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 こんにちは! 長屋宏和です。私が感じた全日本F3選手権をストレートに伝えていくこのコーナー、今年第2回目のコラムは第9戦&第10戦富士スピードウェイからお届けします。

■会場から歓声が沸くほど迫力のあるレース

 日曜日に開催された、第10戦決勝のファイナルラップ、セーフティカー明けの最後の最後に波乱があり、会場を沸かせてくれました。ダンロップコーナーで千代勝正選手(B-MAX NDDP F3/No.23)がブレーキロック。アウトにはらみ、ヤン・マーデンボロー選手(B-MAX NDDP F3/No.22)が並びかけるも加速が鈍く、続くプリウスコーナーで山下健太選手(ZENT TOM'S F312/No.36)が並びかけるも、さらにその後ろにいた坪井翔選手(ZENT TOM'S F314/No.37)が山下選手をオーバーテイク!

 富士スピードウェイはストレートが長いことで、スリップストリームからのオーバーテイクが多くて見応えがありますが、このトップ争いはストレートではないインフィールドで行われ、接戦で接触もなく、白熱するバトルを繰り広げられ、ハラハラドキドキの連続で楽しませてくれていました。

 観客の皆さんが、ヘルメットをかぶっていても伝わる迫力のレース展開を見たいと思っていることを感じ取れた瞬間でした。結末がクラッシュは良くありませんが、今回のような大接戦のバトルは見ごたえがあり、これもF3の面白さだと感じました。

USTREAM 第10戦決勝レース
http://www.ustream.tv/recorded/89669289

■リスタート

 今回、土曜日の第9戦、日曜日の第10戦の決勝レースではともにセーフティカーが入り、二度ともトップを走行していたのはマーデンボロー選手でした。セーフティカーが入るレースが多く、プラスにはたらくドライバーと、マイナスにはたらくドライバーが出てきてしまい、特にトップを走っていたドライバーにとってはせっかくのマージンが振り出しに戻ってしまいます。

 マーデンボロー選手のリスタート時は土曜日と同様に、日曜日も加速する場所はプリウスコーナー立ち上がりで、一番合わされやすい場所での加速の影響で、リスタート後の1コーナーで千代選手に抜かれてしまいました。

 セーフティカーが出やすいのであれば、セーフティカー明けでどのタイミングで加速するのがいちばん有利に働くか、ルールを確認し、振り返ることも必要かもしれませんね。

 私がもし前車が居てのリスタートを行うのであれば良い方法が浮かんでいます。他がやっていないことがたくさん隠れていると思っていつも見ています。

■坪井選手と牧野選手に期待

 今年1年目の坪井選手は優勝がないものの、9回の表彰台獲得で、今年のメンバーでいちばん安定感があるドライバーだと感じています。第10戦のセーフティカー後のリスタートでも、しっかり順位を上げて3位でゴールしていました。レーシングカート時代から安定感があるドライバーだと見ていて、その素質は今も変わらないのでしょう。

 また、牧野任祐選手(TODA FIGHTEX/No.12)もチャンスを逃さず第9戦で表彰台を獲得し、この先気になるドライバーのひとりです。FIA-F4時代からバトルしているこのふたりにも注目です。

■千代選手の速さ

 今大会、速さをみせたのはやはり千代選手でしょう。“水を得た魚”のように元気と勢いと速さを取り戻しました。残り7戦でも、復調した千代選手が速いことは間違いなく、B-MAX Racing Team with NDDPとTEAM TOM'Sのシリーズチャンピオン争いも見ものになりますね。

 

 そして私も、8月28日にツインリンクもてぎで行われるK-TAIに参戦します。車椅子で指も使えませんが、手を固定して腕の力でアクセル・ブレーキ・ステアリング操作をしてレースに出場します。

・昨年の動画
https://www.youtube.com/watch?v=z-yWM4DQr_0

 この身体では昔のような勢いでは走れませんが、安全に楽しみたいと思います。みなさんも是非、自分自身でモータースポーツを楽しんでみてください。


1979年12月31日生まれ。13歳のときに見たF1日本グランプリに影響され、レーシングドライバーを志す。2002年、TODA RACINGから全日本F3に参戦。同年F1のサポートレースでクラッシュし、頚椎損傷C6の重傷を負うが、必死のリハビリで2004年、ハンドドライブでのレーシングカート走行を果たし、大きな感動を呼んだ。チェアウォーカーとなった後、自身のファッションへのこだわりを活かし、チェアウォーカー向けファッションブランド『Piro Racing』を立ち上げ話題に。2013年人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞受賞。いまも愛するF3の現場を訪れるほか、ハンドドライブで自らサーキットを楽しんでいる。


コラムを読んで頂けている皆さまにも、全日本F3選手権を楽しんで頂きたいと思っています。皆様が知りたい情報がございましたら、Twitterやfacebookにお気軽にお問い合わせください。

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