全日本F3選手権の第6大会の舞台は、今季2度目の開催となる富士スピードウェイ。7月18〜19日に行われる本戦を前に、17日に金曜専有走行が行われた。前2大会を欠場したFSC MOTORSPORTのギョオム・クニントンが復帰し、またマカオGP参戦を目論み、B-MAX Racing teamから千代勝正がスポット参戦することに。そのため、今回は今シーズン最多となる17台が挑んでいた。
やがてPETRONAS TEAM TOM'Sの山下健太が2分02秒587でトップに立つが、すぐに逆転して2分の壁を破ったのは千代で、1分59秒211を記録する。いくぶん雨も弱くなって、コンディションが良くなっているのは明らか。すると、今度は福住がトップに立ち、1分57秒754、1分56秒921、1分56秒903と好タイムを連発し、この時点で2番手の山下に約1秒の差をつける。そして、開始から30分もすると雲が切れたわけではないのに明るくなるとともに、雨も小雨に。それまでピットでステイしていた車両もコースインしていく。
そこから約20分は福住、そしてPETRONAS TEAM TOM'Sのニック・キャシディによる、まるでシーソーゲームのようなトップ争いが演じられた。福住が1分56秒183を出せば、キャシディが1分56秒139で逆転、1周のクーリングを挟んで、1分55秒371に叩き込む。が、それも束の間、福住は1分55秒095、1分54秒211へと相次いでタイムを刻んでいく。そして、キャシディが1分54秒085にまで短縮したのを、まるで見届けていたかのように福住は直後に1分53秒965をマークして逆転する。同じ頃、高橋が1分54秒090で3番手に浮上、これに千代が1分56秒276、山下が1分56秒654で続く。
F3-NクラスではTOM'Sの小河諒が1分58秒075でトップ、総合でも9番手に。間にふたり挟んでEXEDY RACING TEAMの三浦愛がクラス2番手で、2分01秒249を記していた。全体的にまだタイムが縮まりそうなムードもあったものの、チェッカーが振られるまでの5分間は、ほぼ全車がピットに。というのも、再び雨が強く降り出してしまったからだ。
●午後は天候が回復、2時間のセッションに
三浦 愛/EXEDY RACING TEAM
1回目のセッションが30分間短縮された分は、2回目のセッションに追加されることとなり、本来のスケジュールを30分間早め、午後零時30分からのスタートに改められた。雨は幸運にも止んで、またインターバルに行われた併催レースの練習走行で周回が重ねられたこともあり、路面はほぼドライコンディションとなっていた。もちろん、全車がドライタイヤを装着。
誰よりも早くコースインしたTODA RACINGの石川京侍が、最初に1分40秒の壁を超え、1分38秒475、1分38秒004、1分37秒921と着実にタイムを縮めていく。これを上回ったのが高星で、1分37秒275まで詰めた後、いったんピットに戻ってセットを進め、1分36秒628をマークする。だが、頂点はそこに留まらず、36秒台での攻防は目まぐるしくトップが入れ替わる。開始から30分を過ぎてキャシディが1分36秒595を出せば、それから5分後にB-MAX Racing team with NDDPの高星明誠が1分36秒523へ。すぐ後にKCMGのストゥルアン・ムーアが1分36秒488を出せば、さらに5分後にはキャシディが1分36秒303をマーク。1周のクールダウンの後、1分36秒279へと短縮を果たす。さらに4分後には高星が再びトップに立って1分36秒201、1分36秒040へと着実に刻んでいく。
折り返しとなる、ほぼ1時間経過時に1分35秒台に乗せたのが石川だ。1分35秒931を記した次の周には、1分35秒906にまで縮めてきた。だが、これで良しとルーキーを喜ばせてくれないのが、今年のF3である。今度はキャシディが1分35秒672を記した後、やはりクールダウンを挟んで1分35秒496に入れてくる。これで決まりかと思えば、ラスト30分で高星が1分35秒340へ。さらに10分後には、キャシディが1分35秒289をマークする。
●終盤の逆転でポイントリーダー山下が総合首位を奪う
しかし、とどめの一発を放ったのは、ここまでトップに立っていたドライバーたちではなかった。開始から20分間、セット変更に充ててピットをなかなか離れずにいた山下が、ラスト10分でキャシディ、高星に続く1分35秒367をマークすると、次の周には1分35秒150を叩き出し、トップに躍り出ることに! その間、キャシディはピットに留まり、高星は逆転を狙って終了間際にコースを激しく攻めるも、自己ベストも更新できず。逆に最後の最後に、きっちりタイムを伸ばしてきたのが高橋と福住だった。それぞれ1分35秒514、1分35秒541を記録して4番手、5番手にジャンプアップ。終了間際の伸びを欠いた、石川とムーアを上回ることとなった。
一方、F3-Nクラスでトップに立ったのは三浦愛だった。ただひとり1分38秒台を切って、1分37秒939を記すことに。セッション1回目はトップだったポイントリーダーの小河は、あえて最後までニュータイヤを使用しなかったことで1分38秒011を出すに留まった。しかしながら、トラブルも抱えることなく38秒台前半でコンスタントに走行していたことから、むしろ決勝レースに備えていたことは明らかだ。3番手はB-MAX Racing teamのDRAGONで、1分38秒808をマークし、これにCMSの三浦勝が1分39秒668で続くこととなった。
ウェットの1回目とドライの2回目とでは上位の顔ぶれも代わっていただけに、予選、決勝で気になるのは、やはり天候だ。台風11号接近の影響で非常に不安定であるため、どちらに転んでもおかしくなく、しかも展開にも大きな影響を及ぼしそうだ。