スタートを決めたパロウが坪井との戦いを制す
F3-NはDRAGONが今季3勝目
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第6戦を制したアレックス・パロウ(THREEBOND) |
五月晴れのなか行われた専有走行から一夜明け、全日本F3選手権第3ラウンドは5月13日(土)に走行2日目を迎えた。ただ、この日の富士スピードウェイはあいにくの雨模様。東日本に前線をともなった雨雲が流れ込んでいたためで、午前9時55分からの第6戦の公式予選は、フルウエットとなった。なお、前日のドライの専有走行では、この日のコンディションに備えウエットタイヤをスクラブしていたマシンも多く見られている。
雨脚も強くなりつつあるなかでスタートした10分間の第6戦の予選では、先頭でコースインした高星明誠(B-MAX NDDP F3)、そしてそれに続いたアレックス・パロウ(THREEBOND)、さらに坪井翔(カローラ中京 Kuo TOM'S F317)によるタイムの出し合いとなる。毎周のように他車に対して1秒近く速いタイムをマークしたパロウが1分51秒649で予選を制し第6戦のポールを獲得。坪井が2番手、高星が3番手という結果となった。
一方F3-Nでは、DRAGON(B-Max Racing F306)がトップタイム。長谷川綾哉(Alb新潟第一ホテルSugar)が2番手、3番手に植田正幸(Rn 山下製作所 F308)が続いている。
■パロウに迫った坪井だが、意外な幕切れに
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全日本F3第6戦のスタートシーン |
5月13日(土)の午後3時45分に迎えた第6戦の決勝レース。昼頃に強まった雨も弱まり、心配された霧も晴れ、ウエットコンディションは変わらないものの、オンタイムでスタートが切られた。
ポールポジションのパロウはスタートを決める一方で、やや出遅れたのは2番手スタートの坪井。これで1コーナーには高星が2番手で入るが、1周目のダンロップコーナーで坪井が高星のインを突き2番手を奪回。これでオープニングラップはパロウが首位、坪井、高星と続き、さらに大津弘樹(TODA FIGHTEX)が4番手、イェ・ホンリー(KRC with B-Max F315)が5番手に続いた。
ポールポジションから逃げをうちたいパロウは、序盤からハイペースで坪井を突き放しにかかる。2周目には早くも3.8秒のマージンを築くと、5周を終えてその差を4.290秒に広げた。しかし、追う坪井も6周目には1分50秒436とパロウを上回るタイムで、その差を保った。
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アレックス・パロウ(THREEBOND) |
しかし、レース中盤を迎えると坪井が「彼に合わせてペースを上げられる状況ではなかった」というパロウとの差をジワジワと詰めはじめた。8周目には3.848秒差、9周目には3.459秒差となり、10周目にはラップダウンがパロウの前に出はじめると、その差はさらに縮まった。12周目、コカコーラ・コーナーに差しかかったパロウはラップダウンにほんのわずかに詰まってしまい、その瞬間を見過ごさず、坪井は13周目、0.570秒と、パロウのテールにピタリとつけた。
14周目の1コーナーで、坪井は一気にパロウのインへ! しかし、ここでアウト側のラインを通りながらポジションを守ったパロウは、翌周坪井との差を0.3秒ほど広げた。ファイナルラップの1コーナーでは、ふたたび坪井がパロウのインへマシンを向ける。ただ、ここで「抜こうとは思っていなかった」という坪井だったが、ブレーキングで止まりきれずパロウと接触。パロウはコースアウト、坪井もスピンを喫してしまい、フロントウイングを破損してしまった。
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大津の前でフィニッシュした坪井だったが…… |
これで坪井はダウンフォースを失い、3番手を走っていた高星の急接近を許してしまった。坪井はなんとかポジションを守ろうとするものの、高星が2番手に浮上することに。一方、パロウはトップでチェッカーを受け、高星が2位に。坪井はなんとか大津からはポジションを守り、3位でチェッカーを受けたが、レース後全日本F3選手権統一規則第15条1.1)2(他のドライバーのコースアウトを強いるもの)というペナルティを課され、競技結果に30秒が加算され、8位となってしまった。
ところがレース後、今度は2位でチェッカーを受けた高星が失格となってしまう。これは決勝後の再車検の結果、国際モータースポーツ競技規則付則J好第275条 第5項5.8.1(インテークシステムの制御)違反により、高星の車両が不合格となってしまったためだ。
この結果、パロウが優勝、2位は大津、3位はイェ・ホンリー(KRC with B-Max F315)という結果となった。
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DRAGONとアドバイザーの佐々木大樹 |
■F3-NはDRAGONが3勝目を飾る
F3-Nは、スタートでポールポジションスタートのDRAGONが行き場をなくしてしまい、さらに直後に首位に立った植田正幸(Rn 山下製作所 F308)も「前のマシンに詰まってブレーキを早めに踏んで」失速。オープニングラップで2番手スタートの長谷川がトップを奪う。DRAGONはすぐに追い上げを開始し、さらに久保田克昭(Planex スマカメ・F308)が続く展開となる。長谷川はしばらく首位を守ったものの、3周目にスピンを喫してしまい、その間にDRAGONが首位を奪還した。
DRAGONはそのままスリッピーな路面のなかでリードを広げ、長谷川に対して8秒差をつけ優勝。今季3勝目を飾った。長谷川が2位、序盤ポジションを落としたものの、7周目にポジションを戻した植田が3位という結果となった。4位は久保田で、吉田基良(B-Max Racing F312)、SYUJI(B-Max Racing F306)との激しい戦いを制したアレックス・ヤン(HuaJiangHU F3)が5位となった。
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アレックス・パロウ(THREEBOND) |
全日本F3第6戦 F3-N表彰台 |
大津弘樹(TODA FIGHTEX) |
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宮田莉朋(カローラ中京 Kuo TOM'S F314) |
植田正幸(Rn 山下製作所 F308) |
山口大陸(タイロクレーシング28号) |
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アレックス・ヤン(HuaJiangHU F3) |
高星明誠(B-MAX NDDP F3) |
ヤンと吉田基良をラップするパロウ |