ラウンドオートポリス 第13戦 レポート [Round 13 Report]

● 地元で復活! 井口が今季4勝目 山本はNクラス王者に王手!

 8月29日、オートポリスで全日本F3選手権第13戦決勝が行われ、Cクラスではトムスの井口卓人が、ポールポジションから第3戦以来の優勝。Nクラスでも同じくポールポジションからスタートしたHFDP RACINGの山本尚貴が優勝を飾った。

 気温27℃、路面温度47℃と、午前の予選時よりも暑さを増した午後3時25分、第13戦決勝のフォーメイションがスタート。Cクラスでは久々のポールシッターとなった井口、マーカス・エリクソンのトムス勢がフロントロウに並び、スリーボンドの安田裕信、トムスの国本雄資が3〜4番手。3列目にはル・ボーセの嵯峨宏紀、戸田レーシングのケイ・コッツォリーノが並ぶ。Nクラスの山本尚貴、チーム・ノバの佐藤公哉がこれに続き、Cクラスの岩崎祐貴を挟んで、HFDP RACINGの小林崇志、ACHIEVEMENT by KCMGのアレキサンドレ・インペラトーリらというグリッドとなった。

 迎えたスタート。井口はまずまずの動き出しでエリクソンからトップを守ったまま1コーナーへ。しかし、その後ろではスタートでホイールスピンを喫した安田をかわした嵯峨が、国本をもパス。国本はここでさらにコッツォリーノ、安田の後塵を拝することに。

 ところが、スタート直後Nクラスの集団の中で、久保田克昭が後続車との接触でバランスを失ってイン側に巻き込み、関口雄飛を巻き込む形でイン側のガードレールにクラッシュ。久保田と関口に怪我はなく、不幸中の幸いではあったが、このためコースにはセーフティーカーが介入することに。

 せっかく築きかけたマージンを失った井口だったが、3周終了時のリスタートでもスリップを生かして井口をかわそうとするエリクソンを抑え、トップのまま1コーナーをクリア。井口、エリクソン、嵯峨、安田、コッツォリーノ、国本というトップ6でレースが進行する。

 抜きどころの少ないオートポリスとあって、拮抗した展開となる中、嵯峨と安田の激しい3位争いが続くが、なんと9周目の100Rでタイヤかすを拾った嵯峨がバイブレーションのためややスローダウン。この機を捉えた安田が、アウトから第2ヘアピンのブレーキング勝負を挑むが、イン側で嵯峨も粘り、結局安田がレイトブレーキングしすぎたか、コースオフし6番手にドロップすることに。

 トップに立った井口は、エリクソンをじりじりと引き離すと、地元九州で復活の4勝目をマーク。エリクソン、嵯峨が表彰台に立ち、コッツォリーノ、国本が4〜5位。安田、岩崎祐貴が6〜7位となった。

 Nクラスではスタートからトップに立った山本が、Nクラス2番手の佐藤との間にCクラスの岩崎を間に挟む理想的な展開に持ち込むと、11周目に岩崎の先行を許すも、佐藤に付け入る隙を与えずポール・トゥ・ウイン。これで山本は明日の結果如何ではNクラスチャンピオンを手にする可能性が出ることに。2位に佐藤、3位には第8戦以来の表彰台となったチーム・ノバの千代勝正が入っている。



全日本F3選手権 第13戦 決勝上位ドライバーコメント

◎ Cクラス ◎

■優勝:井口 卓人
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No36/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「昨日からクルマの調子がすごく良くて、チームメイトに対してもマージンがあったので、予選に関しては自分が最高の走りをすれば必ずポールポジションが獲れると思っていましたが、決勝に関しても、去年もここのコースを走って抜きにくいサーキットだと分かっていたので、スタートさえ決めれば優勝できるんじゃないかと考えていました。本当に良いスタートを切ってギャップを稼いだんですが、すぐにセーフティーカーが入ってしまって。SCボードが出たときにはいやな感じになったのですが、SC中もちゃんとタイヤを温めることを心がけ、リスタートでもちょっと危ないシーンもありましたが、落ち着いて走ったのが良かったと思います。去年は開幕3連勝したものの、その後1勝もできないままシーズンを終えてしまい、マカオにも出られず非常に悔しい思いをしたので、今年は同じ思いは絶対にしたくないと思っていましたから、ここで勝てて本当にうれしいです。ランキング2位に上がったのですが、明日も今日と同じポールポジションスタートなので、落ち着いて良いスタートを決めて、自分を走りを心がければ大丈夫だと思います」

■2位:マーカス・エリクソン
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No1/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「オートポリスはコースの幅が狭いので抜きづらいサーキットということで、スタートでなんとか井口の前に出られれば、と思ったけれど、残念ながらそれはうまく行かなかったね。結局2番手で井口を追う展開となったが、今週末は彼がとても強く、一方自分はバンピーでとてもテクニカルなこのオートポリスでのドライビングやセットアップに苦戦して、スピード的に充分ではなかったので、リスタートは大きなチャンスだと狙っていたんだ。それでなんとかリスタートでは井口のスリップにつけたが、井口もスペースを空けなかったし、オーバーテイクできなかった。個人的には悔しいし満足はしていないけれど、2位は決して悪い結果ではないよね」

■3位:嵯峨 宏紀
(DENSO Team Le Beausset/Car.No62/DENSO・ルボーセF308/トヨタハナシマ)
「スタートが決まって、すぐに安田選手をパスし、さらに1コーナーで国本選手のインに飛び込んだのですが、ギリギリ飛び込んだ感じでインベタを走るような形だったので、立ち上がりで抜き返されるかもしれないと思ったものの、僕の後ろに付いたようで来なかったですし、3コーナーでコッツォリーノ選手に並ばれかけましたが、そのままうまく3番手に上がることができました。その後背後に安田選手がいる状況が続き、なんとかポジションをキープできていたものの、9周目の100Rで大きなタイヤかすを右フロントタイヤに拾ってしまい、すごい振動で一瞬バーストでもしたのかとアクセルを緩めたために、安田選手に第2ヘアピンで並ばれかけて。結果的に安田選手がコースオフしてくれたので、最後まで3位のまま逃げ切ることが出来て良かったです」

■4位:ケイ・コッツォリーノ
(TODA RACING/Car.No2/TODA FIGHTEX/無限戸田)
「スタートが決まってひとつポジションを上げ、さらに2コーナーで嵯峨選手に並びかけたのですが、閉められてそこで抜けず失速したところをアウトから安田選手にパスされてしまい、5番手というポジションになりました。セーフティーカーランのときに、タイヤかすを拾ってしまったので、そのせいでちょっと仕掛けられなかったんです。予選に比べれば多少良くはなっているんですが、まだ一発の速さが足りない感じなので、もう少しメリハリを出せるようなクルマの方向性とドライビングでアジャストして、明日は結果はもちろん最終戦の菅生につなげられるように、方向性などでポジティブな面を見つけられればと思います」

■5位:国本 雄資
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No37/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「スタートがすごく決まって、イン側に切れ込む感じで3番手に上がったのですが、1コーナーでイン側から嵯峨選手がかなり良い勢いでブレーキングで来たために、自分がイン側に切り込めなくなってしまい、行き場がなくなって順位が落ちてしまいましたね。普通に並んでコーナーに入ろうかとも思ったのですが、そのまま行くとぶつかりそうだったので……。結局その1コーナーで嵯峨選手、コッツォリーノ選手、安田選手の3台に行かれてしまって。とにかくプッシュしたんですが、高速コーナーでのアンダーステアがきつくてタイヤをこじってしまい、単独になってもペースが上げられませんでしたね。明日も同様にスタートを決めて、今日のようなことが1コーナーで起きないよう、いろいろ考えて上位を目指したいですね」

◎ Nクラス ◎
■優勝:山本 尚貴
(HFDP RACING/Car.No7/HFDP RACING)
「スタートをうまく決めることが出来たんですが、セーフティーカーが入ってからは、隊列としては中段なんですが、クラストップということで、自分が先頭のつもりでうまく最終コーナーを立ち上がることができて、そこでリードを広げることもできましたし、途中まではCクラスのマシンが背後にいたので、本当に理想の展開に持ち込むことができました。後半になってCクラスのクルマに先行されたときでも、背後に同じNクラスの佐藤選手が上がったものの、あまり気にならなかったですね。チャンピオンをターゲットにしていますから、あまり余計なことは考えず、明日タイトルが決まる可能性もありますが、集中してレースに勝てれば良いと思います」

■2位:佐藤 公哉
(TEAM NOVA/Car.No23/NDDP EBBRO)
「スタートの位置がピットロード側で汚れていたことで、自分のスタートがうまく行かなかったこともあり、後ろのグリッドのCクラスの岩崎選手に抜かれてしまったことが、今回のレースのポイントになってしまいました。岩崎選手をパスできそうなチャンスもあったのですが、結局抜けずにペースが落ちてしまい、山本選手とのギャップが開いてしまった感じでした。ただ、長い距離を走ったデータが無かったので、セットアップ的には後半辛い状況になり、山本選手が前に来たときでも、追いつきはしても抜けなかったと思います。このままでは明日も勝てないでしょうから、これからエンジニアとミーティングなどして明日は勝負をかけ、山本選手にタイトルを決められないように頑張りたいと思います」

■3位:千代 勝正
(TEAM NOVA/Car.No22/NDDP EBBRO)
「初めてのサーキットということで、今週を通してとても苦戦していたのですが、予選も自分の一番の走りができなくてタイムも上がらなくて。セッティングも失敗していた感じだったのですが、レースに向けてエンジニアがうまくマシンをまとめてくれて、自分もそれを信じて一生懸命走ったら、こういう3位という結果になったので良かったと思います。ここまでちょっと苦戦したり展開に恵まれないレースが続いていたのですが、今日はこの(表彰台、記者会見という)場所に戻って来れて良かったです」



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