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 こんにちは。長屋宏和です。今回は第5ラウンドのツインリンクもてぎで全日本F3選手権を観戦してきました。坪井翔選手(カローラ中京 Kuo TOM'S F317)の3連勝で終わったレースから、僕が感じたことをお届けします。

■カローラ中京 Kuo TEAM TOM'Sの2台を止めるのは誰?

 坪井翔選手、宮田莉朋選手のふたりを擁するカローラ中京 Kuo TEAM TOM'Sの2台は、3レースとも自己ベストラップからコンマ数秒以内でラップタイムを刻み続け、スタートで前に出ても抑えることは難しいくらい、もてぎラウンドの2台は速かったです。

 第11戦で笹原右京選手(ThreeBond Racing)は第10戦でリタイアしてしまったことから良い条件のタイヤを持っていましたが、レースラップを比べても、その差はよく分かります。2台ともに速いことからも分かるとおり、カローラ中京 Kuo TEAM TOM'Sの壁を打ち破るのは至難の業ですね。

 2台のなかでも坪井選手は速さが際立ち、坪井選手から学ぶ宮田選手、チームの流れやチーム内のでの関谷正徳監督のマネージメント力がこの結果につながっていると思います。正直、タイム差はコンマ数秒ですが、その差はすごく大きく感じます。その分、僕の監督業にはすごく勉強になっています。



■誰がのし上がれるのか……!?

 シリーズランキングのとおり、表彰台の経験があるTODA RACINGの阪口晴南選手、大湯都史樹選手、笹原選手、金丸悠選手(B-MAX RACING TEAM)が今後の上位進出の候補としては最有力でしょう。

 ただ、現時点の2位と3位の差が大きいのはたしかで、経験の差を感じます。

 この4台の“第2グループ”で目を引くのは笹原選手ですね。予選さえ前にいければ、ひとつ高い次元に上がれるのにと思って見ています。カローラ中京 Kuo TEAM TOM'Sの2台は3年目と2年目で、1年目とは経験差が出てしまいますが、同じレースに出ている以上、同じフィールドなので言い訳はできない条件なので、彼らの限界を超えた走りに期待しています。


■1台だけのレースって……

 どこのメディアも触れないので僕が書かせていただきますが、F3-Nが1台でレースが成立しているのに違和感があります。10年後、ジェイク・パーソンズ選手にとって“シリーズチャンピオン”という名前は活きるかもしれませんが、「何のために?」と考えたときに、野田英樹チーム代表の娘さんの、JUJUさんにつながるのかなと考えています。

 中学生でF3に乗ることができてうらやましいですが、レース経験という意味では浅く、それがどう今後のレース活動につながっていくのでしょうか。結果がすべての世界。これからF4、F3、そして日本なのか、それとも海外なのか、どこかにステップアップしていくのでしょうから、現役ドライバーの中で、どう走るか見てみたいです。

 岡山国際サーキットで走っているのを見て『すごいな』と思いました。それが『速いな』になる日が楽しみです。一般的にはレーシングカートでステップアップしている年齢です。事故だけはないよう、気を付けてと思います。



1979年12月31日生まれ。13歳のときに見たF1日本グランプリに影響され、レーシングドライバーを志す。2002年、TODA RACINGから全日本F3に参戦。同年F1のサポートレースでクラッシュし、頚椎損傷C6の重傷を負うが、必死のリハビリで2004年、ハンドドライブでのレーシングカート走行を果たし、大きな感動を呼んだ。チェアウォーカーとなった後、自身のファッションへのこだわりを活かし、チェアウォーカー向けファッションブランド『Piro Racing』を立ち上げ話題に。2013年人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞受賞。いまも愛するF3の現場を訪れるほか、ハンドドライブで自らサーキットを楽しみ、レーシングチームの監督や富士登山へ挑戦する等、今もそのチャレンジングスピリットは消えない。


コラムを読んで頂けている皆さまにも、全日本F3選手権を楽しんで頂きたいと思っています。皆様が知りたい情報がございましたら、Twitterやfacebookにお気軽にお問い合わせください。

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