山下vsマーデンボローの戦いは思わぬ結末に
高星が復帰3レース目で優勝を飾る
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高星明誠/B-MAX NDDP F3 |
■予選は開幕ウイナーの山下が両戦ともポールを獲得
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全日本F3選手権第7戦のスタートシーン |
晴天に恵まれた6月10日(金)の専有走行から一夜明け、迎えた11日(土)の鈴鹿サーキットは、雲がかかっているものの晴天。前日の専有走行1回目から30分遅い、午前8時30分から第7戦の、午前8時50分から第8戦の公式予選がスタートした。
まっさきにコースインした坪井翔(ZENT TOM'S F314)を先頭に各車がアタックを展開していくなかで、計測3周目に1分52秒521というタイムをマークしてきたのは、開幕ラウンドで連勝を飾っている山下健太(ZENT TOM'S F312)。「開幕戦の感じからしてもこちらに分があるとは思っていた。グリップの感触も良かった」という山下は、アタックを決めると早々にピットへ戻る。他のほとんどのマシンは計測3周目から、4周目にも続けてアタック。ただ、山下のタイムには及ばず、坪井が2番手、ヤン・マーデンボロー(B-MAX NDDP F3)が3番手に続いた。
午前8時50分にスタートした第8戦の予選でも、山下は同様に計測3周目でアタックを決めピットへ。第7戦からタイムも縮め、2戦連続のポールポジションを獲得。第8戦でも坪井が2番手につけ、TEAM TOM'Sが2戦連続でフロントロウを独占した。3番手には、「第7戦の予選では、前のクルマに近づきすぎてタービュランスの影響を受けてしまったので、第8戦は少し前のクルマとの距離を離した」という千代勝正(B-MAX NDDP F3)がつけた。
F3-Nでは、ここまで6戦5勝という成績を残している片山義章(Petit LM Racing)が今回も両戦ともポールポジションに。第7戦では今回から車両を変更したDRAGON(B-Max Racing team F306)が2番手、第8戦では廣田築(アルビレックスF306TLM)が2番手に続いた。
■山下vsマーデンボローの攻防は予期せぬ結果に
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山下健太/ZENT TOM'S F312 |
かなり雲が厚くなった午後1時20分、第7戦のフォーメーションラップがスタートした。「今回は絶対に2連勝しなければいけないと思っていた」というポールポジションの山下は、スタートで2番手坪井に並びかかられるも、1コーナーでアウトから首位をキープ。早々にリードを築き始める。
一方、2番手坪井の後方にはマーデンボローが続くが、1周目の130Rでピタリと坪井の背後につけると、続く2周目の1コーナーでスリップから抜けだしオーバーテイク。これでマーデンボローが2番手となるが、坪井はさらにバックストレートで高星明誠(B-MAX NDDP F3)の先行も許し、4番手となっていく。
2番手に浮上したマーデンボローは、少しずつ山下とのギャップを縮めていく。4周目には0.720秒、5周目には0.471秒、6周目には0.449秒と、その差はジリジリと縮まっていった。
「スタートで逃げて、タイヤマネージメントしながら走りきろうと思っていましたが、うしろから近づいてきて、目一杯でした」という山下がスパートをかけるものの、ふたたび山下の背後につけたマーデンボローは、9周目の130R立ち上がりでイン側にラインを取った山下のさらにインにつけると、日立オートモティブシステムズシケインで山下のインへ!
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ストレート上にストップした山下のマシン |
しかし、マーデンボローの左フロントタイヤと山下の右リヤタイヤが接触してしまい、山下のZENT TOM'S F312はわずかに宙を舞ってしまう。接触と着地の衝撃で足回りを傷めた山下は、メインストレートでマシンを止めてしまった。
一方のマーデンボローはマシンに問題はなく、首位に浮上。これで高星が2番手、坪井が3番手という展開に。最終的にマーデンボローは高星に1.125秒のリードを築き、岡山での第6戦に続きトップチェッカーを受けた。
しかしレース後、全日本フォーミュラ3特別規則第15条1.1(危険なドライブ行為)違反により、マーデンボローには競技結果に40秒が加算され、10位に降着。「金曜から調子は良くなかったが、こうしてラッキーもあって2位を獲れて良かった」と語っていた高星が繰り上がりで優勝となり、坪井が2位。千代勝正(B-MAX NDDP F3)が3位という結果となった。
■3台による首位争いを制し、廣田が初優勝を飾る
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廣田築/アルビレックスF306TLM |
F3-Nでは、毎戦のようにスタートでジャンプアップする岡崎善衛(Glocal アルビTLM)が今回もオープニングラップで首位に浮上。F3-Nポールスタートの片山義章(Petit LM Racing)が続き、5台が一団となっていく。しかし、そんな中でなんとランキング首位の片山が、2周目のデグナーカーブふたつ目でクラッシュしてしまう。
これで岡崎、廣田、DRAGONと続く展開となるが、少しずつ3台の間隔は接近。7周目には廣田が岡崎をかわし首位に浮上する。さらにDRAGONが岡崎に迫り、9周目の1コーナーでアウトから岡崎に迫るが、インを守っていた岡崎は続く2コーナーでアウトにはらみ、スピンを喫してしまった。
これで廣田が首位、DRAGONが2番手、アレックス・ヤン(ALEX YANG Hanashima F3)が3番手という順位に。DRAGONが岡崎をかわすまでにギャップを築いた廣田が、DRAGONを最後まで抑えきり、嬉しいF3-N初優勝を飾った。2位はDRAGON、3位はヤンという結果に。岡崎は11周目のバックストレートでストップ、チェッカーは受けられなかったがクラス4位での完走扱いとなっている。
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全日本F3選手権第7戦 表彰台 ※レース後マーデンボローにはペナルティが課せられた |
全日本F3選手権第7戦 F3-N表彰台 |
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阪口晴南/HFDP RACING F312 |
岡崎善衛/Glocal アルビTLM |
千代勝正/B-MAX NDDP F3 |
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DRAGON/B-Max Racing F306 |
ヤン・マーデンボロー/B-MAX NDDP F3 |
大津弘樹/HFDP RACING F312 |
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F3-Nの中盤の攻防 |
石川京侍/TODA FIGHTEX |
高星明誠/B-MAX NDDP F3 |
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