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第65回マカオグランプリF3ワールドカップ
予選レースで佐藤が11位・パロウが12位に

FIA F3ワールドカップのスタートシーン

 二回の予選を経て、第65回マカオグランプリのFIA F3ワールドカップは11月17日(土)の午前9時から、10周の予選レースが行われた。

佐藤万璃音(Motopark Academy)

 前日の夜に雨が降ったことから、ところどころウエットパッチがあったものの、スタート直前にはほぼドライコンディションとなり、ポールポジションのダニエル・ティクトゥム(Motopark Academy)を先頭に行われた1周のフォーメーションラップを経て、スタートが切られた。

 ポールポジションのティクトゥムはトップでマンダリン・ベンドに入っていくものの、2番手スタートのカラム・アイロット(Carlin)が並びかけ、リスボア・ベンドまでの攻防で前へ。アイロットがオープニングラップをリードしていく。

 一方で後方では激しいポジションどりが展開されていくが、下位グリッドのマシンが山側のセクションに入っていくと渋滞が発生。片山義章(Carlin)の背後につけていた阪口晴南(TODA Racing)が、マタニティ・ベンドで前に詰まった片山のマシンに乗り上げるかたちになってしまい、片山はなんとかピットに戻ったものの、阪口は1周もこなせずレースを終えてしまった。

 トップ争いは2周目のリスボアでティクトゥムがアイロットをパス。これでふたたびトップに立つが、3周目のドナマリア・ベンド周辺で、コース上に犬が出現。レースは急遽フルコースイエローからセーフティカー導入となった。

■日本勢は苦しいレース展開に

リスボア・ベンドに進入する日本勢

 リスタート後、5周目にサッシャ・フェネストラズ(Carlin)をかわしたジョエル・エリクソン(Motopark Academy)が2番手のアイロットに接近。7周目のリスボアでこれをかわす。上位陣はファイナルラップまで順位が変わらなかったが、5番手につけていたジョウ・グァンユー(SJM Theodore Racing by PREMA)がパイオールでクラッシュしている。

 最終的に上位の順位は、ティクトゥムが予選レースを制し、エリクソンが2位。アイロットが3位、フェネストラズが4位に。5位はジェイク・ヒューズ(HitechGP)となった。

 日本勢は、7番手スタートだった佐藤万璃音(Motopark Academy)がスタートでクラッチトラブルを抱えてしまうことに。スタートを切ることはできたが、その後もクラッチを起因とするトラクション不足に苦しみ11位でフィニッシュした。アレックス・パロウ(B-Max Racing Team)は12位、関口雄飛(B-Max Racing Team)はセクター4での速さに苦戦し、ポジションを落とす戦いに。14位となった。

 前日パイオールでクラッシュした坪井翔(TOM'S)はマシンの修復も果たしレースを戦ったが、ストレートスピードでライバルから防戦するレースとなり16位。大湯都史樹(TODA Racing)が21位、前日の予選でクラッシュした笹原右京(ThreeBond Racing)は22位、序盤接触もあったDRAGON(B-Max Racing Team)は走りきり23位となった。

 一方、競り合いレオン・ホン・チォ(HitechGP)と争っていた宮田莉朋(TOM'S)は、競り合いのなかリスボア・ベンドで姿勢を乱しクラッシュ。リタイアとなった。片山はマシン修復後1周を走るも、こちらもリタイアとなった。

 アレックス・パロウと関口雄飛 大湯都史樹(TODA Racing)
ユーリ・ヴィップスと競り合う坪井翔 笹原右京(ThreeBond Racing)
宮田莉朋(TOM'S) 後方グリッドからスタートした日本勢

■関口雄飛
(B-MAX Racing Team)
「スタートはまずまず良かったのですが、位置取りが悪くてリスボアまでに順位を下げてしまいました。その後は、メルコ・ヘアピンから先のセクター4が遅く、スリップストリームに入れず、逆に2〜3周に一度は入られるかたちになってしまい、どんどん順位が下がっていってしまいました。明日はそこを重点的に速くなるように、これから作業していきたいと思います。逆に抜けるようにしないといけませんね」

■アレックス・パロウ
(B-MAX Racing Team)
「予想以上に難しい予選レースになってしまったね。スタートは良くて、オープニングラップはいい形で10番手あたりで終えることができたんだけれど、2周目にはすぐに苦しい展開になってしまった。他のマシンと接触があったわけでもないし、昨日からそれほど大きなセットアップ変更を行っていたわけでもないのに、不思議なほどペースが悪かった。周囲の他のマシンよりも2秒近くも遅かったんだ。昨日まではコンマ数秒ほどの差だったものが、今日は2秒。本当になぜかわからない。昨日夜に雨が降って路面コンディションが変わったとはいえ、それは皆同じ条件だから……。とにかく今はその原因を探らないといけないね。マシンのペースさえ周囲と変わらなければ、1周目に10番手にいたのだから、7番手あたりにはいけたはずだ。それがどんどんポジションを落とす結果になってしまって残念だ。周囲のペースは上がっていくのに、周回ごとに自分の症状はひどくなっていったようにも思う。明日の決勝では12番手スタートになるけれど、マシンさえ復調すればポジションは上げていけるはず。とにかく原因を見つけなければならないね」

■片山義章
(Carlin)
「スタートでは、前の方で何かが起きそうだったので、あまり狙わないようにしていたのですが、グリーンシグナルが点くまでがすごく長かったですよね。そこでクラッチが危なくなりそうだったので、一度繋ぎ直したのですが、そのレスポンスが良くてうまくスタートできました。ジャンプアップできたのですが、慎重にいった分1台抜かれました。リスボアから立ち上がり、山側に入ったところで、サンフランシスコで渋滞になり、その後はうしろとは離れたのですが、マタニティ・ベンドの先でまた渋滞になり、自分はなんとか止まりきれたくらいだったのですが、次の瞬間うしろに衝撃がありました。阪口選手が僕のうしろから飛んでしまい、リヤタイヤとフロントが壊れ、その後修復してファイナルラップでコースインしました。明日こそしっかり完走したいです。スタートで良かった分、悪い位置にいってしまったのかもしれませんね」

■阪口晴南
(TODA Racing)
「路面がちょっとダスティだったので、スタート練習をして臨んだのですが、本番はいまひとつで。ストレートでは並走しながらも順位は下がってしまいました。サンフランシスコを上がり、右にいきペースは良かったのですが、前の前、さらにその前も速度が落ちていたようで、無理しないようにしていたにも関わらず当たってしまいました。接触した場所も悪く、大きなクラッシュになってしまいました。片山選手にも申し訳なかったです」

■大湯都史樹
(TODA Racing)
「スタートで阪口選手、笹原選手を抜くことができ、その後のマンダリンからも前についていきながら走れたと思います。そういう意味では、最初のレースにしては上出来なオープニングラップになったのではないでしょうか。1周目に3台抜きましたが、海側のストレート区間とメルコ・ヘアピンがすごく遅く、フィッシャーマン・ベンド、Rベンドで前には追いつくものの、その先ですぐにスリップストリームにつかれ、抜かれてしまうパターンがすごく多かったです。ペースとしては抜かれたドライバーと大差なかったのですが、海側で抜かれてしまうばかりで、そこさえ速ければもっと上の順位にいけたと思います。メルコをうまく曲がれるようにしたいですが、それ以外のSCスタートや、うしろの笹原選手とのマージンの作り方などは良かったと思います。レースの展開を組み立てるという意味では、100点のレースでした。ぶつからなかったですし、自分の仕事はできました。とはいえペースも良くないので、改善できればもっと上げられると思っています」

■笹原右京
(Threebond Racing)
「グリッドポジションが後方でしたので、厳しい戦いにはなるだろうなと思っていました。ただ、昨日大きなクラッシュをしたマシンを徹夜でチームが直してくれて、今日走れたことにとても感謝しています。残念ながらスタートがうまくいかず、リスボアまでにポジションが下がってしまったのですが、山側に入ったところで目の前で阪口選手と片山選手のアクシデントがあり、それをうまく避けられたことは良かったです。しかし、そこからは前の集団についてはいくものの、ついていくのが精一杯のペースというか、ブレーキング時にフロントのダウンフォースが抜けてしまう症状が強くて。フィッシャーマンズベンドやRベンドでは自分の方がペースは良かったのですが、その症状の影響でそのあたりで間合いを詰められず、結果としてリスボアで抜くこともできないという展開が続いてしまいました。それでも今日はマシンを壊さずしっかり帰ってくるということが明日に向けての仕事だと思っていましたので、とりあえずそれができたことをポジティブに捉え、今日のデータを見ながら明日に備えたいと思います」

■坪井翔
(TOM'S)
「昨日大クラッシュしてしまいましたが、メカニックの皆さんに朝までかかってマシンを修復していただき、無事出走できたことにまずは感謝したいです。本当に申し訳ないことをしてしまったので、その分今日はなんとしても無事にゴールしなければならないと思っていましたし、しっかり順位を上げて帰ってきたいと思っていました。昨日のクラッシュの後なので、タフな部分もありましたけれど、そんな甘いことを言っていられる状況ではなかったですから、行けるところまで行こうと予選レースに臨みました。いつもの傾向から、ウイングを寝かせていかないと戦えないので、勝負に行ったのですが苦しかったですね。1周目はスタートも位置どりも良く、ポジションもふたつ上げられたのですが、そのあとはもう守るレースをすることもできないほど、ストレートスピードに差があって……。まわりの車両を見ると、自分たちよりもっと角度が付いている状況ですので、彼らは山側も速く走れますが、自分たちが海側を速くしようともっとウイングを寝かせると、山側が遅くなってしまうと思います。残念ながら去年と同じような光景を見ているような感じでした。自分自身ももっと山側で速く走れるよう課題を克服しつつ、マシンの方もなんとか改善した上で、明日はどのようにレース組み立てるかを考えたいと思います」

■宮田莉朋
(TOM'S)
「スタートからリスボアまでの位置どりは良かったのですが、そこからのペースが良くなかったです。山側で速いわけでもないし、海側でも速くないという状況で、海側のストレートで防戦一方の厳しいレースになりました。明日に向けては、戦えるようなスピードが欲しいですね……。バリアにクラッシュしたときは、普通にブレーキングが終わってターンインしようとしたところで、イン側にハイテックの1台がミラー越しに写っていたんですが、完全に止まりきれない勢いで入ってきていたので、アウト側に少しはらむ形で接触を避けようとしたのですが、少しラインを外したことでグリップを失ってクラッシュしてしまいました。自分の判断ミスを含め、チームに申し訳ない気持ちです。明日は25〜6番手からのスタートになりますが、現状勝負できるスピードではないということが分かったので、何らかの対策を施す必要があると思いますが、なんとかしてヨーロッパ勢に食らいついていきたいですね」

■DRAGON
(B-Max Racing Team)
「オープニングラップは、危ないので離れていったのですが、マタニティ・ベンドで大きなクラッシュがあり、避けようとしたのですが、足回りかどこかが当たってしまいました。その後はペースも上げられなかったので、とにかく完走できるように走っていきました。まわりに迷惑はかからなかったので、その点は良かったと思います。いちばんうしろからのスタートでしたが、高速区間は良く見ていきましたね。そこは無難だったんですが、山側でも冷静にいったのが良かったと思います。なんとか完走できて良かったです。明日に向けては自分のこともそうですが、関口、パロウがセッティングに苦労しているみたいなので、中盤からジャンプアップして、ふたりが上位に入賞できるようにしていきたいです」

■佐藤万璃音
(Motopark Academy)
「スタートでクラッチに問題を抱えてしまい、プリロードをかけてもペダルが床にいってしまう状態となってしまいました。『これは参ったな』と思っていました。アンラッキーになってしまいましたが、ラッキーなことにスタートができたので、そのまま2〜3ポジションダウンで戦っていきました。とはいえその後もクラッチが滑って、トラクションをうまくかけることができず、レースは苦しい戦いになりました。ただあの状態でスタートができたのは良かったですし、他と接触もなかったので、明日に向けていい勉強ができたと思っています」

第65回マカオグランプリ 予選レース結果
Pos No Driver Nat Car Best Time Laps Gap Best Time
1 1 Daniel Ticktum GBR Dallara-Volkswagen 00:23:41.034 10 - 2:10.620
2 2 Joel Eriksson SWE Dallara-Volkswagen 00:23:42.597 10 1.563 2:10.981
3 18 Callum Ilott GBR Dallara-Volkswagen 00:23:44.199 10 3.165 2:10.703
4 19 Sacha Fenestraz FRA Dallara-Volkswagen 00:23:44.982 10 3.948 2:10.793
5 30 Jake Hughes GBR Dallara-Mercedes 00:23:52.132 10 11.098 2:10.997
6 9 Mick Schumacher DEU Dallara-Mercedes 00:23:52.912 10 11.878 2:10.959
7 3 Jüri Vips EST Dallara-Volkswagen 00:23:53.552 10 12.518 2:10.941
8 11 Marcus Armstrong ITA Dallara-Mercedes 00:23:54.747 10 13.713 2:11.659
9 10 Ralf Aron EST Dallara-Mercedes 00:23:55.233 10 14.199 2:11.184
10 12 Robert Shvartzman RUS Dallara-Mercedes 00:23:57.569 10 16.535 2:11.757
11 6 Marino Sato SMR Dallara-Volkswagen 00:23:59.408 10 18.374 2:12.573
12 16 Alex Palou ESP Dallara-Volkswagen 00:24:00.636 10 19.602 2:12.934
13 5 Ferdinand Habsburg AUT Dallara-Volkswagen 00:24:01.269 10 20.235 2:11.399
14 15 Yuhi Sekiguchi JPN Dallara-Volkswagen 00:24:02.479 10 21.445 2:13.114
15 29 Enaam Ahmed GBR Dallara-Mercedes 00:24:03.195 10 22.161 2:12.096
16 31 Sho Tsuboi JPN Dallara-Toyota 00:24:05.278 10 24.244 2:12.798
17 17 Jehan Daruvala IND Dallara-Volkswagen 00:24:05.797 10 24.763 2:12.360
18 28 Hon Chio Leong MAC Dallara-Mercedes 00:24:08.547 10 27.513 2:12.905
19 25 Sophia Flörsch DEU Dallara-Mercedes 00:24:10.193 10 29.159 2:13.282
20 23 Keyvan Soori Andres IRN Dallara-Mercedes 00:24:11.885 10 30.851 2:13.244
21 22 Toshiki Oyu JPN Dallara-TODA 00:24:13.476 10 32.442 2:13.861
22 27 Ukyo Sasahara JPN Dallara-TOMEI 00:24:15.029 10 33.995 2:13.572
23 33 DRAGON (Ryuji Kumita) JPN Dallara-Volkswagen 00:25:39.227 10 1:58.193 2:24.597
24 8 Guan Yu Zhou CHN Dallara-Mercedes 00:21:35.149 9 1 Lap 2:11.018
NOT CLASSIFIED (Requirements : 90% of number laps of leader = 9 Laps)
R 26 Frederik Vesti DNK Dallara-Mercedes 00:15:11.633 6 4 Laps 2:14.655
R 32 Ritomo Miyata JPN Dallara-Toyota 00:15:12.906 6 4 Laps 2:14.330
R 20 Yoshiaki Katayama JPN Dallara-Volkswagen 00:25:26.606 2 8 Laps 21:17.550
WITHOUT 1 LAP
R 21 Sena Sakaguchi JPN Dallara-TODA - 0 - -


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