●第56回マカオGP 金曜日 予選2回目 リリース 昨日開幕した第56回マカオGPは11月20日、2日目を迎えフリー走行2回目、そして予選2回目が行われ、昨日暫定PPを手にしていたトムスのマーカス・エリクソンが逆転でPPを獲得、見事全日本F3王者が明日の予選レースをPPからスタートすることとなった。 午前11時15分、気温16℃、路面温度20℃で始まったフリー走行2回目。序盤からライバル勢と上位を争っていたエリクソンだったが、セッション中盤以降ややバランスに不安定さを感じタイムアップせず。結局エリクソンはこのセッションで5番手にとどまり、ここまでのセッションで初めて首位の座を明け渡す。一方残る日本勢の中では、徐々に井口卓人、嵯峨宏紀、国本雄資らがプッシュし始め、井口13位、嵯峨19位、国本20位、ケイ・コッツォリーノ21位、アレキサンドレ・インペラトーリ23位とポジションはまだまだながら、全員がタイムを上げてくる。 そして迎えた予選2回目は、サポートレースでの赤旗中断などで遅れ、午後3時にスタート。気温18℃、路面温度27℃で始まったセッションは、コースインからニュータイヤを装着したマシンが多く、開始8分あたりから早くも昨日の予選1回目のタイムを上回るマシンが出始める。井口も2分12秒646として、まずは10番手につける。しかし、上位陣ではエリクソンがクリアに恵まれず、苦戦する中エドアルド・モルターラやローレンス・バントールらシグネチャーのドライバーたちが2分11秒台に入れてくる。そのころ、山側でクラッシュが発生し、残り33分46秒で赤旗に。 この中断は午後3時18分にリスタート。その直後、残り30分を切ったところでジャン-カール・ベルネイが2分10秒924とついに10秒台に入れてトップに。その直後には国本も2分12秒547をマークして9番手につけるが、嵯峨、コッツォリーノらは2分13秒台にとどまり、なかなかタイムアップするチャンスに恵まれない。 そうする中、再び山側セクションでクラッシュが発生。タイミング的にはそろそろ3セット目のニュータイヤでの準備のためピットインするマシンが多かったが、さらにコース上でクラッシュが発生したこともあり、セッションは残り19分24秒で再び赤旗になってしまう。 この時点で、トップ3はベルネイ、モルターラ、バントールのシグネチャー勢が占め、全日本F3勢最上位のエリクソンは5番手。国本が11番手、井口が14番手、コッツォリーノが20番手あたりに。メルコヘアピンの先のコース脇に水が染み出してしまったこともあり、処理に時間が掛かり、再開は午後3時59分となった。 残り15分となったところで、井口が2分12秒345で10番手に浮上を果たし、エリクソンも2分11秒961をマークも、まだ昨日のタイムを更新できない。この直後、ダニエル・リッチャルドやバルテリ・ボタスらが2分10秒台に相次いで突入も、再びベルネイが2分10秒081でトップを奪い返す展開。 ヨーロッパの強豪たちの好アタックが続く中、こうした流れを断ち切ったのはエリクソン。残り10分となったところで、ようやくスリップに恵まれたエリクソンは2分10秒042を叩き出し、0.039秒ベルネイのタイムを上回ってトップに。井口も2分12秒024にタイムアップし、再び10番手に浮上。その後も続くアタック合戦の中、プッシュしすぎたか、エリクソンが残り6分、サンフランシスコヒルを駆け上がった先、マツヤコーナー進入でバランスを崩しガードレールにクラッシュ。運よく大きなダメージは避けられたものの、リヤウイングを破損しピットに戻ることに。エリクソン以外にもクラッシュが相次いだことから、セッションは残り2分で三度赤旗となり、結局エリクソンのタイムを上回るドライバーは現れず。エリクソンはトムスに3年連続のPPをもたらすこととなった。 また、健闘の井口は11位、国本は16位、コッツォリーノは21位、嵯峨は24位、インペラトーリは26位で予選を終えているが、インペラトーリは昨日エンジン交換を2度行っているため、残念ながらグリッドが降格され最後尾から明日の予選レースを戦うこととなっている。予選レースでの全日本F3勢の活躍に期待したい。 ■:マーカス・エリクソン フリー走行2回目:5位 予選2回目:PP (TOM’S/Car.No1/ダラーラF308・トヨタトムス) 「なかなかクリアに恵まれず、良いスリップを得るチャンスもなく、正直予選2回目の序盤はどうしたら良いか分からなかった。なんとか終盤になって嵯峨選手のスリップをもらうことが出来て助かった。彼に感謝しないといけないね。でも、無線でもっとプッシュしたほうがいい、という指示があったので、トップに立った後もプッシュし続けたんだけれど、残念ながら限界を超えてしまったようで、クラッシュしてしまった。ウイッシュボーンとリヤウイングにダメージを負ってしまったのは残念だけれど、大きなダメージではなかったし、ポールが獲れたことはうれしいのひとこと。明日は予選レースだけれど、なんとか良い状態で決勝レースに臨めればと思っている。今日もトムスのスタッフはパーフェクトな仕事をやってくれたね」 ■:井口 卓人 フリー走行2回目:13位 予選2回目:11位 (TOM’S/Car.No2/ダラーラF308・トヨタトムス) 「自分的には朝のフリーで感触が良かったので、ひそかに6〜7番手を狙っていたんですが、トラフィックや赤旗などが多くて、ちょっと行けませんでしたね。とりあえずクラッシュなくここまで来ているし、まだ行ける自信もあるので、このポジションでも悪くはないかなと。クルマ的には安全に攻められるよう弱アンダー気味のセットをしていますが、レースになればそういうのは関係なしにダウンフォースも削るでしょうし、タイムは関係なく、とにかく前の車をいかに抜くかだけを考えて走ります。スタートをうまく決めてアクシデントを乗り切れば、明日は5〜6番手にはいけるはず。頑張りますよ」 ■:国本 雄資 フリー走行2回目:20位 予選2回目:16位 (NOW Motorsports/Car.No23/ダラーラF308/トヨタトムス) 「予選ではまずセット2で、終盤15分で履くセット3のニュータイヤでのアタックのシミュレーションをしたのですが、クルマのバランスも良かったし自分のドライビングも結構乗れているなと感じました。しかし、セット3を履いたときに山側、最終コーナーで少しミスをしてしまって……。黄旗や赤旗で本当に1周しかクリアが獲れなかったのに、そこでミスがあって最高の走りができなかったのがちょっと残念でした。11秒台には入るな、というフィーリングがあったんですが。ただ、クルマを壊さず周回を重ねられたし、まだ予選レースもある。明日は16番手からですが、しっかりとレースをして決勝に照準を合わせたいですね。8番手、4列目くらいまで予選レースでいければ、日曜の決勝が面白くなると思います」 ■:ケイ・コッツォリーノ フリー走行2回目:21位 予選2回目:21位 (TODA RACING/Car.No10/ダラーラF308/無限戸田) 「今日はいろいろなトライをしてみたのですが、グリップ感が少なくアンダー傾向が強く、こういう結果になってしまったので、明日以降に向けてもう1回見直しが必要だと思います。木曜日からコースコンディションが良くなり、全体的にタイムが2秒ぐらい上がっている中で、自分は昨日のベストより0.4秒しか上がっていないということで、基本的なコンセプトなど、どこかで間違っているのかもしれません。基本的な部分で間違っているから、いろいろ変えてもあまり向上していかないんじゃないかと思うんです。1台体制で限られた時間内でマカオを戦う以上、細かくピットイン&アウトを繰り返してセットを進めるわけにもいかないし、すごく際どいところでセットアップをしていかなければならないだけに、なかなか成果が見えてこない感じです。ここまで苦戦するとは思っていなかったのですが、予選は予選。明日の予選レース、そして決勝の戦いで挽回していきたいですね」 ■:嵯峨 宏紀 フリー走行2回目:19位 予選2回目:24位 (Le Beausset Motorsport/Car.No24/ダラーラF308・トヨタハナシマ) 「ニュータイヤを2セット使う予定で、実際その通りにセッションを進めたんですが、2セット目のニュータイヤを履いたとき、前との間隔をあけようと、あえて時間少しまってコースインしたものの、それが逆にペースの速い上位陣の集団の前に出てしまい、彼らを先に行かせてからクリアを探っている間に、ちょうど僕の前でマーカスがクラッシュしたりして、結局一番タイヤのおいしいところでアタックし切れぬまま終わってしまいました。結果的に全ラップが黄旗や赤旗に邪魔される形で、何も出来ずに終わってしまった感じですが、逆にこの順位ならば周囲に速いマシンもいなさそうなので、明日の予選レースでとりあえず15番手あたりまでいければ、日曜の決勝でも戦える状況になってくると思います」 ■:アレキサンドレ・インペラトーリ フリー走行2回目:23位 予選2回目:26位 (KCMG by Kolles & Heinz Union/Car.No31/ダラーラF308・フォルクスワーゲン) 「午後の予選では、結果的にトラフィックに翻弄されてしまったかな。タイム的には13秒0あたりまで行けそうなフィーリングはあったんだけれど、残念ながらトラフィックなどに邪魔されてしまったんだ。基本的に僕のベストタイムの周も、半分くらいはトラフィックに巻き込まれていた状況だった。ただ、これがマカオの予選らしいと言えばそうだしね。エンジン交換をしているので、今日のタイムにかかわらず後方からのスタートになる覚悟はしていたんだ。流れとして残念だけれど、来年以降の自分のパフォーマンスのために、いろいり経験を積んであきらめないレースを戦いたいね」
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