ラウンドもてぎ 第11戦 レポート [Round 11 Report]

●エリクソンがポール・トゥ・ウイン、単独ポイントリーダーに!

 どんよりとした曇り空の下、午後4時にフォーメイションがスタートした第11戦決勝は14周の戦い。“Bスペック”と呼ばれる、ワンランクハードなコンパウンドの新スペックタイヤでの初の戦いとなったわけだが、フロントロウに並んだのは、トムスのマーカス・エリクソンと戸田レーシングのケイ・コッツォリーノ。2列目にはスリーボンドの安田裕信と井口卓人、そして3列目には国本雄資とル・ボーセの嵯峨宏紀という顔ぶれが並ぶこととなったが、トップ3が異なるエンジンユーザーという今季初めての予選結果となった。

 迎えたスタート。フロントロウのエリクソン、コッツォリーノはまずまずのスタートを見せるも、安田はホイールスピンを犯し、1コーナーでは井口、国本の後塵を拝することに。なんとか2コーナーで4番手に戻ったが、手痛い出遅れを喫する。また、ナウ・モータースポーツの岩崎祐貴もストールしかけて大きく出遅れ、Nクラスの上位マシンに先行されてしまう。

 出遅れた安田は、1周目に井口に迫るもこれを抜くにはいたらず、エリクソン、コッツォリーノ、井口、安田、国本、嵯峨というトップ6のまま周回が進む展開となるが、抜きどころの少ないもてぎでの拮抗した戦いでは順位の変動はなく、結局エリクソンがそのまま逃げ切ってポール・トゥ・ウイン。ファステストラップをも奪ったことでフルポイントの12ポイントを加算し、ついにゼッケン1がシリーズランキング単独トップに立つことに。

 2位に入ったのはコッツォリーノ。3位には井口が続き、以下安田、国本、嵯峨と続き、岩崎が7位でのフィニッシュとなった。

 一方、Nクラスでは地元栃木出身のHFDP RACING・山本尚貴がポールポジションを獲得。2番手にACHIEVEMENT by KCMGのアレキサンドレ・インペラトーリ、3番手にエイムスポーツの関口雄飛、4番手にチーム・ノバの佐藤公哉が並ぶこととなったが、スタートから飛び出したのは山本。これにインペラトーリ、関口が続いたが、佐藤はポジションを下げ、代わって千代勝正が4番手に浮上を果たす。

 Cクラス同様、拮抗した攻防となったNクラスでは、序盤関口がインペラトーリに詰め寄ったものの、出遅れたCクラスの岩崎がポジションを徐々に回復する際に、Nクラスの攻防に割って入る格好となり、ギャップが拡大。結果的にNクラスも上位に順位変動はなく、山本がそのままポール・トゥ・ウイン。2位にインペラトーリ、3位に久々の表彰台となる関口という結果となった。



全日本F3選手権 第11戦 決勝上位ドライバーコメント

◎ Cクラス ◎
■優勝:マーカス・エリクソン
(PETRONAS TEAM TOM'S/Car.No1/PETRONAS TOM'S F308/トヨタトムス)
「良いレースができたね。スタートが決まってリードを築き、それをキープする展開になったわけだけれど、すべてうまくコントロールできた。ケイはかなり速かったけれど、うまく思い通りのレース展開に持ち込めたね。明日に向けても良い自信になったよ。新しいスペックのタイヤに関しては、昨日雨が降るなどあまり走り込むことができなかったので、今日の予選もギャンブルのような形になってしまったけれど、チームが良い仕事をしてくれて新しいタイヤにセットアップをうまく合わせることができたように思う。前のスペックに比べて、少しタイム的には遅くなっているようには思うけれど、レース中はずっとコンスタントだったし良かったんじゃないかな」

■2位:ケイ・コッツォリーノ
(TODA RACING/Car.No2/TODA FIGHTEX/無限戸田)
「今年最高となる2番グリッドからのスタートだったんですが、新スペックのタイヤでの初めてのスタートだったせいか、少しホイールスピン気味で、1コーナーでエリクソン選手を抜きに行けるような距離ではなかったですね。その後ペースは彼と似たようなもので、時には自分の方が速いくらいの感じで、プレッシャーを与えることもできたんですが、エリクソン選手はS字がすごく速く、自分がそこでうまくまとめ切れなかったこともあって、離されてしまいました。背後に井口選手もいたのですが、最後までプッシュし続けて2位をキープできたことは良かったと思います。明日はポールポジションからのスタートですが、新スペックのタイヤのデータも今日のレースでかなり取る事が出来たので、明日はセットアップなども見直して、もっと良いパフォーマンスを出せると期待しています」

■3位:井口 卓人
(PETRONAS TEAM TOM'S/Car.No36/PETRONAS TOM'S F308/トヨタトムス)
「今日は予選の結果が(4番手と)ちょっと悪かったのですが、とにかくスタートで集中していたので、うまく3番手に上がれたことは良かったかなと思います。ただ、前の2台に離されてしまったので、そのあたりに関しては、もっと明日に向けて考えながら臨みたいと思いますね。ちょっと前半はクルマが不安定でプッシュできず、前について行けなかったんですが、中盤辺りではすごくクルマのバランスが良くて前に詰め寄ることができたものの、また最後にはS字の黄旗などの影響で攻めきれず、ちょっと残念でしたね」

■4位:安田 裕信
(ThreeBond Racing/Car.No12/ThreeBond/ニッサンスリーボンド)
「好スタートで前に出るというイメージを持って、スタートで狙っていたんですが、ホイールスピンしてしまって……。結果的にスタートの失敗だけで、レースをすべて潰してしまったような展開になってしまいました。クルマは速かっただけに、そこだけが悔やまれます。序盤にプッシュしようということで、やや内圧を高めにして出たのですが、1周目には井口選手に詰め寄ることができて、前半かなりプッシュしたものの、最後までタイヤは問題なく、持ちは良かったですね」

■5位:国本 雄資
(PETRONAS TEAM TOM'S/Car.No37/PETRONAS TOM'S F308/トヨタトムス)
「スタートが決まって、1コーナーまでにポジションを上げることができたんですが、2コーナーで安田選手に抜き返されてしまって。その後はセットアップを大幅に変えて行ったせいかトラクションが足らず、残念ながら前について行くことができませんでした。ちょっと予選でセットアップ的に問題があったので、グリッド位置の良い明日の決勝に向けて、今日の第11戦で大きくセットアップを振ったんですが、結果的にはそれがうまく機能しませんでしたね。明日に向けてもまたいろいろ考える必要がありそうです」


◎ Nクラス ◎
■優勝:山本 尚貴
(HFDP RACING/Car.No7/HFDP RACING)
「スタート練習のときに、今までとは少しフィーリングが違っていたので、本番のスタートではその辺りを意識してスタートした結果、まずまず良いスタートを切ることができました。それから1周目にCクラスのマシンに引っ張ってもらうイメージで、背後とのギャップを広げることができたのですが、中盤以降序盤に築いた差をうまく保つことができたことが勝因かなと思います。途中はNクラスの背後のマシンとの間にCクラスのマシンが入ったりしたのですが、ピットからもタイム差などの情報ももらえていましたし、自分自身でも確認できていたので、レースに集中して走ることができました。念願の地元での優勝で、とてもうれしいのは確かですが、チームがすごく良い仕事をしてくれて、クルマも速いのですが、レースウィークの流れをまとめるという点で自分がミスをするなど課題を残している感じなので、ちょっと複雑な面もありますね」

■2位:アレキサンドレ・インペラトーリ
(ACHIEVEMENT by KCMG/Car.No20/ACHIEVEMENT by KCMG)
「全体としてはまずまずのレースだったと思う。2番手からスタートして2位になったわけだからね。スタートを決めて前に出るつもりだったけれど、少しホイールスピンしてしまい2番手のままレースが始まったが、序盤は背後から関口選手の攻勢を受けたものの、なんとか2位のポジションをキープすることが出来て良かったよ。山本選手を追ったけれど、今日の彼は非常に速く追いつけなかった。4〜5周目あたりで左のミラーを失ってしまい、右にはもともとインダクションポッドがあるしで、ほとんど後方視界がない状態での厳しいレースになったので、もし関口選手に詰められたらブロックもできなかったと思う。とにかくミスしないことだけを心掛けたよ」

■3位:関口 雄飛
(AIM SPORTS/Car.No18/EBBRO AIM F307)
「このところずっと調子が悪く、辛かったのですが、今回やっと予選でも3番、1番、決勝でも3位ということで、やっと上位と戦える形になったので、少しホッとしています。けれど、今日は3位だったので、やはり優勝を狙っていただけに悔しい部分もありますね。序盤はすごくペースが良かったので、前のインペラトーリ選手は抜けるかなと思ったのですが、途中で出遅れたCクラスのマシンが絡んできて、間隔が広がってしまって。残念でしたが、もてぎは抜きにくいコースだと分かっていましたから、とにかく明日に向けてデータを取ろうという気持ちで走っていました。だから、明日は絶対に勝ちたいと思いますね」





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