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 こんにちは! 長屋宏和です。私が感じた全日本F3選手権をストレートに伝えていくこのコーナー、2017年第1回目のコラムは第6戦&第7戦富士スピードウェイからお届けします。

■アレックス・パロウ選手の速さ

 5月13日の雨の第6/7戦の予選、第6戦の決勝ともに、アレックス・パロウ選手(THREEBOND)の1周目の速さが目立ちました。5月14日の晴れた第7戦の決勝は、コーナーリングとブレーキング重視のウイングを前後ともに立てたセッテイングで挑んでいましたが、ストレートスピードが10キロ近くは違い、富士スピードウェイのセオリーどおり、ウイングを寝かせたドライバーにスリップストリームにつかれ、抜かれてしまいましたが、ウイングを寝かせても、それほどタイムには影響しないこともわかりました。

 パロウ選手はレース前半に逃げる予定だったと思われますが、スタート直後に高星明誠選手(B-MAX NDDP F3)が2番手に上がってしまい、カローラ中京 Kuo TOM'S勢2台と高星選手のバトル中に逃げる作戦が、数周で追いつかれ抜かれてしまいました。

 ひさしぶりのスリーボンドの全日本参戦と、全日本F3初参戦のドライバーがまた違った戦略でレースに挑んでいることを感じられ、これからの動きが楽しみに感じました。

■ブルーフラッグを振られたら周回遅れのバトル禁止希望!

 5月14日の第7戦の決勝レースで、トップ争いが、F3-Nの首位争いと交錯し、その過程でF3-Nのクラッシュもあり、ヒヤヒヤしながら見なければならない状態でした。

 F3-Nがブルーフラッグを振られてもバトルをしている状況では、うしろから来ている総合上位のドライバーは巻き込まれる危険性があります。

 たしかにレギュレーションには『バトルを仕掛けてはいけない』とはありませんが、周回遅れになる状況である以上、そのドライバーは譲る気持ちがなければ、上位のドライバーはリスクが大きすぎます。

 見ている方とすれば、上位の差が詰まるきっかけにはなりますが、クラッシュしてからでは遅い気がします。このことは今回だけではなく、過去にも何度も見てきており、参加ドライバー全員が意識する必要があると思います。

■高星選手のスタートの強さ

 安定の速さと、抜群のスタートダッシュが持ち前。本山哲さんのインスタグラムでスタート練習の動画を見ていて、5月14日の第7戦のスタートの動きに注目していました。

 スタートは重要ですよね。いちばん簡単に抜けるチャンスですから。こればかりは経験と感覚なので、練習あるのみだと思います。僕が務めているヴィッツレースの監督(下記参照)でも、毎ピットアウト時にスタート練習をさせています。

 予選5番手からスタートで1コーナーまでに2番手に上がれたことで、パロウ選手の作戦を大きく狂わせられたのだと思います。ウイングの角度も、高星選手がカローラ中京 Kuo TOM'Sの2台とのバトルの間に逃げられる作戦だったのだと考えられます。強みのあるドライバーは見応えがありますね。

■大津選手の変化、阪口選手の心境

 昨年はあまり良いところの無かった大津弘樹選手(TODA FIGHTEX)ですが、2年目は戸田レーシングに移籍し、伸び伸びとした表情でレースを楽しんでいるのが伝わってきます。その一方で、同じ2年目の阪口晴南選手(HFDP RACING F316)は少し焦りがあるのかな、と感じます。

 モータースポーツは自分の気持ちひとつで走りや順位に現れてきます。今だから気がつけますが、自分も走っていた当時はまったく気づけませんでした。阪口選手も必ず上がってくると僕は思っています。だってまだ17歳ですよ! 誰でも浮き沈みはあるし、これからだと思います。

■ヴィッツレース関西シリーズで監督

 今年から、TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race関西シリーズ参戦のAVANTECHのチーム監督を務めさせて頂いています。このコラムも僕目線の言いたい放題書かせていただいていますが、3名のドライバーにも良し悪しを言いたい放題伝えています。

 2002年に大クラッシュをしてチェアウォーカー(車椅子ユーザー)となってから様々な活動をさせていただいた中で学んできたことはレースに活用出来ることばかりで、人生無駄なことなんてないんだなとつくづく感じています。

 今のこの身体では、事故前のようにマシンを操れず、走っていてもストレスばかりが溜まりますが、自分の考えをドライバーに教え、成長してくれる姿を見ているとこの先が描けてすごく楽しいです。

 チームオーナーは、2005年に戸田レーシングから全日本F3選手権に参戦していた高崎保浩君です。彼とは1999年に一緒にフランス生活を送った仲です。

 ヴィッツレースだけではなく、今後ステップアップできたらと思います。モータースポーツにお世話になった自分たちが、少しでもモータースポーツに何かお返しができたらなと思います。応援よろしくお願い致します。


1979年12月31日生まれ。13歳のときに見たF1日本グランプリに影響され、レーシングドライバーを志す。2002年、TODA RACINGから全日本F3に参戦。同年F1のサポートレースでクラッシュし、頚椎損傷C6の重傷を負うが、必死のリハビリで2004年、ハンドドライブでのレーシングカート走行を果たし、大きな感動を呼んだ。チェアウォーカーとなった後、自身のファッションへのこだわりを活かし、チェアウォーカー向けファッションブランド『Piro Racing』を立ち上げ話題に。2013年人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞受賞。いまも愛するF3の現場を訪れるほか、ハンドドライブで自らサーキットを楽しんでいる。


コラムを読んで頂けている皆さまにも、全日本F3選手権を楽しんで頂きたいと思っています。皆様が知りたい情報がございましたら、Twitterやfacebookにお気軽にお問い合わせください。

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