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 こんにちは。長屋宏和です。開幕前に鈴鹿サーキットで行われた合同テスト以来となる全日本F3選手権を、第3ラウンドの富士スピードウェイで観てきました。監督をさせていただいているレースと日程が重なり、F3になかなかうかがえませんでしたが、今年は初参戦のドライバーが増え、今後、どのように成長していくかが楽しみです。

 YouTube Liveでの観戦も良いですが、サーキットで音やスピード、緊張感などを感じると、やっぱりサーキットは良いな……と感じます。

■笹原右京選手の追い上げ

 今回観戦した富士ラウンドは、レース中各所でバトルが多くあり、見応えがありました。その中でも、笹原右京選手(THREEBOND)の走りが際立っていました。海外育ちならではのオーバーテイクを見られ、ひさびさに(?)ワクワクしながら観戦できました。

 私も1999年(と言うと遠い昔ですが)、フランスでレースをしていた経験があり、アグレッシブ過ぎる(?)バトルの経験があります。危険と隣り合わせかもしれませんが、それが当たり前の環境の中で得た経験は、日本のレースでは他のドライバーとの差となっていました。

 いい部分では勢いがありますが、日本ではレース除外や失格になった経験もあります。元気が良いのはいいことですが、いい匙加減も必要なのだと思います。

 7月8日(日)の第6戦では、坪井翔選手(カローラ中京 Kuo TOM'S F317)がスタートで後退した展開でしたが、その坪井選手に笹原選手が抜かれたときも、金丸悠選手を(B-MAX RACING F3)を抜きにいって、まとめて坪井選手に抜かれた状況だったことを考えると、笹原選手にお改善すべき点があるかなと思っています。

 でも、勢いのある走りは今後も忘れて欲しくはないですね。

■カローラ中京 Kuo TEAM TOM'Sの2台の強さ

 坪井選手の連勝は止まりましたが、レースラップの速さは際立っていました。スタートで遅れても挽回できる速さには、勢いを感じます。レース後のコメントにもあるように、勝つことよりも、予選の順位とポイントを多く取ることを意識しているのかな、と思いました。経験と準備の結果が今の位置につながっており、他チームが試行錯誤している中で、冷静に組み立てているのだと感じました。

 宮田莉朋選手も速さを維持し、カローラ中京 Kuo TEAM TOM'Sの2台が一歩前に出て、TODA RACINGとThreeBond Racingがそれを追う展開です。昨年のチャンピオンチームであるB-MAX RACING TEAMの踏ん張りも見たいと思っています。

 ただ、サーキットに持ち込んだ時点ですでに差があり、カローラ中京 Kuo TEAM TOM'Sはチーム、ドライバーともに勝つための流れができているのだと思います。余裕、余力を感じます。

■阪口晴南選手の2位

 速さが見えてきた阪口晴南選手(TODA FIGHTEX)。

 2016年に全日本F3にステップアップしてきたときから変わらず、経験を積み上げ、ステップアップしていって欲しいと思っています。

2016年に書いたコラムはこちら

 F3経験者はみんな口にしますが、マシンのポテンシャル、チーム力など、本当のレースはF3からだと思います。そのF3の経験を長くできていることは、今後のレース人生ですごく役に立つと思います。

 当時は16歳でしたが、今は19歳! 3年目のF3。まずはホンダ勢の最上位を獲得し、来年ステップして欲しいです。でも、海外でレースを戦うには、今のままでは潰されてしまうので、笹原選手のような勢いも学んでほしいと思います。



1979年12月31日生まれ。13歳のときに見たF1日本グランプリに影響され、レーシングドライバーを志す。2002年、TODA RACINGから全日本F3に参戦。同年F1のサポートレースでクラッシュし、頚椎損傷C6の重傷を負うが、必死のリハビリで2004年、ハンドドライブでのレーシングカート走行を果たし、大きな感動を呼んだ。チェアウォーカーとなった後、自身のファッションへのこだわりを活かし、チェアウォーカー向けファッションブランド『Piro Racing』を立ち上げ話題に。2013年人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞受賞。いまも愛するF3の現場を訪れるほか、ハンドドライブで自らサーキットを楽しみ、レーシングチームの監督や富士登山へ挑戦する等、今もそのチャレンジングスピリットは消えない。


コラムを読んで頂けている皆さまにも、全日本F3選手権を楽しんで頂きたいと思っています。皆様が知りたい情報がございましたら、Twitterやfacebookにお気軽にお問い合わせください。

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