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F3マカオグランプリの予選1日目は
関口が6番手もタイム抹消に

関口雄飛（B-Max Racing Team）

　F3世界一決定戦である第64回マカオグランプリの走行が、いよいよ11月16日（木）にスタートした。この日は午前9時35分からフリープラクティス1が、午後2時15分にクオリファイ1が行われている。

山下健太（B-MAX Racing Team）

　ヨーロッパ、そして全日本F3から集った22台がピットレーンに並び、ヨーロピアンF3王者のランド・ノリス（Carlin）を先頭に続々とコースインしていったフリープラクティス1。全日本F3勢もまずはいったんコースイン。関口雄飛（B-Max Racing Team）やDRAGON（B-Max Racing Team）といったメンバーは一度ピットに戻っているが、山下健太（B-Max Racing Team）、坪井翔（TEAM TOM'S）、宮田莉朋（TEAM TOM'S）といったところは、インラップから連続周回を開始した。

　フリープラクティス1は路面コンディションがまだ良好ではなく、各陣営ともタイヤの摩耗に苦しむことになったが、そのなかで各車が少しずつペースを上げていく。なかでもマカオ初挑戦となったDRAGONや宮田、またMotopark with VEBから参戦する佐藤万璃音らは、初めてとなるコースのフィーリングを確かめながらの走行となった。

　最終的にフリープラクティス1は、Motopark with VEB勢が上位を独占。セルジオ・セッテ・カマラが2分14秒808でトップに。全日本勢では、山下が2分16秒699で10番手に。「初日としては去年と比べても良かった」という牧野任祐（Motopark with VEB）が14番手。「セッティングが決まっていなかった」という関口が15番手、アレックス・パロウ（ThreeBond Racing Team with Drago Corse）が16番手、坪井が17番手という結果に。マカオ初挑戦の佐藤、宮田、DRAGONは20〜22番手という結果となった。DRAGONはチェッカー目前、モーリッシュヒル・ベンドでクラッシュ。ノーズを壊してしまっている。

牧野任祐（Motopark with VEB）

　予定よりも5分遅れ、午後2時15分にスタートしたクオリファイ1では、走行開始直後にDRAGONがサンフランシスコ・ベンドでクラッシュし、赤旗の原因となってしまう。車両のダメージ自体は大きなものではなかったが、ステアリングのキックバックにより、なんとDRAGONは左手の薬指を骨折してしまった。これでDRAGONは明日以降、走行を見合わせる残念な結果となった。

　さらに、再開後にはパロウがマタニティ・ベンドでオーバーステアが出てしまい、右リヤをヒット。右側の前後の足回りを破損し赤旗となり、このクオリファイ1はその後走れずとなった。一方、上位陣ではマキシミリアン・ギュンター（SJM Theodore Racing by PREMA）。フェルディナンド・ハプスブルク（Carlin）らがタイムアップしていく。

　その上位陣に食い込んでいったのは、インターバルの間のセット変更に成功した関口だ。これにジョエル・エリクソン（Motopark with VEB）、ランド・ノリス（Carlin）らもタイムを上げ、タイムは2分14秒台から13秒台に入っていく。

　しかし、午後2時55分にセッテ・カマラがRベンドでクラッシュ。マシンの前後が大破し、さらにスポンジバリアが飛散したため、50分間という長い中断を強いられた。その間に全日本F3勢も車両の見直し等の作業を進め、午後3時45分に走行が再開された。

　ユアン・ダルバラ（Carlin）がストップし、四度目の赤旗で走行終了となるまでの間に、大きくタイムを上げ、ベストタイムをマークしたのはノリス。これにペドロ・ピケ（Van Amersfoort Racing）、ギュンターが続いた。全日本勢では、関口が6番手をマークしたものの、予選後の車検で不合格となりタイム抹消に。山下が10番手、牧野が13番手、坪井16番手、佐藤17番手という結果に。19番手の宮田は終盤マシンをウォールに軽くヒットし、ピットに戻っている。ただ、全日本勢は比較的「余裕がある」という声も多く、走行2日目のジャンプアップも期待できそうだ。

坪井翔（TEAM TOM'S）	佐藤万璃音（Motopark with VEB）
アレックス・パロウ（ThreeBond Racing Team with Drago Corse）	DRAGON（B-MAX Racing Team）
宮田莉朋（TEAM TOM'S）	B-MAX Racing Teamの3台のマシン

■山下健太
（B-Max Racing Team／Car No.21／VOLKSWAGEN A41）
「午前中のフリープラクティスから水温が上がってしまう不安があったので、午後のクオリファイ1ではその対策のために、20分ほどステイしていました。走り出してからはクルマも悪くなく、赤旗の間に直したい部分を修正して、良くなった状態で走行を終えました。まだニュータイヤも入れてないですし、最後は2分14秒2まで出すことができたので、まだ全然余裕がある状況です。けっこう攻めてはいますが、伸びしろはまだまだあると思っています。関口選手が初日6番手タイムをマークしましたし、明日はそのあたりか、それ以上のポジションを目指していきたいですね」

■牧野任祐
（Motopark with VEB／Car No.16／VOLKSWAGEN A41）
「初日としては去年と比べても良かったんじゃないかと思います。最後のリスタート後、3周くらいしかできないセッションでしたけれど、そのときもマイナス1秒くらいの表示が出ている中で、最後に引っかかってタイム更新ができなかった状況でしたから。シングルには入れたと思いますし、普通に13秒台には入っていたと思いますから、ぼちぼちじゃないかと。朝のフリー走行ではハイテックとこのチームの車の細かい動きの違いとかに戸惑う部分が少しあったんですが、そのあたりはかなり慣れて来ました。ただ、タイヤがセット1のままで走っていたので、かなりタイヤが消耗していましたから……。まわりでタイムアップしているのは左側だけニュータイヤを履いているところが多かったと思いますし、そのあたりでも変わるのかなという気がしています。セット1のままFP2を走って、Q2でニュータイヤを履く予定ですが、また赤旗が出るでしょうし、いつ履くかが難しいですね。スリップを獲れればセクター1はむちゃくちゃ伸びますし、クリアが獲れるかどうかだと思います」

■坪井翔
（TEAM TOM'S／Car No.15／TOYOTA TOM'S TAZ31）
「FP1ではタイヤの磨耗が大きくて、セッション最後まで走ってもタイムが上がるような状況ではなかったのですが、Q1に向けては多少セットアップも変えましたし、路面自体が良くなっていたのでQ1ではそれほど磨耗が酷いということもなく最後まで走れました。Q1途中で僕らは左側にニュータイヤを履きましたが、赤旗が多かったので正直まともなアタックはできていない感じで、そういう部分では明日に向けて上げ幅があるという感触はありますし楽しみな部分はあります。左側にニュータイヤを履いただけでかなりグリップ感は増しましたし、最後路面が良くなっていくフィーリングもあったので、周囲もそうでしょうけれど、明日はできるだけタイムの上げ幅を大きくしていきたいなと思います。山側、海側との兼ね合いを見ながらセットアップとエアロバランスを見ながら、まだまだ詰めなければならない部分はありますね。しかし結果はまだまだですが無事に距離を稼ぐことができた、という点では良かったですし、自分の中で見えて来つつあるものもあるので、焦らず着実に明日も詰めていきたいなと思います」

■佐藤万璃音
（Motopark with VEB／Car No.17／VOLKSWAGEN A41）
「フリープラクティス1はタイヤにトラブルもあり、走行は重ねられたものの、パフォーマンスが発揮できませんでした。2秒ほどはロスしていたのではないでしょうか。走りきったとはいえ、修正が必要でしたね。ただ、チームメイトは経験もあるので、インターバルの間にドライビングのアドバイスをもらったり、クルマも良い方向に向けることができました。予選1回目ではポテンシャルはあったのですが、トラフィックもあり、途中はタイムを縮めることができませんでした。最後は気合を入れて一発いったらタイムも上がったので、ポジティブな一日になったのではないでしょうか。初日はクルマを壊さずに戻ってくる自信がなかったので、余裕も残していますし、明日は出し切れるようにプラクティスからやっていきたいです」

■宮田莉朋
（TEAM TOM'S／Car No.12／TOYOTA TOM'S TAZ31）
「今日初めてマカオを走って、やはり山側でのドライビングは難しいなと思いました。実際に走ってみるとすごく狭くて、そこでのタイム差がすごく出ていると思います。FP1に関してはとにかく周回を重ねることに集中して、Q1に関しては、FP1での悪かったところをデータや車載映像で勉強して、今日の自分の中でできる限りの力を出してタイムを残そうと思っていました。ただ、途中赤旗が出るまでは良かったのですが、赤旗後にちょっと壁に当たってしまって。それでもオーバースピードでブレーキを行き過ぎたとかではなく、僅かに右フロントがイン側の壁に当たってしまって、その反動でクルマが外に膨らんでしまって立ち上がりアウト側の壁に左リヤがヒットした、という感じで、わずかにサスペンションが曲がった感じでダメージもひどくなかったですし、自分が縮こまってしまうようなクラッシュでもなかったので、チームに迷惑をかけたことをしっかり反省して明日に備えたいと思います」

■アレックス・パロウ
（ThreeBond Racing with Drago corse／Car No.20／TOMEI ENGINE）
「あまり良い1日というわけじゃなかったね。FP1では車高に問題があって、あちこちで下面をヒットしてしまう状況で、思うように走れなかった。そのあたりを修正してQ1に臨んで、症状は改善されていたんだけれど、まともなアタックができないうちに山側のS字区間でクラッシュしてしまった。オーバーステアが出て、カウンターを当てたものの右リヤをウォールにヒットさせてしまい、サスペンションを曲げてしまったんだ。大きなクラッシュではなかったけれど、走り続けることはできなかった。車高については改善されていたし、路面も朝より良くなっていたので走っていればタイムも上げられたと思う。ただ、セットアップの細かい部分はしっかり周回できていないだけに、見極めができていないので、明日のFP2で仕切り直すことになるだろうね。悔しいけれど、明日は気持ちを切り替えてQ2で良いタイムを刻めるように頑張るよ」

■関口雄飛
（B-Max Racing Team／Car No.22／VOLKSWAGEN A41）
「フリープラクティス1はセットアップが決まっておらず、なかなか攻めることができませんでした。セットが決まっていないと市街地ですし、勇気をもって攻めることができないですからね。タイムも出ないし悪循環になっていました。ただ、そういうときはセットアップを大きく変えることが有効なので、その変更をしたところがうまくいきましたね。フィーリングがすごく良くなりました。レッドフラッグの後はクリアラップが取れなかったりしましたが、それは2〜6番手あたりも同じだと思っています。トップとは離れていますが、それはうまくクリアが取れたんだと思いますし、ニュータイヤならあのタイムも見えます。明日は予選の時間も遅くなりますし、明日の方がタイムが出ると思うんです。今日のタイムは気にせずにいきたいですね」

■DRAGON
（B-Max Racing Team／Car No.23／VOLKSWAGEN A41）
「クラッシュした際に、ステアリングが回って左手の薬指を骨折してしまいました。もちろん結果的には自分がクラッシュしたのが原因なのですが、怪我をしてしまって走れなくなってしまったことは悔しいです。ただ、いい経験をすることができましたし、『こういう世界なんだ』というのを肌で感じることができたので、自分の夢の達成という部分としては良かったです。これでめげて『もう出たくない』とは思いませんでしたね。また来年出たいと思っています。速い、遅いは別として、もう少し周回を重ねたかったですね」