FIA F3ワールドカップがマカオで15日に開幕
全日本F3から8台、欧州チームで2名の日本人が参戦
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2018年のマカオGPに出場するFIA F3ワールドカップ、FIA GTワールドカップ、WTCRのドライバーたち |
世界各国からF3のトップコンテンダーたちが集い、世界一を決めるレース『第65回マカオグランプリ・FIA F3ワールドカップ』が11月15日に開幕する。今季は全日本F3選手権からは4チーム8台が、そしてFIAヨーロピアンF3選手権に参戦するチームからは2名の日本人ドライバーが参戦する。
今年のマカオGPには、全日本F3チャンピオンの坪井翔、2位の宮田莉朋のふたりがTOM'Sから参戦。また、ランキング3位の笹原右京(THREEBOND)、4位の阪口晴南(TODA FIGHTEX)、6位の大湯都史樹(TODA FIGHTEX)が参戦。また、B-MAX Racing TeamからはDRAGON、関口雄飛、そして2017年に全日本F3を戦ったアレックス・パロウが参戦する。
また、2018年に全日本F3に参戦した片山義章は、イギリスのカーリンから参戦。ヨーロッパでキャリアを積んできた佐藤万璃音は、今季もMotoparkから2回目のマカオGPに挑むことになった。
多くのドライバーたちはSUPER GTもてぎ戦を終えてそのままマカオに移動。11月14日(水)には公式写真撮影、今回同時に開催されるFIA GTワールドカップ、WTCRのドライバーたちとの記念撮影等を終え、11月15日(木)の走行開始に備えている。彼らに、マカオGP挑戦に向けた意気込みを聞いた。
坪井翔(TOM'S)
「全日本F3のチャンピオンとして臨む大会ですから、ここで自分が格好悪い走りをしてしまうと日本のレベルが疑われてしまいますよね。過去の2回は徐々にペースを上げていくような形で進めていきましたが、今年で3回目ですし、今週末は結果に拘って最初からガツガツ行きたいなと思っています。コースを下見した感じではリスボアの縁石も変わりましたが、最終のふたつのコーナーでも路面が変わっているように感じました。去年は最初の走行でトップと4秒くらい離されていて混乱しましたが、決勝では1秒半程度の差で走れていましたから、今年はそのレベルでスタートできれば決勝までに高いレベルに合わせていくことができるのでは、と思います。具体的には前が潰れるような状況ではなく、自力でトップ10圏内を走れるようにもっていくことが目標です。それが実現できれば、予選レースや決勝で前が潰れた時、生き残ればトップ5につけることも可能になってくるのかなと。今年は自然体で、自分ができることを精一杯突き詰める週末にしたいですね」
宮田莉朋(TOM'S)
「今年全日本F3を1年間戦って、優勝をすることもできましたし、自分の中でも成長することができたシーズンだったと思っています。さらに今年はフォーミュラ以外のカテゴリーでも走ることができたので、走行距離という部分でも稼ぐことができましたし、クルマの走らせ方という部分でも色々な経験ができました。2年目のマカオGPですが、また難しいレースウイークにはなると思いますが、そういった昨年からの成長したところを活かして、少なからず自分の設定した目標を達成し、その上で良いレースができればと思います。もちろん出るからには優勝が目標ですが、具体的には予選でトップ10を狙えるような状態に持っていければベストだと思いますし、レースで生き残ることができれば上位も狙えると思っています」
笹原右京(Threebond Racing)
「マカオGPは以前から走ってみたいと思っていた舞台で、以前からことあるごとに映像を観たり、勉強をしていました。出場が決まってからは一層熱を入れて、毎日のようにシミュレーターに乗ったり、車載映像を見たり、ロガーデータを見たりして、自分なりに準備をしてきたつもりです。今はこの週末に、そういったものを活かして行けるだけ行く! という気持ちです。今朝コースを見て来ましたが、もっと狭いと思っていたところが意外に広く感じたり……。車載のイメージよりも、バンピーなのかな、とも思いました。明日FP1を走ってみて、まずはクラッシュせず、そのあたり探りながらイメージを掴んでいきたいなと。初めてのマカオ、初めての市街地でのレースですが、最低でもシングルというのが目標です。難しいでしょうけれど、それをある程度意識しつつ、予選2回目をうまくまとめて良い位置を確保したいと思います。ヨーロッパのドライバーには知っている顔ぶれも多いので、自信を持って週末を戦いたいですね」
阪口晴南(TODA Racing)
「まずは全日本F3を3年やって、ようやくひとつの目標にしていたマカオGPという舞台に来ることができてとても嬉しく思っています。また、ここに来るためにたくさんの方に応援していただいていますので、感謝の気持ちが大きいですね。今週末は初めてのコース、初めての市街地レースですので当然不利な部分がたくさんあると思いますが、ここで得られるものを最大限吸収して帰りたいなと思っています。シミュレーターをやったり過去のオンボード映像を見たり、やれるだけ準備はして来ましたが、昨日コースウォークした印象では、思っていたよりうねっているところがあったりしました。そのあたりは実際にコースを歩いて見ないと分からない部分ですが、コースの狭さという部分ではイメージと現実でそれほど違和感はありませんでした。チームはマカオの経験がありますし、加藤寛規監督はマカオで好結果を残されているので、チームを信頼し、頂けるアドバイスを活かして戦えれば。初日の木曜はポジションは悪いかもしれませんが、日曜の決勝で前にいられるように組み立てたいなと。ちゃんと皆さんに注目していただけるようなポジションを走ることが目標です」
大湯都史樹(TODA Racing)
「事前にシミュレーターを試した上で、昨日コースウォークをして、路面の舗装や境目もしっかりと確認してきました。実際に走ってみないと分からないかもしれませんけど、下準備としてはやれることはやれたのではないでしょうか。今回は初挑戦ですが、少なくとも日本人のトップで終わりたいと思っています。日本人を意識しているわけではないですが、最低限おかなければいけない目標はそこだと思っています。表彰台や優勝という目標には運も重要なところだと思います。もちろんそれを目指す気持ちもありますが、気負ってクラッシュしても良くないですから。今回、海外のドライバーと戦うのも、市街地も初めてなので、そのなかで自分のレベルがどのあたりにあるのかを知りに来ているところもあるので、どんどん学習していきたいです」
片山義章(Carlin)
「今回の参戦に向けては、以前からマカオのF3に出たい、世界と戦いたいという思いがありました。昨年も下見に来てすごく感動しましたし、エキサイティングな気分になり、今季に向けて出たいという思いが強くなりましたが、今季僕のアドバイザーをしてくれているリチャード・ライアンさんが、カーリンに話をしてくれて、参戦が実現しました。シルバーストンで先月テストをしたのですが、レギュラーメンバーとそれほど離されてもいませんでしたし、メンバーもF3のトップドライバーたちなので、逆に刺激も受けました。初めてのマカオなので、走れば走るだけ速くなるということも聞いていますし、まずは慎重にクラッシュせず走り、決勝までいくことが目標です。レースでは果敢に攻めていきたいと思います。最近は日本人ドライバーがなかなかトップ10に入れていないので、大変かもしれませんが、そこを目標にしていきたいと思います」
関口雄飛(B-MAX Racing Team)
「2017年に挑戦したときは予選でクラッシュしてしまい、それがすごく悔しかったうえに、タイヤも壊れてしまって決勝レースを古いタイヤで戦わなければならないなど、流れを変えてしまったレースでした。今シーズンはチームも昨年以上のバックアップをしてくれていますし、クルマもいいと思っています。すごく楽しみですね。目標は最低限トップ3に入ることです。あえて優勝とは言いません(笑)」
アレックス・パロウ(B-MAX Racing Team)
「今週末をとても楽しみにして来た。マカオは世界でも最高のレーストラックのひとつだと思うし、この場に来ることができて嬉しい。今回のチャンスをくれたB-MAXに感謝しているし、自分のベストを尽くしたいね。今年は自分にとって3回目のマカオGPになる。去年はマシンバランスに苦しんで、予想外に苦戦を強いられてしまったけれど、今年はできるだけいいバランスを見つけて戦いたい。こういったコースでは、マシンに自信を持つことが大事なんだ。今年はいい仕事ができると信じているし、レースにはいつも勝ちたいと思って臨んでいる。チームもしっかり準備して来てくれているし、自信はある。クルマが良く、自分がベストを尽くせば、自ずと良い結果が得られるはずさ。どんな順位になるかは、まだわからないけれどね(笑)。ヨーロッパのドライバーは強豪揃いだし、ダニエル・ティクトゥムやミック・シューマッハーはここでも強敵だと思うけれど、負けられないね!」
DRAGON(B-MAX Racing Team)
「昨年初めて参戦しましたが、まだマカオがどんなところか分かる前にクラッシュしてしまったり、トラブルがあって焦ってしまったりと、流れが悪いなかでの初挑戦になってしまいました。今年のマカオは、現行のF3車両での最後のレースになると思っています。目標はとにかく完走で、きちんと決勝のグリッドに並ぶこと、そしてレースらしいレースができるように頑張りたいと思っています」
佐藤万璃音(Motopark Academy)
「昨年は初挑戦で『走りきる』という目標をもっていましたが、残念ながら決勝は1周もできませんでした。でも、それ以外はある程度イレギュラーはありつつも、順調に週末をこなせていたと思います。今季は昨年の反省をしっかり活かして、じっくり戦えればと思っています。今回、チーム、ドライバーともにとても強いチームにいると思っています。なのでチームメイトにさえ負けないようにすれば、自ずといい位置に確実にいると思います」