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■サッシャ・フェネストラズ選手のチャンピオンで見えたこと

 昨年のマカオグランプリ3位の実力を見せつけられた1年でした。前回のコラムで書かせて頂いたように、サッシャ・フェネストラズ選手(B-Max Racing with motopark)はこの7月に20歳になったばかりですが、4輪デビューの16歳からのレース経験数は、同じ年齢の日本人ドライバーとは掛け離れたレース経験数をこなしています。恵まれた資金体制があるにしても、初めて見る日本のサーキットですぐにタイムを出す順応力の鍛え方は、走行距離よりもレース経験数なのだと思いました。
 モータースポーツはお金の掛かることは当たり前で、上を目指すには、資金力が大きく影響します。苦手なコーナーがあれば、それを克服するために数多く練習しなければなりませんが、そのためには多くの予算が必要で、そのための資金を持っていることも、実力のひとつだと思います。
 日本の若手育成ステップアップは現在、レーシングカートからFIA-F4→F3の流れがありますが、今後はFIA-F4に乗りながらFJやJAF-F4に出て、F3にステップアップ出来てからも他のレースに出ることができる、レース経験を積める十分な支援体制と資金力の確保が必要かもしれません。速いのは天才ではなく、どれだけ経験するかが大きく左右することは、今までも変わりはありません。
 今年、片山義章選手(OIRC team YTB)が優勝したことも、練習量の賜物だと思います。まだ最終ラウンド岡山がありますが、サッシャ選手と宮田莉朋選手(カローラ中京 Kuo TEAM TOM’S)の間か、更に上に出て、来年につなげるレースに期待しています。



■シリーズランキング3位争いが面白い

 エナム・アーメド選手(B-Max Racing with motopark)がもてぎラウンドで0ポイントだったことで、シリーズランキング3位のアーメド選手、4位大湯都史樹選手(TODA RACING)、5位小高一斗選手(カローラ中京 Kuo TEAM TOM’S)、この3選手が7〜8ポイント差の僅差になっています。


 岡山で片山選手が速さを見せ、シリーズポイント争いにも影響を与えてくるかもしれません。シリーズ1位2位はすでに確定。3位争いに注目してください。





■笹原右京選手復帰

 今年のアジアF3シリーズで現在ランキングトップ、ポルシェカップチャンピオンの笹原右京選手(B-Max Racing with motopark)がもてぎラウンドにスポット参戦しました。昨年の走りを見ても速さと勢いがあり、何かやってくれるかなと注目していました。
 メーカー枠以外で、勝負が出来るドライバーは少ないと思います。ハコ(GTカー)へ行くか、フォーミュラに拘り続けるか、F1を目指すにはスーパーライセンスの課題もあり、どの道へ進むか笹原選手のターニングポイントかもしれません。
 僕としては、9月7〜8日に上海で開催される次戦でアジアF3チャンピオンを決めて、最終戦の日程が重なっている全日本F3選手権岡山大会に出て、結果で表して欲しいです。



■全日本F3選手権からスーパーフォーミュラ・ライツへ

 1979年に始まった全日本F3選手権ですが、来年から「スーパーフォーミュラ・ライツ」として再スタートします。最初は戸惑いもありますが、スーパーフォーミュラもF3000、フォーミュラ・ニッポンと名称が変わったり、岡山国際サーキットも以前はTI英田サーキットだったりと、名前が変わっても慣れれば違和感がなくなります。
 スーパーフォーミュラを見に来たお客様には若手の登竜門として分かりやすいかもしれません。スーパーフォーミュラ・ライツの発展に期待しています。



1979年12月31日生まれ。13歳のときに見たF1日本グランプリに影響され、レーシングドライバーを志す。2002年、TODA RACINGから全日本F3に参戦。同年F1のサポートレースでクラッシュし、頚椎損傷C6の重傷を負うが、必死のリハビリで2004年、ハンドドライブでのレーシングカート走行を果たし、大きな感動を呼んだ。チェアウォーカーとなった後、自身のファッションへのこだわりを活かし、チェアウォーカー向けファッションブランド『Piro Racing』を立ち上げ話題に。2013年人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞受賞。いまも愛するF3の現場を訪れるほか、ハンドドライブで自らサーキットを楽しみ、レーシングチームの監督や富士登山へ挑戦する等、今もそのチャレンジングスピリットは消えない。


コラムを読んで頂けている皆さまにも、全日本F3選手権を楽しんで頂きたいと思っています。皆様が知りたい情報がございましたら、Twitterやfacebookにお気軽にお問い合わせください。

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