ラウンドオートポリス 第14戦 レポート [Round 14 Report]

●井口が連勝でランキング首位に! Nクラスでは山本が今季王者を獲得!

 前日の第13戦よりも天候が好転し、気温29℃、路面温度50℃という暑い中での戦いとなった第14戦決勝。フロントロウには井口卓人、安田裕信、2列目にはマーカス・エリクソン、国本雄資、そして3列目にはケイ・コッツォリーノと嵯峨宏紀が並ぶことに。また、これに続いた岩崎祐貴の次にはNクラスのポールシッター、山本尚貴を筆頭に佐藤公哉、アレキサンドレ・インペラトーリ、小林崇志、さらに関口雄飛、黒田吉隆らが続くこととなった。

 迎えたスタートは午後零時48分。まずまずの動き出しを見せた井口が昨日同様トップで1コーナーに入るが、安田はやや出遅れ、代わって1コーナーに飛び込んだのはイン側エリクソン、アウト側国本のトムス勢。しかし、1コーナーのブレーキングでややアウトにはらんだエリクソンのフロントホイールが、国本のサイドポンツーンにヒット。このため2台は1コーナーアウト側のグラベルに飛び出してしまい、上位陣のオーダーは井口、安田、コッツォリーノ、嵯峨、岩崎。この後にNクラスのトップ山本以下、インペラトーリ、小林らが続き、Nクラスで予選2番手だった佐藤はスタートに失敗、大きくポジションを落とす。

 1周目で既に2秒近いマージンを稼いだ井口は、2周目に1分42秒689のファステストラップをマークするなど、2位の安田をじりじりと突き離して行く展開。最後まで手綱を緩めることなく、そのまま独走で連続ポール・トゥ・ウインを達成することに。2位の安田も徐々に単独走行となり、そのまま2位でチェッカー。安田に次ぐコッツォリーノはレース後半嵯峨の攻勢を受け、第1ヘアピンの立ち上がりなどでは、トラクションに苦しむコッツォリーノを嵯峨は追いたてるなど、両者は時折軽く接触するほどの接戦を演じるが、最終的にコッツォリーノが3位のポジションを守ることとなった。

 一方、スタート直後の1コーナーで出遅れたエリクソンと国本は、懸命の追い上げを見せるも5位の岩崎をかわすまでには至らず、6〜7位でのフィニッシュ。今週末になんとフルポイントの24ポイントを獲得した井口が、一気にエリクソンを逆転し、ポイントランキング首位に躍り出た。この井口に対し、6ポイント差でエリクソンが続き、第14戦でノーポイントに終わった国本は、17ポイント差とタイトル争いの面では窮地に追い込まれることとなった。

 一方、Nクラスを終始リード、出遅れたCクラスマシンも抜きあぐねる速さを見せた山本は、こちらも独走で優勝。鈴鹿からの連勝を“5”に伸ばすとともに、今季のNクラスチャンピオンを獲得することに。

 この山本に続いたインペラトーリは、終始小林と1秒前後の間隔での攻防を演じるも、手堅く逃げ切り2位に。3位に小林が入り、第10戦鈴鹿以来の3位表彰台獲得となった。



◎ Cクラス ◎
■優勝:井口 卓人
(PETRONAS TEAM TOM’S/Car.No36/PETRONAS TOM’S F308/トヨタトムス)
「スタートではちょっとミスしたんですが、1コーナーにトップで入れたので良かったです。後ろでチームメイトのエリクソン選手がレイトブレーキングでブレーキをロックさせたのがミラーで見えたので、危ないなと思ったんですが……。ただ、その後はチームから背後の安田選手とのギャップを教えてもらいつつ走りましたが、うまくギャップを作ることが出来ましたね。これでランキングトップに立ったわけですが、昨年最終戦の菅生では悔しい思いをしていますので、今年は絶対に負けたくないし、もちろんマカオを見据えたレースをしなければいけないので、集中して自分の走りをしたいと思います」

■2位:安田 裕信
(ThreeBond Racing/Car.No12/ThreeBond/ニッサンスリーボンド)
「昨日も今日も、敗因はスタートをうまく決められなかったことだと思います。しかし、今回オートポリスに来て金曜はすごく調子が良かったですし、良い流れで来ていたものの、土曜の予選が暑いコンディションになってしまい、僕達のマシン的には伸び悩む部分があったのですが、トムス勢の井口選手の場合は暑くなってもタイム的にあまり変わらなかったので、そのあたりに差を感じました。今日のレースラップ的には井口選手には及びませんでしたが、自分達チームとしては昨日からセットアップを変えるなどして、良くなっているので、この調子で次戦の菅生も戦えれば。過去スリーボンドはオートポリスではあまり良く無かったんですが、今回は良かったので、スリーボンドの得意な菅生でも期待したいと思いますね」

■3位:ケイ・コッツォリーノ
(TODA RACING/Car.No2/TODA FIGHTEX/無限戸田)
「5番手からのスタートだったのですが、金曜日から良いリズムがつかみ切れない感じだったし、今日のレースでもスタート直後に前のマシンのミスで順位を上げているので、満足はしていません。レース自体は後半リヤが厳しくなってきて、嵯峨選手に詰め寄られたのですが、第1ヘアピンの立ち上がりなど、トラクションがなくてなかなかアクセルが踏めなかったので、幾度か嵯峨選手に追突される形になりましたが、向こうの方が早くアクセルを踏めるような状況だったので、仕方ないと思います。セットアップに関してもドライビングに関しても、昨日から今日もいろいろとやってみたのですが、今日もかなり苦しんでしまったので、また菅生に向けてはマシンもドライビングもいろいろとやらなければならないと思います」

■4位:嵯峨 宏紀
(DENSO Team Le Beausset/Car.No62/DENSO・ルボーセF308/トヨタハナシマ)
「スタート直後、トムス勢3台がやりあってい中で、エリクソン選手と国本選手が接触したので、うまくその間隙を縫ってポジションを上げることができましたね。その後、コッツォリーノ選手に次ぐ4位を走っていましたが、無線で後ろから出遅れたトムス勢が良いペースで追い上げてきているという情報もあってペースを上げましたし、コッツォリーノ選手が後半ペースが落ちたこともあって、ギャップが縮まったのですが、最終コーナーなどで向こうに大きなミスがあれば抜けたと思うのですが、コッツォリーノ選手はストレートが速く、残念ながら抜くことはできませんでしたね」

■5位:岩崎 祐貴
(NOW MOTORSPORT/Car.No33/イワサキインダストリーF308/トヨタトムス)
「スタートでエンジンの回転が落ちてしまい、ストール仕掛ける感じで失敗したのですが、非常に悪いというほどでもなく、1周目を終えて5番手になりました。その後しばらく嵯峨選手を1秒前後の差で追う展開になったのですが、レース後半はリヤがどんどんルーズになってきて、ブレーキングでも不安定な感じになったので、ペースが上げられず前とのギャップが開いてしまいました。終盤エリクソン選手が近づいてきたのですが、思っていたよりは後ろを気にせず走ることができたと思います。今週末は地元でのレースということで、いつも以上に結果が欲しかったのですが、初めてF3で走るコースということもあって結果が残せず悔しいですね」


◎ Nクラス ◎
■優勝:山本 尚貴
(HFDP RACING/Car.No7/HFDP RACING)
「昨日に続いてスタートに成功して、トップで1コーナーに入ることができました。それからは後ろを気にせず、前だけを見て、とにかく後ろを引き離して自分の走りをするんだという強い意志で走りました。後ろから出遅れたCクラスのマシンが来るということで、昨日も同じような展開になったのですが、昨日の経験もありましたしそれほど大きくタイムをロスすることもありませんでしたし、田中弘監督からもどこのコーナーで行かせれば良いから、というような指示をもらっていましたので、とにかく自分の走りに集中することができました。今日の結果で、Nクラスのチャンピオンになれたわけですが、今はこのクルマを仕上げてくださった金石オーナーや田中監督、チームスタッフ、さらにはこのクルマのデータを残してくださった伊沢拓也さんや塚越広大さん、本当にたくさんの方への感謝の気持ちでいっぱいです。菅生はチャンピオンとして恥ずかしくないレースをして、また連勝して来年につなげたいと思います」

■2位:アレキサンドレ・インペラトーリ
(ACHIEVEMENT by KCMG/Car.No20/ACHIEVEMENT by KCMG)
「昨日はスタートでストール、今日もそれほど良いスタートではなかったんだけれど、佐藤選手がスタートに失敗していたこともあって、うまく2番手に上がることができた。ただ、クルマ的には今ひとつの部分もあったので、無理をすれば山本選手に食らいつくことができたとは思うけれど、後ろから小林選手も来ていたので、無理せずそこそこのラップタイムをキープしつつ、2番手を守る格好になってしまったね。その分、背後からはそれほどのプレッシャーはなかったけれど、山本選手を追うことはできなかったんだ」

■3位:小林 崇志
(HFDP RACING/Car.No8/HFDP RACING)
「昨日はスタートで失敗してしまって4番手になるという、悔しいレースをしてしまったんですが、今日はスタートが決まってもう少しで2位に上がれそうなところまで行けたんですが、結果的に3位になって。僅差でインペラトーリ選手を追いかけたんですが、ダウンフォースの関係で残念ながら抜くというのはなかなか難しい状態でした。相手が大きなミスをしないとチャンスはなかったと思いますが、インペラトーリ選手はミスをしなかったので、悔しいというか、3位とはいえもうちょっとで2位になれたのに、という思いはありますね」




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