●第56回マカオGP 木曜日 予選1回目 リリース F3世界一決定戦として知られる第56回マカオGPが11月19日に開幕。全日本F3選手権からエントリーしたマーカス・エリクソン、井口卓人、国本雄資、ケイ・コッツォリーノ、嵯峨宏紀、そしてアレキサンドレ・インペラトーリの6選手が、各国F3シリーズのトップコンテンダーたちとの戦いをスタートさせた。 この数日、例年にない寒さとなっているマカオだけに、走行開始となった午前10時30分からのフリー走行1回目も、気温15℃、路面温度19℃というコンディションに。うす曇りの空の下、昨年の覇者として1番ピットを使うトムスのエリクソン、井口の2台を先頭にコースインが始まったが、序盤は昨年2位のエドアルド・モルターラがセッショントップを奪う。難コースとして知られるマカオだけに、開始15分で赤旗中断となったが、残り7分ほどで再開されたセッションの終盤にエリクソンが2分13秒035でトップに立ちセッションは終了。結局エリクソンが幸先の良いスタートを切ったが、その他の日本勢も問題なく無事にセッションを終了。コッツォリーノが18位、井口が20位、嵯峨が21位、インペラトーリが22位、国本が23位となった。 午後2時からの予選1回目も、やや暖かくなったとはいえ気温18℃、路面温度25℃というコンディション。エリクソンは、モルターラやブレンダン・ハートレー、ダニエル・リッチャルド、サム・バードといった強豪たちと上位を争い、井口、コッツォリーノ、嵯峨らは堅実に10〜20番手で推移しつつセットアップとコース攻略を進めていくが、残念ながらインペラトーリはセッション開始直後にアクセルペダルが壊れ、ピットでじっとモニターをにらみつつ修復を待つことに。 赤旗もなく、順調に進んだこのセッション、序盤はモルターラ、ハートレーらの先行を許したエリクソンだったが、セッション残り2分のところで2分11秒811を叩き出して見事暫定ポールポジションをゲット。初日から全日本F3王者の高いパフォーマンスを世界戦でアピールすることとなった。一方、明日の予選2回目に集中するべくニュータイヤを投入せず周回を重ねた他の日本勢は、井口が17位、コッツォリーノが18位、嵯峨が20位、国本が22位。修復を終えてピットアウトも、さらに左リヤタイヤのパンクに見舞われ、わずか8周にとどまったインペラトーリは24位でこのセッションを終えることとなった。 明日も再びフリー走行2回目、そして予選2回目が行われ、今日の予選1回目のタイムとの総合結果により、土曜日の予選レースのグリッドが決する。 ■:マーカス・エリクソン フリー走行1回目:1位 予選1回目:1位 (TOM’S/Car.No1/ダラーラF308・トヨタトムス) 「フリー走行も予選1回目も、両セッションでトップを獲れたということで良い1日になったね! もちろん今日よりも明日、土曜、そして日曜のほうが重要になってくるけれど、好スタートを切ることも大切だし、それが出来たから最高だよ。予選では赤旗が出るような大きなクラッシュもあまりなかったけれど、ちょっとタイムを出すのに時間が掛かっちゃったかな。でも、ステップbyステップでタイムを上げて行った。焦ってプッシュしてしまうと、ここでは簡単にクラッシュしてしまうからね。もちろん他のドライバーたちも同じだろうけれど、木曜にクラッシュしてしまうと週末を通じて大きな影響が出てしまうから、僕たちもリスクを考えて、まだマージンを残している。とはいえ良いドライバー、良いチームが集まっているマカオGPだけに、明日の予選ではもっとタイトでタフなセッションになるだろうけれど、トムス、トヨタ、そして応援してくれる人たちのためにも明日も頑張るよ!」 ■:井口 卓人 フリー走行1回目:20位 予選1回目:17位 (TOM’S/Car.No2/ダラーラF308・トヨタトムス) 「タイム的に朝のフリーに比べてかなり上がったし、今までの流れを考えると、周囲も速いけれど僕の状況も悪くないと思います。まだ全然攻めていないし、タイヤも使っていませんからね。タイムが上がったのは、路面がすごく良くなっているのもありますが、一番は僕自身が山側で結構攻められるようになって来ているから。クラッシュをしないように走っていますが、その中でもリスボアなどのブレーキングでどこまで行けるかを試したり出来ているので、気持ち的に1日目が無事に終わって楽になりました。あとはセッティングを微調整して、予選2回目にプッシュするだけです。基本的に順調ですね」 ■:国本 雄資 フリー走行1回目:23位 予選1回目:22位 (NOW Motorsports/Car.No23/ダラーラF308/トヨタトムス) 「予選1回目に向けては、朝からちょっとウイングを寝かしたぐらいでバランスを取って出たんですが、あまり順位は良くなかったものの、まだ山側でも安全な感じで走っているので明日以降は大丈夫だと思います。基本的に初日は無理せず、コースやマシンに慣れるということが目的でしたが、その部分に関してもクルマにも、コースにも慣れたので問題ありません。タイヤも最初の1セット目しか使っていないので、そのまま明日のフリー走行を走って、予選2回目にニュータイヤで2回アタックする予定です。現状はちょっとアンダーステアなんですが、予選になればコンディションも上がり、クルマも曲がるようになってタイムが上がってくると思うので、そのときにしっかり合わせられれば、上位に行けると思います。プログラム通りなので、順調です」 ■:ケイ・コッツォリーノ フリー走行1回目:18位 予選1回目:18位 (TODA RACING/Car.No2/ダラーラF308/無限戸田) 「今日は予選1回目と言っても僕の中ではセカンドプラクティスという感じで、朝のフリー走行で少しあったバランスの問題の解決に努めました。けれど、予選でそれを解決したことで、そろそろ攻め込めるような状態のクルマになってきたような手応えがあるので、基本的には良かったなと思います。気温が低く、コンディションが良かったので、ニュータイヤを使ったほうが良かったかも、という気もしますが、もともとのプランが初日をセット1のみで走りきるというものだったので。結果としては18位なんですが、プログラムの進捗状況としては良いですよ。自分も乗れて来ているし、クルマも良くなって来ている。いろいろ良いところがたくさん見つかったので、あとは明日、徐々にすべてをまとめ始めることになると思います。それがうまく行けば、明日の予選2回目で良いタイムが出るでしょう」 ■:嵯峨 宏紀 フリー走行1回目:21位 予選1回目:20位 (Le Beausset Motorsport/Car.No24/ダラーラF308・トヨタハナシマ) 「予選の途中、リスボアのブレーキングで他のマシンが寄って来て、タイヤ同士が軽く接触しましたが、僕のほうはダメージもなく、無事走行を続けることができラッキーでしたね。朝のフリー走行から、少しセットアップを柔らかい方向に持って行ったんですが、それで接地感も良くなっているし、良い方向に行っていると思います。少しずつ路面も良くなっていく中で、自分も走るたびに少しずつタイムを上げて行く感じだったんですが、まだトップとのタイム差もあるので……。最後に少し引っかかっているので、たぶん14秒台半ばくらいには行けたと思いますが、気温が低いこともあって予想より全体的なタイムが速いですね。明日のフリー走行2回目くらいまでに、なんとか13秒台に入れて、午後の予選2回目でニュータイヤを履き、12秒台に入れればと思っています」 ■:アレキサンドレ・インペラトーリ フリー走行1回目:22位 予選1回目:24位 (KCMG by Kolles & Heinz Union/Car.No31/ダラーラF308・フォルクスワーゲン) 「朝のフリー走行は基本的に周回を重ねてデータを取ろう、クラッシュなどせずに走り切ろうというのがテーマだったので、非常にうまく行ったセッションだった。しかし、予選1回目に向けてセットアップを変更したりパーツを変えたりしたんだけれど、その作業が遅れて時間が掛かった上に、ピットアウトしようとしたらアクセルペダルが壊れてしまって。その修復を待ったために、コースイン自体がかなり遅くなってしまったね。取りあえず2分16秒台のタイムをマークして、いったんピットイン、セットを変更してコースに戻ったら、今度は左リヤタイヤがパンクしてしまった。何かコース上の破片を踏んだのかもしれない。結局8周しかできなかったけれど、何より貴重な走行時間を失ったことが残念だけれど、ちゃんと走れていればパフォーマンス的に問題はなかったと思う。明日に期待するよ!」 |