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 こんにちは! 長屋宏和です。私が感じた全日本F3選手権をストレートに伝えていくこのコーナー、今年第3回目のコラムは第11戦&第12戦ツインリンクもてぎからお届けします。

■ヤン・マーデンボロー選手のブレーキング

 ツインリンクもてぎで8月20日(土)に行われた雨の第11戦決勝レース。ヤン・マーデンボロー選手(B-MAX NDDP F3)は流石の走りでした。特にブレーキング! グランツーリスモにおけるニッサンGTアカデミー優勝をきっかけに、2011年にレース参戦がはじまり、他のドライバーのようにレーシングカートなどで長年レース経験を積んできたわけではないことで、経験値では明らかに他のドライバーよりも不足しているはずです。自分はゲームと実車は違うと思っていますが、その才能を見抜き、レース参戦のチャンスを与えているニッサンとグランツーリスモはすごいと思います。

 レース経験が少ないことで、本来は環境への慣れにかかるはずの時間が感じられず、発想力、順応性など、革命的なドライバーなのだと思っています。

 今年初めてヤン・マーデンボロー選手を見たとき、誰もが走るグリッド前走行を走らずにいる姿は今でも忘れない新たな発想でした。

 今回のもてぎラウンドの2連勝でシリーズポイントも一歩前に出た感じです。この先どのような結果を出し、ステップアップしていくのかがすごく楽しみです。

■坪井選手の念かな……!?

 8月21日(日)の第12戦の坪井翔選手(ZENT TOM'S F314)。レース結果では今大会も連続表彰台で安定感をみせていますが、レースペースはそれほど良くなく、一度後続に抜かれたらもう抜けないと思って見ていました。

 ところが今回も3位表彰台。その様を見て思ったのですが、確実に運も持っていますね。抜かれた牧野任祐選手(TODA FIGHTEX)はトラブルで後退、追い付いた高星明誠選手(B-MAX NDDP F3)は単独スピン。

 この後、坪井選手がいつ優勝してくれるかも楽しみですが、無理なく自分の位置を確立できていることはルーキーとは思えない冷静さを感じています。

 坪井選手が見ている先はレース結果ではなく、シリーズを終えたときの結果なのかもしれませんね。

■DRAGON選手、初優勝!

 今年に入り、トップとのタイム差をさらに詰めていたDRAGON選手が、第11戦の雨のレースで初優勝を挙げました。

 F3マシンはステアリング、アクセル/ブレーキの重たさ、横Gなど、F4などの下位カテゴリーとは違って体力はとても重要になりますが、あの年齢での初優勝……。

 参戦4年目。この先どのような進化を続けるかが楽しみです。


■レース翌週の28日、カートでK-TAI参戦

 ツインリンクもてぎ本コースで開催されたレーシングカートイベント『K-TAI』に参戦させていただきました。昨年も参戦させていただいたのですが、2年目の今年は、レースに対する気持ちが明らかに変わっていました。

 昨年は初のK-TAIで皆さんに心配と不安を感じさせまいと、目標は“完走”でしたが、今年は昨年とは明らかに違って自分のイメージに近い走りができ、自分自身のレベルが上がったことを感じ、目標だった完走では満足できず、抜かれる悔しさを強く感じるようになりました。レースペースも他車と比べても悪くはなく、走りに自信ももてるようになりました。

 モータースポーツはマシン操作を変えれば、同じ条件で、同じ土俵で障害者・健常者関係なく戦えるスポーツだと思っています。オリンピック/パラリンピックと分けず、同じ土俵で競い合えるなんて本当に素晴らしいと思いますが、皆さんはどう思われますか?


1979年12月31日生まれ。13歳のときに見たF1日本グランプリに影響され、レーシングドライバーを志す。2002年、TODA RACINGから全日本F3に参戦。同年F1のサポートレースでクラッシュし、頚椎損傷C6の重傷を負うが、必死のリハビリで2004年、ハンドドライブでのレーシングカート走行を果たし、大きな感動を呼んだ。チェアウォーカーとなった後、自身のファッションへのこだわりを活かし、チェアウォーカー向けファッションブランド『Piro Racing』を立ち上げ話題に。2013年人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞受賞。いまも愛するF3の現場を訪れるほか、ハンドドライブで自らサーキットを楽しんでいる。


コラムを読んで頂けている皆さまにも、全日本F3選手権を楽しんで頂きたいと思っています。皆様が知りたい情報がございましたら、Twitterやfacebookにお気軽にお問い合わせください。

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