岡山大会専有走行は不安定なコンディションの中
ポイントリーダーのフェネストラズが首位を奪う
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サッシャ・フェネストラズ(B-Max Racing with motopark) |
■オートポリスの雪辱を果たしたい宮田が初日セッションではトップ発進
オートポリスで開催された第2ラウンドから3週間のインターバルを経て、全日本F3選手権の第3ラウンドは、6月8日(土)〜9日(日)に岡山県岡山国際サーキットを舞台に行われる。その公式日程に先立ち、6月6日(木)〜7日(金)には合わせて4セッション、合計5時間20分の専有走行が行われた。
梅雨入り前最後の貴重な晴れ間に恵まれた6日(木)は、朝からぐんぐんと気温が上がり、汗ばむようなコンディションとなる。この時期に数多く発生するテングチョウがサーキット内外でゆらゆらと飛び交う中、午後1時45分から2時間に渡って、最初のセッションが行われた。前回のオートポリス大会が雨だったこともあり、今回の岡山に向けては多くのチームが複数のニュータイヤを持ち越し。そのため、最後はタイムアタック合戦となることが予想された。
さて、開始時刻となりコースがオープンされると、前回のオートポリスで大健闘を見せた大湯都史樹(TODA FIGHTEX)、宮田莉朋(カローラ中京 Kuo TOM'S F317)、今回小高一斗に代わって37号車に搭乗することになった阪口晴南(カローラ中京 Kuo TOM'S F317)、エナム・アーメド(B-Max Racing with motopark F3)、三浦愛(ThreeBond F314)、大津弘樹(ThreeBond F318)、マスタークラスの久保田克昭(Planex・スマカメ F3)、現在ランキングトップのサッシャ・フェネストラズ(B-Max Racing with motopark F3)、河野駿佑(RS FINE K&N F318)、岡山がホームコースの片山義章(YTB by Carlin)、シャルル・ミレッシ(YTB by Carlin)らが続々と順にコースイン。まずはマシンの確認を行っていく。その中で、序盤から好タイムを刻んだのは大湯。大湯は計測4周目に1分24秒974をマーク。他のドライバーがまだタイムを出しに行く前の段階で、早くも24秒台に突入してきた。
その後まもなく、開始から約8分と言うところで、セッションは赤旗によって中断される。これはシャルル・ミレッシ(YTB by Carlin)がアトウッドカーブ立ち上がりでコースオフ、クラッシュしたため。ミレッシのマシンはフロントノーズや左フロント部分にダメージを負ってしまった。このマシンの回収が終わると、午後2時2分にセッションは再開。ここから各ドライバーは本格的な走行に入った。
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宮田 莉朋(カローラ中京 Kuo TEAM TOM'S) |
まず大湯が自己ベストを更新し、1分24秒866までタイムアップ。続いてフェネストラズが1分24秒838、アーメドが1分24秒572、河野が1分24秒768と各ドライバーが24秒台に突入。その中で、一気に23秒台に入ってきたのが片山だった。片山は、計測7周目に1分23秒552を叩き出すと、その後も23秒台を連発する。セッション開始から約40分と言う時点では、片山に続き宮田が23秒台に突入。1分23秒833で2番手に浮上した。さらにセッション開始から50分というところでは、フェネストラズも1分23秒833をマーク。フェネストラズはちょうどセッション折り返しとなる午後2時45分にも1分23秒851とわずかに自己ベストを更新したが、トップの片山のタイムを上回ることができない。逆に、その5分後には1分23秒810という自己ベストをマークした阪口がフェネストラズを上回ってきた。阪口はその5周後にも、1分23秒737と自己ベストを更新する。
そして、セッション開始から約1時間25分というところで片山のタイムを1000分の6秒上回り、トップに立ったのは宮田。宮田はここで1分23秒546をマークしている。この後、セッション終盤に向けて、各ドライバーはさらにタイムアップ。残り時間が約17分となった午後3時28分にはフェネストラズが1分23秒552と、片山と全くの同タイムをマークして、3番手に浮上。阪口も、1分23秒638までタイムを上げてくる。さらに、トップに立っていた宮田が残り時間15分を切ったあたりから、1分23秒229、1分23秒172と2周連続で自己ベストを更新してきた。
その数分後、残り時間が6分となったところでセッションは2回目の赤旗によって中断される。アメヤ・ベイディアナサン(B-Max Racing with motopark F3)がマイクナイトコーナーでストップしたためだ。ピットロードの入り口付近だったため、ベイディアナサンのマシンは、オフィシャルに押されてピットに戻った。
そして、午後3時42分にセッションは残り時間10分ということで再開。当初の予定よりも7分延長された。ここで各ドライバーは最後の仕上げとしてニュータイヤを投入。次々にベストタイムを更新して行く。その中で、ダメ押しのトップタイムをマークしたのは宮田。宮田はこの日唯一の22秒台となる1分22秒873を叩き出して、最初のセッションを締めくくった。これに続くタイムをマークしたのは、フェネストラズ。フェネストラズはチェッカーの前に1分23秒095をマークすると、続けてもう1周アタックを敢行。チェッカーと同時に、1分23秒071までタイムを伸ばして、岡山初走行を2番手で終えた。これに続いたのは、片山。以下、阪口、大津、河野、大湯、アーメドと続いている。
■2日目はポイントリーダーのフェネストラズがパーフェクトな仕事ぶり スポット参戦の阪口も頑張りを見せる
明けて7日(金)は、午前6時頃から兵庫県西部や岡山県東部が激しい雨に見舞われた。岡山国際サーキットも豪雨の朝を迎えている。そのため、午前9時頃には、スケジュールの変更が発表となった。当初の予定だと、この日の専有走行は午前9時25分から10時55分と、午後2時から3時半の計3時間となっていたが、最初のセッション開始が30分遅れの午前9時55分となると同時に、このセッションの時間が1時間に短縮された。午後は変更なしとなったが、午前中のセッションを短縮した30分の走行が、午後5時10分から午後5時40分まで行われることになっている。
この発表後、一時は雨脚が弱まった岡山国際サーキット。しかし、最初のセッションが近づくにつれて再び雨脚が強まり、土砂降りの中でコースがオープンされる。それでも開始と同時に、宮田、フェネストラズ、アーメド、阪口、ベイディアナサンがピットを後にする。その中で、宮田と阪口は、路面状況を確認するとアウトラップだけで一旦ピットイン。雨の岡山発走行となるフェネストラズ、アーメド、ベイディアナサンは1周計測を行ってから、ピットに戻った。その後、セッション開始から7分というところで、山口大陸(タイロクレーシング28号)がコースイン。これを機に、開始10分というところで、ベイディアナサン、宮田、阪口が、開始13分というところでフェネストラズが再度コースイン。まず宮田が1分42秒011をマークすると、阪口が1分41秒425、1分39秒915とタイムを伸ばしてくる。対する宮田も、1分39秒788までタイムアップし、この時点でのトップに立った。フェネストラズは1分41秒288をマーク。3番手につけている。その後、開始から約20分というところになると、雨脚はさらに強まり、ほとんどのクルマはピットイン。その中でフェネストラズとアーメドは、ピットインを繰り返しながらもコースに出て精力的に走り込んだ。
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阪口 晴南(カローラ中京 Kuo TEAM TOM'S) |
そして、セッションが折り返すと、今度は雨脚が一気に弱まり、宮田や阪口、大湯らもコースイン。ここで宮田が、1分38秒588、1分38秒277と自己ベストを大きく更新してトップを堅持。これに続いて、フェネストラズが1分39秒649、大湯が1分39秒546、アーメドが1分38秒769と自己ベストを更新するが、宮田はさらにタイムアップ。計測10周目には1分38秒015、そして計測11周目には1分37秒868をマークしてくる。これに続いて阪口とフェネストラズが自己ベストを次々に更新。雨の量が少なくなったタイミングで、阪口が1分37秒821、フェネストラズが1分37秒655とトップタイムを書き換えた。また宮田も1分37秒719と自己ベストを更新する。
ちょうどこのタイミングで再び土砂降りになり全車ピットに戻るが、セッションの残り時間が7分となったところで雨が急激に弱まったため、またしても数台がコースイン。しかし、路面の水がまだ多かったことから、どのドライバーも自己ベスト更新はならないまま、チェッカーフラッグが提示された。
その結果、7日(金)最初のセッションは、フェネストラズがトップ。2番手に宮田、3番手が阪口。以下、河野、アーメド、大湯、ベイディアナサン、山口と続いている。一方、このセッションでは、久保田、ミレッシ、片山、大津、三浦、DRAGON(TEAM DRAGON F3)は走行していない。
3時間余りのインターバルを経て、この日2回目のセッションが始まったのは、午後2時から。1回目のセッション終了からまもなく、岡山国際サーキットの天候は回復に向かい、昼頃には完全に雨も止んだ。他のカテゴリーの走行が行われている間に、路面もセミウェットコンディションとなっている。
セッションが始まる3分前頃からは、山口、宮田、阪口、三浦、大湯の5台がピットロードに並び、コースインの時を待っていたが、この中で宮田と阪口はスリックタイヤを装着。他の3人は、レインタイヤを装着。コースオープンとなってから、久保田がスリック、ミレッシと片山、ベイディアナサンがレイン、大津と河野がスリックで走行を開始した。また、少し遅れてコースに入ったフェネストラズもスリックで走行を開始している。
各車が走るごとに路面がドライアップしていくような状況で、セッションが進むにつれて、各車スリックタイヤでの走行となり、ラップタイムも上がっていく。その中で序盤トップに立ったのはフェネストラズ。フェネストラズは計測5周目に、1分24秒451までタイムを伸ばしてきた。セッション開始から約23分、そのフェネストラズのタイムを上回ってきたのは、阪口。阪口はここで1分23秒830と、23秒台に入ってくる。だが、数分後にはフェネストラズが1分23秒748をマークすると、さらにもう1周プッシュして1分23秒480までタイムアップしてトップ浮上。阪口も1分23秒532と僅差のタイムをマークする。また宮田も1分23秒732と自己ベストを書き換え、この時点での3番手につけた。その後、セッション開始から約30分という時点で、宮田はさらにタイムアップ。1分23秒379でトップタイムを書き換えると、その翌周にも1分23秒344までタイムを上げる。阪口も1分23秒413をマークして宮田に続いた。その数分後、宮田のタイムを上回ってきたのは、片山。片山は計測13周目に1分23秒255をマークし、この時点でのトップに立った。
その直後、セッションは赤旗によって中断される。アトウッドカーブの入り口でミレッシのマシンの左フロントサスペンションが破損。その影響でコースアウト&スピン、スポンジバリアに後方からクラッシュしたためだ。このマシン回収とスポンジバリア交換が終わると、セッションは午後2時47分に再開され、各ドライバーがコースへと入っていく。
ここから各車はさらにタイムを伸ばし、宮田と阪口、フェネストラズが次々にトップタイムを書き換えてくる。中でもフェネストラズは、計測17周目、真っ先に1分22秒台に突入。1分22秒729をマークして、初日に宮田が出したトップタイムをも上回ってきた。
しかし、セッション開始から54分というところで、フェネストラズのタイムを大きく上回ってきたのが、片山。片山はここでニュータイヤを投入すると、計測18周目に1分22秒033をマーク。翌周には1分21秒936と21秒台までタイムアップして、一気にトップに浮上してくる。また同じ頃には、阪口とアーメドも22秒台のタイムを刻んできた。
その後、なかなか片山のタイムは破られなかったが、セッション終盤には各車がニュータイヤを投入。その中で、フェネストラズがチェッカー2〜3分前に1分21秒913をマークして、片山のタイムをわずかに上回った。一方の片山は、終盤にもう1セットニュータイヤを投入したが、少し他よりもコースインのタイミングが早かった分、トラフィックに引っかかって自己ベスト更新はならなかった。その他のドライバーも自己ベストは更新したが、21秒台には届かず。結果、フェネストラズがトップ、片山が2番手。以下、阪口、宮田、アーメド、大湯、ベイディアナサン、大津と続いている。
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片山 義章(OIRC team YTB) |
この2回目のセッション後、再度タイムスケジュールは変更。3度目の専有走行の時間が20分間延長され、午後5時10分から午後6時までになることが発表された。そして、変更後のスケジュール通り、午後5時10分にセッションはスタート。天候は曇りのままで、コース上にはまだ所々ウェットパッチが残っているものの、ほぼドライコンディションとなった。セッション開始2分前には、スリックタイヤを装着した大湯、宮田、阪口、大津、河野がピットロードに出て、コースインの時を待つ。そして、ピットロード出口のシグナルがグリーンになると次々に走行を開始した。さらに、三浦、DRAGONもすぐにコースイン。山口も少し遅れてコースに向かった。また開始から6分というところでベイディアナサン、開始から9分というところで片山とアーメド、開始から13分というところでフェネストラズもコースイン。各車明日の予選に向けて、最後の仕上げを進めていった。コース上での走行もさることながら、2回目と3回目のセッションでは、ピット出口でスタート練習をするドライバーも多かった。
この最後のセッションでも走り初めから好タイムをマークしたのは、片山。片山は計測3周目に1分22秒756、4周目に1分22秒751を出して、この時点でのトップに立つ。その後、しばらくは順位変動がなかったものの、セッション開始から約30分という時点で、宮田と阪口がこのタイムを上回ってくる。それに続いてフェネストラズが計測9周目に1分22秒143までタイムアップし、トップに立った。またアーメドも片山のタイムを上回り、宮田、阪口に次ぐ4番手に浮上する。
そして、残り時間が5分を切ったあたりから、各ドライバーが最後のアタックを敢行。まずは片山が1分22秒197と自己ベストを更新すると、宮田が1分21秒847をマークしてトップに立つ。続いてアタックしていたフェネストラズは計測16周目には1分21秒861と宮田にわずかに及ばなかったが、もう1周続けてアタックを敢行。翌周には1分21秒789を叩き出し、このセッションでもトップを奪った。宮田は2番手にとどまっている。またアーメドが計測18周目に1分22秒140までタイムアップし、3番手に浮上。阪口は、フェネストラズと同様、ここでは2周連続のアタックを敢行し、最終的に1分22秒164と4番手でセッションを終えた。以下、片山、河野、大湯、大津、ベイディアナサンと続いている。
明日の岡山は、さらに天候が回復するという予報が出ており、午前中の予選は完全ドライコンディションになることが期待されている中、第6戦、第7戦の決勝に向けてPPを獲得するのは誰なのか。各車のタイム差がほとんどないことから、緊迫のアタック合戦となりそうだ。
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- 大湯 都史樹(TODA RACING)
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- 久保田 克昭(Hanashima Racing)
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- 大津 弘樹(THREEBOND RACING)
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- 三浦 愛(THREEBOND RACING)
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- 山口 大陸(TAIROKU RACING)
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- DRAGON(B-Max Racing with motopark)
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- 河野 駿佑(RS FINE)
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- 阪口 晴南(カローラ中京 Kuo TEAM TOM'S)
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- エナム・アーメド(B-Max Racing with motopark)