●第56回マカオGP 日曜日 決勝レース リリース 4日間に渡ってマカオ市街地コースを舞台に開催された第56回マカオGP。いよいよ11月22日、15周の決勝レースが行われ、優勝を飾ったのはエドアルド・モルターラ。フロントロウからスタートしたトムスのマーカス・エリクソンは惜しくも表彰台獲得はならなかったものの、4位と健闘。同じく井口卓人が6位、国本雄資が9位、嵯峨宏紀が14位でチェッカーを受けた。一方、ケイ・コッツォリーノ、アレキサンドレ・インペラトーリは残念ながら完走はならなかった。 最終コーナーでのアクシデントが幕引きとなったWTCCの興奮冷めやらぬ中、午後3時34分にスタートした決勝レース。前日の予選レースを制したジャン-カール・ベルネイが飛び出すも、エリクソンは出遅れモルターラ、バルテッリ・ボタスの後塵を拝し4番手にドロップ。井口は8番手、国本12番手、コッツォリーノ13番手、嵯峨16番手でリスボアコーナーに進入するが、ここで2台が接触。さらにイギリスF3王者のダニエル・リッチャルドがマツヤコーナー手前でクラッシュしたのを避けきれず、複数のマシンが接触。残念ながら好スタートで大きく順位を上げていたインペラトーリがこのアクシデントに巻き込まれる。 このためレースは赤旗中断となるが、インペラトーリが自力でピットに戻ってフロントサスペンションの修復を受けることとなった他は、全日本F3勢は無事にセーフティーカー先導で再開した決勝レースに挑むことに。全日本F3勢のオーダーはエリクソン4番手、井口7番手、国本11番手、コッツォリーノ12番手、嵯峨13番手。 多くのマシンがクラッシュしたことで、残るは19台のみという状況で迎えた2周終了時のリスタート直後、国本はビクター・ガルシアをかわし10番手に浮上。逆に嵯峨はローダウンフォースに賭けた後方スタートのユーロ王者ジュール・ビアンキにかわされ15番手に。 懸命にプッシュを続けた全日本F3勢だったが、上位陣では大きな順位変動のないまま周回が進む。しかし、12周目、トップを快走していたベルネイをモルターラがパスした直後、エリクソンもサム・バードの先行を許し5番手に。また、フィッシャーマンズベンドの手前でコッツォリーノがトラブルからストップ、惜しくもレースを終えてしまう。一方13周目には、ピットでの修復を終えたインペラトーリがピットアウト。残り周回は少ないが、決勝レースに復帰を果たす。 このままのオーダーでフィニッシュかと思われた最終ラップ、6位を走行していたロベルト・マーヒがリスボアでスピン。井口は労せず6番手、国本も9番手、嵯峨も14番手にそれぞれ順位を上げる。さらには3位を走行していたボタスがホイール周りのトラブルでスローダウン、エリクソンも4位にポジションを上げて、モルターラ、ベルネイ、バードに次いでチェッカーを受けた。 トムス勢の連覇は惜しくも潰えたが、全日本F3から参戦したドライバー3人がトップ10入りするなど、各チーム、ドライバーともに大きな収穫を手にして今大会を終えることとなった。 ■4位:マーカス・エリクソン (TOM’S/Car.No1/ダラーラF308・トヨタトムス) 「残念ながら少しホイールスピンしてスタートに失敗してしまった。それでボタスやモルターラの先行を許してしまったんだ。それでもリスタート直後にはボタスに詰め寄ったんだけれど、今日はローダウンフォースセッティングで決勝に臨んだものの、山側で思いのほか辛く、徐々にタイヤが厳しくなってしまった。終盤はアンダーステア傾向に悩まされ、最後の数周はクラッシュしないように走るだけでも本当に辛かった。それでバードにも抜かれてしまった。トムスの3連覇はもちろん、表彰台にも立てなかったことが残念でならないけれど、今週末はシグネチャーとフォルクスワーゲンエンジンが速かった。ただ、チームはこの週末完璧な仕事をしてくれた。素晴らしいチームでこの1年戦えたことを感謝するよ」 ■6位:井口 卓人 (TOM’S/Car.No2/ダラーラF308・トヨタトムス) 「スタートからずっと追ったものの、なかなかマーヒを抜けそうで抜けないという展開だったんですが、終盤自分もフィッシャーマンやRベンドでミスをしてギリギリぶつかりそうなところまでいってしまい、そこでいったんギャップが開いてしまいました。ただ、その直後彼のミスもあってポジションが上げられたのは良かったですね。マーヒがリスボアでスピンしたのが見えたんですが、無理やり復帰してくるかなと思ったものの、向こうも無茶はしなかったので、その横をすり抜けてポジションを上げました。6位と言うことですが、もちろん表彰台を狙ってこのマカオに来たので、表彰台に乗りたかったですけれど、この強豪ぞろいの中で徐々にペースを上げてクラッシュせずに戦えたのはプログラムどおりだったかなと思います」 ■9位:国本 雄資 (NOW Motorsports/Car.No23/ダラーラF308/トヨタトムス) 「セーフティーカー後のリスタートで前のマシンをパスすることもできましたし、自分がずっと遅かったセクター3も今日は結構良い感じで走れました。山側でもミカ・マキに問題なくついていけていたし、良いペースで走れたので来年につながるんじゃないかと思います。結果として9位だったんですが、今週末は走り始めから思ったようなペースで走れなくてちょっと悩んだものの、最後はプッシュできたしクラッシュもなく最後まで本当にたくさん周回できたということで、最終的に9位に入れて良かったです。たくさん学んだので、また来年チャンスがあるなら、絶対に優勝を狙いたいですね」 ■14位:嵯峨 宏紀 (Le Beausset Motorsport/Car.No24/ダラーラF308・トヨタハナシマ) 「最低限完走しようという目標があったので、その最低限の目標が達成できたと同時に、最低限の目標しか達成出来なかったという感じですね。もうちょっと前のほうについていければ良かったのですが、後方からものすごくローダウンフォースにしたマシンなどが追い上げてきて。何台かは抑えたものの、やはりストレート区間では抜かれてしまう展開でした。午前のフリー走行で少しクラッシュしてしまったのが残念なんですが、週末を通じて大きなクラッシュをすることなく徐々にステップアップしていくことができたので、自分の中では満足の行くレースウィークだったと思います」 ■リタイア(10Laps):ケイ・コッツォリーノ (TODA RACING/Car.No10/ダラーラF308/無限戸田) 「どういう状態になったのかは分かりませんが、ドライブシャフトのトラブルですね。決勝レースではかなり良いバトルも出来たように思います。山側もかなり攻めることができたし、海側でもスリップに入ったりして戦えたので、今週の中では一番楽しめたレースでした。ちょっとブレーキングで止まりきれない場面が何度かあったので、そこはセットアップで詰め切れなかった部分かもしれません。とはいえ、最終的に良いレースができましたし、自分にとって今週苦しんだことでとても勉強になりいろいろな経験ができました。マカオというサーキットの面白さと難しさを感じることで、自分のセットアップ能力など今後の自分のレース活動に役立つ週末だったと思います」 ■リタイア(周回数不足):アレキサンドレ・インペラトーリ (KCMG by Kolles & Heinz Union/Car.No31/ダラーラF308・フォルクスワーゲン) 「スタートが決まって、おそらくサンフランシスコに行くまでに6〜7台はパスしたと思う。ただ、坂を上りきったところで黄旗が見えたので、何かあったときに備えて40メートルほど早めにブレーキングを開始したんだけれど、コーナーに差し掛かったらコース上をリッチャルドやコレッティのマシンが塞いでしまっていて、行き場がなかったんだ。ブレーキングで止まろうとしたものの、距離が足りずにリッチャルドのマシンに接触して右フロントにダメージを負ってしまった。わずか2周だったけれど、マシンを修復してくれたチームに感謝したい。今週末は思うような結果が得られなかったけれど、来年のチャレンジのために学ぶことが今年の目標だったので、それは充分達成できた。セッションごとにタイムを上げて行ったし、自信もついた。来年またここに戻って来たいね」
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