ラウンドもてぎ 第12戦 レポート [Round 12 Report]

●コッツォリーノがポール・トゥ・ウインで初優勝! Nクラスでは山本が連勝飾る

 土曜に行われた第12戦予選で、今季2度目のポールポジションを奪ったのは戸田レーシングのケイ・コッツォリーノ。前回はグリッド降格のペナルティーを受けていたために、実際には3番手からのスタートとなったが、今回は正真正銘最前列からのスタート。これにトムスの国本雄資、井口卓人が続き、さらにはスリーボンドの安田裕信、マーカス・エリクソン、ル・ボーセの嵯峨宏紀までが3列目に並ぶグリッドとなった。

 薄曇りとなった日曜のもてぎ。午後零時48分にレッドシグナルが消え、20周の戦いが始まった。

 スタートで抜群の動き出しを見せたのはフロントロウの2台、コッツォリーノと国本。ともに好スタートを決めたことで、順位は変わらず1コーナーへ。その背後ではエリクソン、井口、安田が入り乱れての3位争いを見せるが、大外のラインを採ったエリクソンのリヤに、イン側の安田と競っていた井口が行き場を失ってヒット。これでバランスを崩したエリクソンがはらんだところで、安田、井口が3〜4番手を奪い、エリクソンは5番手に。これに嵯峨、岩崎祐貴が続く。

 トップに立ったコッツォリーノは、2番手の国本をじりじりと引き離すと、4周で2秒のマージンを構築。その後も国本追随を許さぬ快走を続ける。その背後では安田、井口、エリクソンが三つ巴の接近戦を展開もオーダーの変動はなく、昨日同様拮抗した展開となった。

 結局コッツォリーノは11周目に1分47秒855をマークし、ファステストラップをも手中に収めると、国本に最大5秒半のギャップを築く独走を見せ、トップでチェッカー。ガッツポーズでウイニングラン、自らのF3初優勝を祝うこととなった。国本は2番手に甘んじたものの、ポイントリーダーのエリクソンが5位に終わったため、ポイントランキングでは5ポイント差とトップとの間合いを詰めることに。3位には安田が入り、井口は4位。嵯峨、岩崎が6〜7位に。

 なお、Nクラスでは久々のポールポジションを奪っていたエイムスポーツの関口雄飛が、グリッド上でエンジン始動できずピットスタートになる不運。代わって事実上のポールポジションからのスタートとなったHFDP RACINGの山本尚貴が、2番手のACHIEVEMENT by KCMG・アレキサンドレ・インペラトーリを13秒も引き離す圧倒的な強さを見せて、今季5勝目をマーク、ポイントリーダーの座を確固たるものに。3位にはインペラトーリに詰め寄るも攻略には至らなかったチームノバの佐藤公哉。4位には同じく千代勝正、5位に関口雄飛、6位に黒田吉隆という結果となった。



全日本F3選手権 第12戦 決勝上位ドライバーコメント

◎ Cクラス ◎
■優勝:ケイ・コッツォリーノ(TODA RACING/Car.No2/TODA FIGHTEX/無限戸田)
「まず何よりも、ここまでとても苦労をしてクルマを完璧に仕上げて来てくれたチームに感謝したいと思います。昨日も勝てるかもしれないとは思ったのですが、エリクソン選手のペースが速く、まだ自分達に足りない部分があるなと思ったので、今日に向けてはエンジニアとクルマのことや作戦などをいろいろ考えて臨みました。その結果、今日はスタートもうまく決めることができましたし、タイヤも最後までほとんどタレることもなく、クルマは1周目から最終ラップまで非常に速く、抑えて走っても大丈夫なくらいでした。背後からのプレッシャーもほとんどなく、序盤だけプッシュしてギャップを築けたので、5〜6周目にはもう“勝てるな”と思いましたが、あとは安定したラップを刻むことだけを考えていました。今回が初優勝ですが、勝つときというのはこんなに簡単なものかと感じました。とにかくホンダのサーキットであるもてぎで勝てて、本当にうれしいです」

■2位:国本 雄資(PETRONAS TEAM TOM'S/Car.No37/PETRONAS TOM'S F308/トヨタトムス)
「今日は2番手スタートだったのですが、やはりスタートが一番前に出られるチャンスがあると思って狙っていたものの、それが果たせなくて。それで2番手となった後も、必ずチャンスが来ると思ってプッシュし続けたんですが、それ以上にコッツォリーノ選手が速くて……。まぁ、今日は完敗ですね。昨日新スペックのタイヤに合わせるべく、セットアップを大きく変えたのですが、それがうまく行かず、今日はまたいろいろ考え直してセットアップをし直したところ、その効果は多少あったんですが、2番に終わってしまいました」

■3位:安田 裕信(ThreeBond Racing/Car.No12/ThreeBond/ニッサンスリーボンド)
「週末を通じて、クルマのポテンシャルが今回少し良くなっていたので、再びトップ3で勝負できる状態だったんですが、昨日は3番手スタートだったので、スタートを決めてうまくレースを運べればと思っていたら、スタートで大外ししてしまって。それが、今日は逆に1コーナーで3番手に上がれたことで、なんとか満足できる結果になったと思います。昨日はスタートで狙っていたので、少し内圧を高めにして勝負していったんですが、今日は内圧の低いセットも試してみようということだったので、多少序盤苦しかったのですが、中盤以降は良いペースで走れたのではないかと思います。あともう少しずつ詰めて行けば、トップとの差も詰まると思うので、今後も頑張りたいですね」

■4位:井口 卓人(PETRONAS TEAM TOM'S/Car.No36/PETRONAS TOM'S F308/トヨタトムス)
「スタートがすべてでしたね。レース中もあきらめることなくずっとプッシュしていたんですが、やはり抜けないサーキットなのでなかなか前に出ることができませんでした。スタート自体は悪くなかったものの、シグナルに対する反応が遅かったように思います。前にマシンがいなければ、もっとタイム的にも速いペースで走れたとは思うんですが、自分の責任ですから……。次戦のオートポリスは自分にとっては地元ですし、昨年勝っている得意なサーキットなので、とにかく次で勝ってポイントの差を減らして最終戦に勝負できるような形に持って行ければと思います」

■5位:マーカス・エリクソン(PETRONAS TEAM TOM'S/Car.No1/PETRONAS TOM'S F308/トヨタトムス)
「うまくスタートが決まって、1コーナーでは3番手あたりまで行ったんだけれど、イン側にいた井口選手に右リヤを僅かにヒットされてバランスを崩し、立ち上がりでワイドになったところを2台にパスされてしまって5番手に戻ることになったんだ。その後接触の影響か、ややマシンのリヤのバランスが悪くてペース的にも今ひとつだった。残念だけれど、予選が悪かったのだから仕方ない。今のF3では、やはり予選順位が重要だと再確認させられたよ。残りのオートポリスも菅生も知らないサーキットだけれど、どうしてもチャンピオンは獲りたいし、金曜の走行でなんとかペースをつかみ、経験に勝る井口選手や国本選手と互角に戦えればいいね」


◎ Nクラス ◎
■優勝:山本 尚貴(HFDP RACING/Car.No7/HFDP RACING)
「優勝できたということを素直に喜びたいと思います。スタートは若干ストール気味だったんですが、なんとかレースとしてはうまくすべてが噛み合った感じになって良かったなと。関口選手がトラブルでピットスタートになったので、事実上のポールスタートのような形になったわけですが、そういう状況の中で、自分のクルマはちゃんとエンジンが掛かって、最後まで走ることができたわけで、そういうしっかりとしたマシンを作り上げてくれたスタッフに感謝したいと思いますし、今回の連勝は僕の力ではなくて、応援してくださったみなさんやチームスタッフみんなの優勝だと思っています。今日の結果からも分かるようにクルマは完璧ですし、残り2大会で自分がきっちり週末の流れやリズムの作り方を全力で、しっかりとやることで、なんとかチャンスをつかむことができればと思います」

■2位:アレキサンドレ・インペラトーリ(ACHIEVEMENT by KCMG/Car.No20/ACHIEVEMENT by KCMG)
「今日は山本選手が非常に速かったし、予選4位からのスタートだったので、2位という結果は悪くはないと思う。昨晩、なんとか今日は優勝を狙おうということで、チームといろいろ考えてセットアップなど考えて臨んだけれど、今日はちょっと山本選手に届かなかったね。ただ、中盤以降背後に山本選手が上がってきたものの、それほど大きなプレッシャーはなかったし、自分がミスさえしなければ抜かれることはないだろうと思っていたから、基本的には落ち着いた良いレースができたんじゃないかと思うよ」

■3位:佐藤 公哉(TEAM NOVA/Car.No23/NDDP EBBRO)
「今週末はずっとセットアップに悩んでいて、頑張っても4〜5番手という状況でしたが、さらに昨日も今日もスタートで失敗してしまって。スタートが決まっていれば、インペラトーリ選手の前には出ていたんじゃないかと思いますが、それがスタートミスがあったせいで千代選手に先行されてしまって。千代選手をかわしてインペラトーリ選手に1秒以内の差にまでは追いつけたんですが、そこからは空力的な悪影響を受けてバランスが苦しく、抜くことはできませんでした。残念ながら今回から導入された新スペックのタイヤでのセットアップに悩んでしまったわけですが、それについてはまだ方向が見えておらず、オートポリスに向けた課題として残ってしまった感じですね」




gotoback