコースアウト、戦列に復帰もサスペンションにダメージを負い、ピットに戻ってマシンを降りることになってしまう。 このアクシデントも手伝って順位が入り乱れることとなり、1周目を終えたオーダーはエリクソン、井口、安田のCクラス勢に、佐藤、インペラトーリのNクラスが続く形に。しかし、2周目にはNクラスの2〜3番手を競っていたインペラトーリ、関口、山本らがもつれ合うようにコカコーラコーナーをクリア、100Rに向かったが、ここで前に出た山本に関口が追突する形になり、山本はスピン。関口は左フロントサスにダメージを負って、マシンを止めてしまう。 トップを争うエリクソンと井口は、3番手安田をじりじりと引き離しながらマッチレースを展開。徐々に間合いを詰めた井口は、15周目にはダンロップコーナー進入でエリクソンのアウトに並び、サイド・バイ・サイドとなるも、エリクソンは井口の攻勢を凌ぎ、トップを死守。そのころ、岩崎、嵯峨、安田を攻略しファステストラップをマークしながら追い上げた国本は3番手にまで浮上してきていたが、トップ2台には届かず結局優勝はエリクソン、2位に井口という結果に。安田、嵯峨が4〜5位となり、ラスト2周でマシントラブルからコースサイドにストップも、完走扱いとなった岩崎がCクラス6位となった。 Nクラスでは、1周目にトップに立った佐藤vsインペラトーリが激しい攻防を展開。15周目の最終コーナーではインペラトーリが佐藤のインを強襲、いったんは前に出るも、立ち上がりでクロスラインを取り、インに入った佐藤の左側バージボードとインペラトーリの右リヤタイヤが接触。インペラトーリはこのため右リヤタイヤのパンクに見舞われ、翌周にピットイン。優勝戦線から脱落することに。 これで楽になった佐藤は、そのまま今季2勝目をマーク。2位に食い込んだ千代勝正とともに、チームノバでの1-2フィニッシュを飾ることに。3位には、アクシデントで後方にドロップも、20周目にチームメイトの小林をかわした山本が入り、第7戦に続く表彰台を獲得している。 全日本F3選手権 第8戦 決勝上位ドライバーコメント ◎ Cクラス ◎ ■優勝:マーカス・エリクソン (PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No1/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス) 「コンディションが変わり、雨の中タフなレースになった。でも、日本ではこれがいつものことだから(笑)。まずまずのスタートを切ってリードを築いたんだけれど、レース中盤は井口のペースが速く、かなりプレッシャーを受ける展開になった。2回ほど並びかけられたし、そのうち1回はかなり厳しい状況だったけれど、なんとかポジションを守ることができた。その後、レース終盤には再び井口を引き離してギャップを広げることができたので良かったよ。その結果として、自分が優勝できたことがうれしいし、トムスの3台でまたトップ3を独占できたこともハッピーだ。富士の開幕戦では最後の最後に井口に抜かれてしまったので、今日は勝てて良かったよ」 ■2位:井口 卓人 (PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No36/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス) 「今日はスタートがすごく良くて、うまく1コーナーまでにポジションを2番手に上げて。ちょっと前半にエリクソン選手に差を広げられてしまったのですが、クルマのバランスもすごく良かったし、自分自身ものれていたので中盤のペースがとても良くて、差を詰めることができました。けれど後半になってタイヤが辛くなってきて、アンダーステアが非常に強く感じるようになってしまい、最後にはまた離されて終わってしまいました。エリクソン選手がリヤをスライドさせるミスをしたところでうまく合わせて、並びかけるところまでは行ったのですが……。まぁ今日はとても難しいレースでしたね」 ■3位:国本 雄資 (PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No37/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス) 「今日のレースではスタートで少し失敗してしまって、3番手に落ちてしまい、その直後の1コーナーでコッツォリーノ選手に追突されて最後尾まで落ちてしまいました。けれど、スタート前のサイティングラップで自分の調子がすごく良いなと感じていたので、とにかく最後まであきらめず限界で走って、エリクソン選手を抜くことだけを考えて走りました。その後すごくペースが良くて、なんとか3位になれたのですが、その結果としては少し不満ですね。今日は雨がふって、ギリギリまでチームスタッフと考えて良いクルマにセットアップをしてもらったのに、それを結果につなげられず悔しいですが、次につながるレースができた点では良かったと感じています」 ■4位:安田 裕信 (ThreeBond Racing/Car.No12/ThreeBond/ニッサンスリーボンド) 「スタートではホイールスピンをしてやや遅れたのですが、1コーナーでコッツォリーノ選手が国本選手に当たったところで、イン側からうまくポジションを上げることができました。ただ、レース前のウォームアップでかなりアンダー傾向が強かったので、その対策をしていったのですが、それでもアンダー傾向があったのに加えタイヤに負担をかける感じになってしまっていたのか、5〜6周でフロントタイヤのグリップ感がなくなってしまって……。そのせいでペースが上げられず、国本選手が追い上げてきたとき1回は抜き返したんですが、3位を守ることはできませんでした。今日の状況ならば、残念ですが4位でも仕方なかったと思います」 ■5位:嵯峨 宏紀 (DENSO Team Le Beausset/Car.No62/DENSO・ルボーセF308/トヨタハナシマ) 「スタート直後の1コーナーで、国本選手がスピンをした影響で行き場を失い、避けるためにコースを外れるしかなく、Nクラスのマシンにもかなり抜かれてしまって。その後、インペラトーリ選手と佐藤選手を追いかける形になったのですが、CクラスとNクラスで速い箇所が違ったのか決め手がなく、僕がアンダーステアに苦しんでいたこともあって、最終コーナーの立ち上がりが悪く、ストレートでも抜けないという展開が続いて苦戦してしまいましたね。最終的に空力の差が出る100Rで抜いたのですが、もっとそのあたりで抜けるんだということに気づくのが早ければと……。ちょっと判断ミスがあったと反省しています」 ◎ Nクラス ◎ ■優勝:佐藤 公哉 (TEAM NOVA/Car.No23/NDDP EBBRO) 「4番手スタートだったのですが、スタートが本当に良くて、すぐに2番手争いができる位置にまで行けたのですが、1コーナーの混乱の中で、たぶん僕が一番うまく立ち上がれたと思います。それでインペラトーリ選手と並んでコカコーラコーナーに入って行ったとき、アウト側のインペラトーリ選手がオーバーランしていったので、そこでトップに立つことができました。それからずっとトップを走っていたのですが、15周目の最終コーナーでインペラトーリ選手がインを突いてきて、いったん先行されかけたんですが、立ち上がりのクロスラインで向こうのインに入ったら、アウトから被せて来て接触してしまい、バージボードにダメージを負ったりアライメントが狂うなど影響があったのですが、チームから落ち着いて走り切れ、という指示もあって、なんとか集中してミスなく勝つことができました」 ■2位:千代 勝正 (TEAM NOVA/Car.No22/NDDP EBBRO) 「昨日の予選の段階で、計測2周目にバージボードにコース上の人工芝が引っ掛かってしまって。それが空力にものすごく影響してしまい、今日は7番手という不本意なスタートになってしまって。ですが、レース前に雨が降ってきて、絶対に追い上げてやると考えていました。スタート直後は混戦で、序盤はポジションキープという展開になっていたのですが、前がいなくなるような形で運良くポジションを上げられたものの、3番手に浮上もトップの2台に離されてしまったことが今後の課題ですね。今回チームノバで1-2を獲れたのですが、次は僕が前で1-2を決めたいと思います」 ■3位:山本 尚貴 (HFDP RACING/Car.No7/HFDP RACING) 「シーズンを考えて言えば、3位という結果を残せたことは良かったかなと。しかし、ひとつのレースとして考えると3位というのは負けですから、表彰台を獲得できたけれど非常に悔しいです。序盤のペースがなかなかつかめなくて、ちょっと探っている部分があったのですが、開幕戦の雨のレースのように荒れることも考えられますし、最後まで生き残らないと結果も残らないので落ち着いていこうと。しかし、関口選手の前に出たところであり得ないところから当てられて……。まだ雨のレースで1回も勝っていないので、また課題が残ってしまった感じですが、以前のような大きなタイム差はなくなってきましたし、今回また経験できたことを生かして次戦の鈴鹿でも頑張ります」 |