山下が今季5勝目でマーデンボローに肉迫
F3-Nは片山が王座に華を添える勝利
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全日本F3第15戦を制し、ガッツポーズでチェッカーを受けた山下健太 |
■予選は山下がポール獲得で1点を加算
チャンピオンシップを争うドライバーたちにとっても、オーバーテイクが難しいSUGOで非常に重要な要素をもっているのが予選。第15戦の予選は、9月24日(土)午前10時20分からスタートしていった。
この日のスポーツランドSUGOは朝から晴れ間も広がったが、前日の専有走行2回目の後、SUGOにはかなり強めの雨が降ったこともあり、コンディションの変化が危惧された。とくにスーパーフォーミュラの走行後は路面コンディションが大きく変化することもあり、対応力も問われた。
アウトラップからウォームアップ3周を経て行われていったアタックでは、山下が1分13秒253をマークしトップへ。千代勝正(B-MAX NDDP F3)が続き、ヤン・マーデンボロー(B-MAX NDDP F3)はアタック2周目で1分13秒605をマークするものの千代に届かず。これで山下が1ポイントを獲得し、マーデンボローとの差を7に詰めた。
4番手につけたのは牧野任祐(TODA FIGHTEX)で、木曜専有走行から好調だった坪井は「意気込み過ぎて飛び出してしまった」とアタック時にコースアウトしてしまったこともあり、1分13秒659で5番手となった。
一方、F3-Nは片山義章(Petit LM Racing)が1分17秒262で最速。1ポイントを獲得し、チャンピオンに一歩接近した。2番手には参戦2戦目の植田正幸(Rn-sports F308)がつけ、チャンピオンの可能性を残すDRAGON(B-Max Racing F306)が3番手となった。
■山下がスタートを決めリードを広げる
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全日本F3第15戦のスタートシーン |
予選から3時間強のインターバルを経て、迎えた全日本F3第15戦の決勝レース。天候は曇り空だが、路面はドライ。最終ラウンドということもあってか、グリッドに並んだマシンのなかのドライバーたちの表情は、心なしか緊張感があふれているように見受けられた。
アウト側にポールポジションの山下、そしてその背後にマーデンボローというグリッドで迎えた第15戦のスタートは、山下が好スタートを決める。マーデンボローはイン側にラインをとり、2番手の千代をかわそうかという動きをみせたが、2台の順位は変わらず。オープニングラップは山下が2番手千代に対して1.764秒のギャップを築いた。
千代の後方はマーデンボロー、牧野、石川京侍(TODA FIGHTEX)と続くが、タイトルの可能性を残す坪井は「大失敗してしまった」とスタート時の蹴り出しが悪く、7番手にドロップしてしまう。坪井は前を走る大津弘樹(HFDP RACING F312)をなんとかかわそうと毎周のようにアクションを起こすも、なかなか前に出ることができなかった。
一方、首位の山下は序盤から一気に後続を突き放す得意のパターンに持ち込んでいく。5周目には千代とのギャップは3.493秒に拡大。その後もジワジワと千代との差を広げていった。逆に、千代は一時マーデンボローとの差を広げていたが、「ヤンの方がペースが良かったかもしれません」と10周を過ぎるころになると2台は再接近。1秒以内の戦いとなっていく。
■千代がまさかのアクシデントに
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千代勝正とヤン・マーデンボローの2番手争い |
しかし15周目、最終コーナーで千代が「中間からアンダーステアが出てしまい、ラインを外してしまった後はなんとか制御しようと思いましたが、どうにもできませんでした」とコースアウトし、タイヤバリアにリヤからクラッシュ。このアクシデントのためにセーフティカーが導入され、せっかく山下が築いたリードは失われることとなってしまった。
セーフティカーランは21周目に解除となるが、早々にSPコーナーから加速した山下がマーデンボローを突き放し、最後は1.594秒の差をつけトップチェッカー! 山下はこの第15戦で12ポイントを稼ぎ、2位に入り7ポイントのみに留まったマーデンボローとの差を一気に3まで縮めたが、明日の第16戦でのポールポジションによる1ポイントも手中にしており、事実上は2ポイント差という状況だ。
SC明け、一気にポジションを上げたのは坪井。リスタート後の1コーナーで大津をパスすると、23周目には1コーナーで石川をオーバーテイク。これで4番手に浮上してみせた。勢いに乗る坪井は、ファイナルラップには3番手を走っていた牧野に接近すると、「うまくスリップに合わせることができた」とコントロールライン手前で牧野をパス! 表彰台まで追い上げを成し遂げチェッカーを受けた。これでマーデンボローが2位、坪井が3位という結果となった。
4位は牧野、5位は石川という結果に。後方ではリスタート時、最終コーナーで山口大陸(タイロクレーシング28号)が「前を走っていたマシンが急にスローダウンしたので詰まってしまい、三浦選手に追突されてしまいました」というクラッシュが発生。両者ともレースを終えることとなってしまった。
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F3-Nチャンピオン表彰式での片山義章 |
■片山がチャンピオン獲得に華を添える
F3-Nは、ポールの片山がスタートを決めると、オープニングラップから後続を突き放していく。一方、その後方では植田、そしてDRAGONによるチームメイト同士のバトルが展開されていった。
2台は序盤、ずっとテール・トゥ・ノーズの戦いが展開していったが、11周目の馬の背コーナー立ち上がりで、「植田選手が乗っているクルマは自分が乗っていたこともあり、特性も分かっていました」というDRAGONが、植田がわずかにはらんだ隙を突いてオーバーテイク。これでDRAGONが2番手に浮上するが、この時点で片山は5秒ほど先行していた。
トップの片山は最後まで集中力を切らすことなく走りきり、すでに第16戦の予選で決めていたチャンピオン獲得に華を添えた。2位はDRAGON、3位は植田という結果に。植田はF3-Nで初の表彰台獲得となった。
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全日本F3第15戦 表彰台 |
全日本F3第15戦 F3-N表彰台 |
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山下とマーデンボローの差はSCで縮まった |
大津弘樹/HFDP RACING F312 |
阪口晴南/HFDP RACING F312 |
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山口大陸/タイロクレーシング28号 |
大津と坪井の争い |
チェッカー目前で牧野をかわした坪井 |
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牧野任祐/TODA FIGHTEX |
DRAGONと植田の争い |
片山義章/Petit LM Racing |